３月１８日は、「点字ブロックの日」です。
実は、点字ブロックは日本で初めて作られ世界に広がりました。
岡山市内にその記念碑があります。
地元で旅館を経営していた男性が、視覚障害者が車にひかれそうになる場面を目撃したことをきっかけに開発しました。
４６年前の昭和４２年のことです。
今では、視覚障害者が街を歩くのに欠かすことができない点字ブロックですが、普及が進む一方で新たな課題も出てきています。

視覚障害者の道しるべとなっている点字ブロックです。
線状のブロックは歩く方向を案内し、点状のブロックは注意が必要な場所が周りにあることを知らせます。
目の不自由な人が安心して街を歩くために欠かせないものになっています。

目が不自由な鷺森功さんは「生活そのものに密着しているので、これがないと安心して歩けないということが、点字ブロックの一番の必要性ですよね」と話します。

誕生から４６年がたち、広く設置されるようになった点字ブロックですが、課題も少なくありません。
視覚障害者が歩いて行動できる範囲を広げようとしている東京・北区のＮＰＯ法人ことばの道案内のメンバーがブロックの現状をチェックしました。

課題のひとつは、点字ブロックの老朽化です。
つえで触れても形が分からず、立ち止まってしまいます。
混雑している場合、思わぬ事故につながるおそれがあります。
老巧化していても歩道自体の工事がなければ、補修されないのが実情だといいます。
ＮＰＯ法人ことばの道案内の古矢利夫さんは「怖いですよね。人が多いと立ち止まった時に押されたりとか、私たちが人にぶつかったりとか、そういう危険もありますからね」といいます。

また、重要な場所で点字ブロックが連続していないことも課題です。
地下鉄の駅前に設置されているこの点字ブロックは、すぐ横にある入口にはつながっていません。
点字ブロックは、国土交通省が定めた指針などに従って、歩道や施設の管理者が整備しています。
しかし、それぞれが別々に設置しているため、連携が取れていないというのです。

古矢利夫さんは、「探しているうちに、階段のところに行って、そのまま下に、場合によっては落っこちてしまうかもしれませんよね。そういう危険がありますよね。ここは絶対に安全面ではつけてほしいところですね」と話します。

団体では、地元・北区の担当者と頻繁に連絡を取り合いながら補修や設置の方法について意見を交換しています。
北区都市計画課の荒田博課長は「こういうかたちで色々なマニュアルが出来ているんですよ。これが本当にこのままでいいのか、あるいは実際の利用にあった形に見直すことも場合によっては必要かなというのを感じたところです」と話します。

一方、点字ブロックが普及するなかで、新たな課題も出てきました。
安心して街を歩きたいと考えているのは、視覚障害者だけではありません。
車いすで生活している東京・大田区の粟田修平さんは「ちょっとしたでこぼこにも、車いすはつっかかりやすいので、点字ブロックでつんのめるというか、つまずくということもあります」と話し、点字ブロックが移動の妨げになりかねないといいます。

大田区では、さまざまな障害のある人たちが安心して歩ける環境を整えようと、話し合いを始めています。
話し合いを受けて、大田区が去年、全国で初めて設置したのが、このブロックです。
突起の高さを従来の５ミリから１．８ミリへと低くしました。
車いすで生活している粟田さんに体験してもらうと「ガタガタするとか、つんのめるとか、そういう心配はまずないんじゃないかなと思います。とても楽ですね」という感想でした。

このブロックは目が不自由な人でも、十分に違いを感じられる高さでした。
目の不自由な宮崎金次さんは「本当に分かりやすいですね。これくらいあったら大丈夫です。全然見えない人でも」と話します。
さらに、まったく突起がないブロックも設置しました。
このブロックには光を反射する固い素材が使われています。
つえが触れた感触の違いと、明るさの違いで、どの方向へ歩けばよいか導きます。
大田区の人たちは、試行錯誤を続けながら、どんな障害のある人でも共存して生活できる街作りをすすめていく考えです。

宮崎金次さんは「障害を持った方はみんな一人一人考えは違いますけど、やはり仲良く手をつないで、お互いに譲り合いながら、なるべく理解をしながらしていきたいなと思っています」と話しています。

目の不自由な人たちにとって点字ブロックは設置されただけでは不十分で、安心して利用できる状態になっていることが重要な問題です。
点字ブロックの上に自転車などが止められていると思わぬ事故にもつながりかねないといいます。
気をつけなければなりませんね。

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