◇…スポーツ報知の購読申し込みは、フリーダイヤル 0120-16-4341(イロ ヨミヨイ) まで…◇
◇…過去の記事は、ご使用のプロバイダのデータベース・サービスをご利用ください。…◇
【男子】気になるトップ選手たち。
羽生結弦の試合前のアップが以前と変わった。ブライアン・オーサー・コーチに師事してから、本物の選手になるため試合前のアップから訓練を受けているようにも感じた。最初の4回転トーループはステップから静かにリズムに乗って、軸があり、高く、回転も速かった。ある意味申し分のない4回転だった。後半に入れたトリプルアクセルも難しいターンの連続から跳び上がった。これも気持ちの良いものだった。
最後の3回転ルッツ+3回転トーループもリズムとブルースのビートに調和していた。スピンは全てレベル4、軸を取ることを第一に、羽生独特のオリジナリティーあるスピンを3つ見せてくれた。また、ステップシークエンスはレベル4にならなかったが、ジェフリー・バトル氏が振り付けたプログラムは、新鮮で新しい羽生を演出してくれた。95・32とシーズンベストを更新し、男子最高の得点をまた出した。
欧州で有名な曲「ノートルダム・ド・パリ」は、大人の雰囲気を求められているのを17歳の羽生は新しい形で、演じ切った。前の演技者が高橋だったので、花束が氷上にいっぱい。その花をよけてリンクに入り、緊張が倍増したに違いない。大技を用意している序盤、4回転トーループに挑んだ。計算されたようにリズムに乗って空中に舞い上がり、きれいに4回転が決まった。続く4回転サルコーは少し引き気味か? 着地がステップアウトとなり減点されたが、4回転は認められた。後半にトリプルアクセルを持ってくる構成に替えた。1・1倍にになるからだ。トリプルアクセル+3回転トーループ。続けてトリプルアクセル+2回転トーループと1回転。3回転ルッツ+2回転トーループ+2回転トーループが3連続にならず。単独の3回転ルッツで転倒。スタミナが切れてきた感じで、まだまだ体に力を付けなければと観客も思っただろう。
スピンだから大丈夫と思いきや、スピンコンビネーションのレベルを取るためのジャンプでバランスを崩してしまって転倒扱い。フィニッシュはフライング・シット、彼の得意なポーズは少し影を潜めた。長身で、きれいな体と顔は世界で通用する。パワフルに、ある時はソフトに。表情は曲想に訴えるように、スケートはシャープに―。そんな氷上に舞う演技が、今回はなあされた。まだまだ完成はしていないが、逸材だという事をアリーナ中が感じたことだろう。終わってみれば、SP、フリーとも1位。ミスがあったとはいえ自己ベストを出しNHK杯初優勝を遂げた。
日本のエース高橋大輔は、4回転トーループの着地時両手のタッチダウンで減点。ジャンプにさえが見えなかった。ロックンロールの音楽に乗って大輔らしい演技は見られた。五輪銅メダリストは強い。ハビエル・フェルナンデス(スペイン)を抑えてSP2位で終えた。
フリーで大輔は、冒頭の4回転トーループは加点も貰えたがジャンプのミスが所々に出て、曲の中での強弱の表現が薄く感じた。SPでも感じたが、大輔ならではの胸打つ演技が見られなかったのが残念だった。だが、GPファイナル出場6選手中、日本男子が4人進出。「日本男子」強しである。
“4回転の申し子”と言われるフェルナンデスは、素晴らしい4回転トーループを披露してくれた。3つのジャンプ要素は安定していた。3つのスピンは少し元気がないように思えた。ステップは曲想によく合っていたが、レベルは3で止まってしまった。技術点は高橋を上回ったが、5コンポーネントが今一つ伸びず、3位。チーム・ブライアンは1位と3位を取りあえず確保し、フリーへの期待を2人の弟子に託した。
