安倍首相夫人:再チャレンジ「アッキー」
毎日新聞 2013年03月22日 21時14分(最終更新 03月22日 21時41分)
自民党の安倍晋三首相(58)が政権に返り咲いてまもなく3カ月。当時「アッキー」のニックネームで親しまれた妻昭恵さん(50)は今春、永田町の首相公邸に夫と共に再び入居する。6年前は自身の活動をブログで発信し、若く活発なファーストレディーとして話題を呼んだ。今も被災地や日雇い労働者の街を自ら訪れたり、脱原発を口にしたりするなど、再び注目を集めている。
「原発は一度事故が起これば、人々の暮らしが街ごとなくなっちゃう。人間が本当に安全なものを造れるかといえば、そうじゃないでしょう?」。昭恵さんは先月4、5両日、東京電力福島第1原発事故のため警戒区域に指定されている福島県富岡町などを訪れた。建物だけが残り、住民がいまだ帰れない現実を目の当たりにした。
2年前の東日本大震災以降、被災地を何度も訪問している昭恵さんの考えは、脱原発に傾いている。「主人の考えに理解できる点はあるが、やっぱり違うやり方を考えていくべきだと思う」。多くは語らないが、安倍首相に思いをぶつけたこともあるという。
最初のファーストレディー時代は、活発に振る舞いつつも「主人の足を引っ張らないことばかり気にしていた」というが、今は政治的にデリケートな話題にも発言を避けない。
第2次安倍政権の発足から2日後の昨年12月28日、昭恵さんは大阪市西成区の釜ケ崎に駆けつけた。現地のボランティアと一緒に、路上生活者の安全を確認する「夜回り」に参加するためだ。東京・山谷と並ぶ日雇い労働者の街、釜ケ崎は不景気で仕事が減り、生活保護者や路上生活者が急増している。
昭恵さんはこの時を振り返り、最近の生活保護批判を気にかけた。「生活保護を受ける人やホームレスは『仕事をしないのが悪い』と言われるけれども、一人一人と話してみるとそれぞれ理由がある。必ずしも個人が悪いとは言い切れない」
07年の安倍首相辞任の際は「政権投げ出し」の厳しい批判にさらされ約2カ月間、自宅に引きこもった。「無理して政治家を続けなくてもいいんじゃない?」と、夫に伝えたこともあった。しかしその後、「どうせ批判されるなら自分でやりたいことをやろう」と、持ち前の行動力が再び目覚めた。ライフワークである児童養護施設の訪問やミャンマーの小学校建設支援を再開し、コメ作りにも挑戦した。