千葉県警は２３日までに、吸引目的でトルエン（シンナーの主成分）を所持したとする毒物・劇物取締法違反容疑で住所不定・無職の３０代男性を誤認逮捕し、男性に謝罪した上で釈放したと発表した。
県警薬物銃器対策課によると、男性は１３日夜、同県大網白里市の市道で自転車の前かごにシンナーのような液体が少量入ったポリ袋を所持。東金署員が職務質問をした際にろれつが回らなかったため、液体を簡易鑑定したところトルエンの陽性反応が出たため、１４日に逮捕。男性は容疑を認め「ポリ袋の中に塗料のスプレーを噴出し、吸った」と供述していた。
ところが、県警科学捜査研究所が後日行った本鑑定では、所持違反の規制対象物となる３つの成分「トルエン」「酢酸エチル」「メタノール」などの成分は液体から検出されなかった。そのため、県警は男性に謝罪し、２２日に留置先の東金署から釈放。捜査関係者は「男性はシンナーを吸ったという認識があり、ビックリし困惑した様子だったようだ」と明かした。
県警は、簡易鑑定に用いた「北川式分離定性トルエン検知管」の状態や使用方法に問題がなかったか調べている。１９９４年から同器具を使用してきた県警だが、当面は使用を見合わせる方針だ。県警薬物銃器対策課の須田真司課長は「原因を検証し、再発防止に努める」とのコメントを出した。