迎えたフリーでは羽生同様2種類の4回転ジャンプが期待された。得意の4回転サルコーは成功したが、3回予定していた4回転は1回にとどまり、デビット・ウィルソンが振り付けた「チャップリン」は4回転を跳びやすく演技、構成を工夫している。だが、そのプログラムを上手くこなせなかった。フリー5位。総合4位とギリギリでファイナルを手にした。
【女子】日本トップの戦い。そして、「真央復活」への願い。
浅田真央は昨季とは打って変わり、これまでの沈んでいた感じが吹き飛んだようだった。アップテンポの曲に乗り、楽しそうに最後まで滑り切った。表情もいい。おどけた姿が、かわいく映る。その姿に拍手がわいた。満員のアリーナ全体が楽しんでいる。ローリー・ニコルが新しい真央を作り出した。
トリプルアクセルを回避し、ダブルアクセルで加点を貰う狙いが見事に的中した。3回転フリップ+2回転ループと得意なジャンプを組み合わせた。3回転+3回転にせず、余裕を見せてのジャンプコンビネーション。これにも加点がついた。3つ目は得意なステップからの3回転ループ。
もちろんスピンはお手の物。タチアナ・タラソワ・コーチやローリーに鍛えられたステップをおどけた感じで踏んでいく。最後はサイドウェイズ・リーニングを伴った難しいツイズルでフィニッシュ。滑るのが大好きだったジュニア時代の真央の姿が、ダブってしまった。復活。真央1位通過。きっと自信が付いたことだろう。フリーが楽しみになってきた。
「白鳥の湖」の曲に合わせ可憐(かれん)に氷上を舞った。スピンは真央らしく曲想に合わせて、素敵だった。しかし、ジャンプは残念ながらミスが出た。後半の速い曲に乗ったステップは、真央流でスピード感がなかなかいい。プログラムは得意のツイズルで締めくくった。真央の実力からしたら、こんなものではない。決して演技は出来の良いものではなかったが、プログラムの構成はさすが、タラソワが作ったもの。真央にピッタリだった。フリーは2位。SP5位の鈴木明子がフリー1位と追い上げたが、それを振り切り総合1位で「日の丸」を真ん中に掲揚することが出来た。おめでとう!
明子の出だし、コンビネーション・ジャンプと、3回転トーループ+3回転トーループは成功した。曲想に合わせて大人の演技で迫ってきたが、単独のステップからの3回転ルッツが1回転に。SPでは3回転を要求されているなか、マイナス3点と大きな減点を余儀なくされてしまった。プログラム全体を通じて、少し精彩に欠けているようにも感じ5位と出遅れた。
フリーはルッツに間違ったエッジの踏み切り「e」マークが2つ付き、3回転ル―プの回転不足を取られたほかは「シルクド・ソレイユ」の曲のイメージをふんだんに表し、氷上全体を使ったスピン、ステップ、ジャンプは平均点が取れていた。大人の雰囲気満載だった。フリー1位から総合2位に上り詰め、真央も鈴木もGPファイナルへの切符を勝ち取った。
(2012年12月15日21時46分 スポーツ報知)
1946年7月4日、東京都生まれ。立大卒。選手時代はシングルとアイスダンスで活躍し、全日本選手権ダンス部門2連覇。現役引退後は日本スケート連盟で選手強化を手掛け、長野五輪からトリノ五輪までフィギュア強化部長を歴任。また、国際審判員とレフェリー資格を持ち、五輪をはじめ多くの国際試合でレフェリー&ジャッジも務める。
国内最大規模の携帯ニュースサイト。スポーツニュース速報のほか、旬の社会、芸能ニュースも満載。月額84円(税込)
巨人軍公式サイト。待ち受け画像や注目の選手情報など、シーズンオフも必見。「NEWS読売・報知」の全コンテンツも利用できて月額210円(税込)!
翌日朝掲載の釣果情報を当日夜に配信。厳選した指定船宿と協力店からの正確な情報や、船宿の自慢料理・仕掛けなど、実用的なメニューもご用意。月額210円(税込)
携帯初の競輪予想情報。グランプリやダービーはもちろん、関東・南関東を中心に各レースを徹底予測。月額210円(税込)