黒田日銀総裁:「物価2%達成を確信」 大胆な緩和策表明
毎日新聞 2013年03月21日 21時09分(最終更新 03月22日 02時08分)
黒田総裁は「量的にも質的にも、大胆な金融緩和を進める」と述べ、金融政策の軸足を、金利から、市中への資金供給量を増やす「量的緩和」に移すため、新たな金融政策の枠組みを検討する方針を示した。日銀が1月に決定した「無期限緩和」(期限を定めずに、毎月一定額の資産を購入し続ける手法)について、「前倒しであろうと何であろうと、必要なことは何でもやる」と述べ、予定している14年からの実施を早める意向を表明した。
新たな枠組みについては、現在は資産買い入れ基金と通常の公開市場操作(オペレーション)で行っている国債買い入れの手法を統合し、購入ペースを加速させる手法を模索する考えだ。そうなれば、長期国債の保有額を銀行券発行残高以内に抑える「銀行券ルール」を逸脱する可能性がある。このルールは、財政規律が緩んで日銀が国債を買い過ぎる事態を防ぐためのものだが、黒田総裁は撤廃する考えを示唆。国債購入で財政赤字を穴埋めする「財政ファイナンス」と見なされれば、信任を失う懸念もあるが、「金融緩和の手段として国債を購入するのは当然」と述べた。
黒田総裁は「いま、バブルの懸念があるとは考えない」とも述べ、不動産投資信託(REIT)などさまざまな金融資産の購入拡大を検討する見通しだ。
2%の物価上昇目標の達成時期について黒田総裁は「諸外国でも2年程度がめど」と説明した。これに関し、黒田総裁とともに記者会見した岩田規久男副総裁は、「自分のミスジャッジであれば、最高の責任の取り方は辞任だ」と述べ、未達成なら辞任するとの考えを改めて表明した。【三沢耕平】
新たに就任した黒田東彦総裁、岩田規久男副総裁、中曽宏副総裁の記者会見での一問一答は以下の通り。
−−就任の抱負を。 黒田 過去15年苦しんだデフレを脱却して2%の物価目標をできるだけ早期に実現するのが日銀の果たすべき大きな使命。全身全霊で努力したい。
岩田 物価目標政策へのレジーム(体制)転換がデフレ脱却に不可欠と思って研究してきた。研究を支えに総裁を支えるのが私の役割だ。
中曽 これまで築いた海外中銀との人脈を通じて政策の目的に理解を求めることが私の役割だ。全職員一丸となって総裁を支えて職務にあたりたい。
−−物価目標の達成の時期は。
黒田 諸外国でも2年程度がめどになっているので、それを念頭に置いて一日も早い目標実現に努める。