「日本は倒産する。国債を買うのはバカだ」 『ヘイマン・アドバイザーズ』カイル・バス氏 米国ヘッジファンドマネジャーの告白

2011年12月27日(火) 週刊現代

週刊現代経済の死角

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 問題は日本の財政にあります。日本の税収は約41兆円ですが、そのうち半分以上の21兆5000億円ほどを国債関連の支出に充てている。中でも大きいのが国債の利子の支払いで、これが10兆円。つまりは税収の4分の1ほどを国債の利子の支払いに使っている。

 この「税収のうち国債関連の支出に使っている割合」を世界各国とくらべると、日本はいま「国債危機」が問題視されている欧州のどの国よりも大きい。つまり日本政府の財政状況は世界で最悪なのです。

 想像してみてください。いま日本国債の金利は世界で見ても非常に低いところに落ち着いていますが、もし上がったらどうなるか。

 実は金利が1%上がるごとに、新たに10兆5000億円ほどの利子を支払わなくてはいけなくなるんです。そして2%上がると、たったの2%だが、それだけで利子(など国債関連)の支払いにかけるおカネが税収を超えてしまう。わかりやすくいえば、金利が2%上がると日本は倒産するんですよ。

 そして、この負債を支払えなくなる状況が、いまから12ヵ月以内に起きると私は考えています。

 なぜか? IMF(国際通貨基金)のレポートを見ると、日本国債の〝唯一〟の買い手は日本の銀行だと書いてある。つまり、日本政府が銀行に国債を買うように強制しているのが現状。逆に言えば、日本国内の銀行が買い支えているから、金利が低く抑えられているんです。

 しかし、日本の銀行はもうこれ以上は日本国債を買えないと言い出している。なぜなら預金額が減ってきているからです。実際、ゆうちょ銀行はこの第3四半期に、預金の減少が起きている。

 背景にあるのは人口減少です。

 さきほど言ったように、日本の人口の3分の1近くが60歳以上で、25%近くが65歳以上。こうした高齢者の多くが引退を始めており、彼らが預金するより、それを引き出して使わなければならなくなっています。事実、2012年には個人預金の増加率が0%以下になると言っている大手銀行もある。早晩、日本の銀行は「もう新たに国債を買わない」だけでなく、「いま保有している国債を売らなければならない」状況に追い込まれるのです。

誰が日本国債を買うのか

 海外で稼いだカネで日本人が国債を買い支えるという構図もいつまで続くか。

 海外から日本へのカネの流れは「貿易黒字(輸出マイナス輸入)」と「投資資本の流入」という二つからなります。このうち貿易のほうを見ると、2011年度はマイナスに転じるといわれている。

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