1994年に教諭の暴行を受けたたつの市の小学6年、内海平(たいら)君=当時(11)=が自殺し、市教育委員会が19年後にようやく「体罰による自殺」と見解を改めたことを受け、平君の父、千春さん(54)は21日、神戸新聞社の取材に「(市教委から)自殺後に不適切な対応があったと謝罪があった」と明かした。
「学校を守ろうと不適切な対応があった」。千春さんによると、19日夜、「事故死」を「自殺」に修正したとの報告で自宅を訪れた市教委の苅尾昌典教育長が、平君の自殺後、学校側が自殺を事故として沈静化を図る行為があったことを認めたという。
平君の自殺後、地元では「自殺ではなかった」「体罰が原因ではない」などのうわさが広がり、千春さんは家族が19年間、苦しみ続けたことを伝えた。教育長らは無言で頭を垂れ、「申し訳ない」と述べたという。
千春さんは「教育委員会は体罰によって息子が自殺したことは認めたが、その謝罪はまだ受けていない」と指摘。しかし、「もう、誰が悪いとか考える段階ではない。事実を認め、認識を修正した後、教育行政が学校で起きる問題にどう向き合うかだ」とし、学校で事件や事故が起きた場合、教育行政が取るべき対応の指針が必要だと語った。
一方、同市教委の苅尾教育長は21日、市役所で会見し、今月15日付で県教育委員会を通じて文部科学省に「自殺」の報告をしたと説明。教諭の暴行と平君の自殺の因果関係を認めた2000年の神戸地裁姫路支部判決で「認識は、事故死から自殺に変わっていたが、報告の修正ができると知らなかった」と釈明した。
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【子どもの自殺問題に詳しい教育評論家の武田さち子さんの話】教育委員会が自分たちの過ちを認め、訂正したことは一定の評価ができる。ただ、もっと早くできなかったのだろうか。遺族にとっては自分の子どもの死がやっと正しく認知されたという思いだろう。遺族の訴えに反して教委が自殺と認定しないケースはまだあり、他の教委も過去の認定を見直す必要がある。
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