「日本は倒産する。国債を買うのはバカだ」 『ヘイマン・アドバイザーズ』カイル・バス氏 米国ヘッジファンドマネジャーの告白

2011年12月27日(火) 週刊現代

週刊現代経済の死角

upperline

持っているなら、いますぐ売れ

 過去20年間、日本の株式市場が80%、不動産市場が70%も落ち込む中で、唯一、国債だけは傷ついていません。そのため多くの日本人が「日本国債は安全だ」と思っているが、それは大きな間違いです。いまほど日本国債が危険なときはありません。

 私の周りの投資家、ヘッジファンドマネジャーたちは、日本の国債リスクを認識して、すでに行動に移しています。先日も、ある日本の機関投資家が「リスクヘッジするのを助けて欲しい」と私のところにきていました。

 いま日本国債のリスクをヘッジする費用は非常に安くあがります。ほとんどタダ同然だから、〝知っている人〟はみなやっていますよ。国家レベルで見ても、アメリカや中国が日本国債へのエクスポージャー(投資リスク)を減らしているじゃないですか。

 実は日銀の白川(方明)総裁も、この4ヵ月ほどの間、議会でもプライベートでも日本の金利上昇(国債暴落)のリスクに言及し始めている。日本という国の未来は厳しいものになると警戒している。それでも、どうして日本人は日本国債が安全だと考えてしまうのでしょうか・・・・・・。

 もし私が日本人ならすべての資産を他国の銀行、カナダやオーストラリアのように財政赤字があまりない国の銀行に移すでしょう。ノルウェーもいい。

 日本やヨーロッパの国債に投資はしない。私たちがやるべきことは、おカネを失わないようにするということです。だから私はいま、世界中を見渡して、高い金利を支払ってくれる企業の社債を買っています。

 逆に日本国債に投資するのは最もクレイジーな(愚かな)ことです。すでに持っているなら、すぐに売ったほうがいい。いざとなったら政府が助けてくれるなどと悠長に考えている人は、国債に投資した額の70~80%を失うことになるでしょうね。

 10年物国債を保有している人は、金利が1%上がるだけで、国債の現在価値が10%目減りし投資額の9%を失うんです。2%だと20%近くなくす計算になる。

 しかも日本国債の金利が2%上がると、その時点で政府が国債の利子をペイできなくなるから、一気に〝デフォルト金利(デフォルト状態に近い高金利)〟まで急上昇する。15%かそれ以上までいくんです。そのとき、日本人全体の貯蓄の3分の1が失われると私は見積もっています。

 日本の人口状況を見ると、人口の3分の1近くが60歳以上で、25%近くが65歳以上。これから引退に入る人たちが一気に貯蓄を失うのだから、最悪です。

 では、これから日本国債がどうなっていくのか。具体的にお話ししましょう。

previous page
2
nextpage


最新号のご紹介

underline
アクセスランキング
昨日のランキング
直近1時間のランキング
編集部お薦め記事
最新記事