「日本は倒産する。国債を買うのはバカだ」 『ヘイマン・アドバイザーズ』カイル・バス氏 米国ヘッジファンドマネジャーの告白

2011年12月27日(火) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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 一方の投資資本のほうを見ても、日本人は世界中で10兆円以上のアセットに投資して、そこで得られる利子が日本にカムバックしていた。しかしいま世界の株式市場は低迷し、金利も軒並み下がる傾向にある。センシティブ(神経質)にならざるをえない状況です。

 要するに日本国債はこれから、日本人以外の新たな買い手を見つける必要がある。もっといえば外国人にすべてを買ってもらわなければいけない。

 でも、5年物日本国債の利回りは0・34%しかない。危険なのに儲からない日本国債を誰が買うでしょうか。日本の国会にはインフレターゲットをやろうなどと言うメンバーもいますが、それを実行しても日本は崩壊するだけです。そんな日本の国債を積極的に買おうとしている投資家など、海外にはいませんよ。

 しかも現在の欧州問題を解決するにはIMFによる資金援助が必要だとの意見が出始めている。これが実現すると、IMFの二大貢献国である日本とアメリカがカネを出さなければいけない。しかし、いうまでもなく日本にもアメリカにもそんなカネはない。

 全員が同じボートに乗っていて、そのうちの1ヵ国が追加の資本を必要としているが、ほかの国もそのためのカネを出せない。これを「サーキュラー・リファレンス」といい、誰も助けられる人がいなくなり、世界は混乱へと陥ることになる。そんなシナリオがいま、現実に起きようとしているのです。

 国債危機はまずヨーロッパで起きました。そして次が日本、その後にアメリカでも起きるのです。

 改めて言いますが、日本人は目覚めて、現実を直視し、認識を改めるべきです。日本国債にリスクがないという考えが日本人の頭の中にプログラミングされているが、これが最もリスキーなことです。日本国債は破綻する。それも近い将来、確実にです。

 いま日本国債のヘッジポジション(カラ売りなど)を保有している人は、私も含めて世界に1%もいないでしょう。ただ、助かるのはその人たちだけです。そして残りの99%が、大損することになる。日本人に幸運あれ---。

【取材・飯塚真紀子(在米ジャーナリスト)】

「週刊現代」2011年12月24・31日号より

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