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【経済Q&A】

チェックTPP<5>自動車 米、日本車流入を警戒

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 日本の自動車メーカーは米国での現地生産を進めるが、一方で二〇一二年は約百七十万台の自動車を米国に輸出した。日米両政府が環太平洋連携協定(TPP)の事前協議で、米国が日本車に課している関税を当面は維持すると大筋合意したことで、自動車業界ではTPP参加のメリットを計るのが難しいと懸念の声が上がる。

 Q 日米両国の自動車にかかる関税はどうなっているの。

 A 日本が輸入車に課す関税は既にゼロ。これに対し、米国は乗用車に2・5%、大型SUVなどを含む「トラック」には25%の関税を課している。この結果、日本自動車工業会(自工会)によると、日本企業は部品も含め自動車分野で年間約九百億円の関税を米国に払っている。

 Q 米国が自動車関税を当面維持するとメリットは薄れるのかな。

 A そうなんだ。米国向けの自動車輸出が一番多いからね。日本の自動車業界には「農業を守るため、自動車が犠牲にされるのでは」という懸念も広がる。ただ、米国以外のTPP交渉の参加国にも、日本企業は自動車分野で千三百七十億円の関税を払っている。自工会は米国との二国間だけでなく、世界各地での販売競争に勝つためにTPP参加による関税削減・撤廃が不可欠との立場だ。

 例えば日系メーカーのライバルである現代自動車などの韓国勢は韓国政府の積極的な貿易自由化による関税の削減・撤廃によって欧州など世界各地でシェアを拡大。昨年三月には米韓自由貿易協定(FTA)も発効した。

 Q それにしても米国は自動車で日本に強硬姿勢だね。

 A フォード・モーターなど米自動車大手三社が、関税を撤廃すれば日本車の流入が増えると強く反対している。一方、日本市場での米国車のシェア(市場占有率)はわずか0・3%(一二年)なんだ。米国側は、環境や安全基準などの規制で米国車が日本市場から締め出されていると批判している。

 Q 米国車が売れないのは日本の規制のせいばかりじゃない気がするけど…。

 A 実は同じ輸入車でも独フォルクスワーゲンなど欧州メーカーは着実にシェアを伸ばしている。米国メーカーの商品構成を問題視する声が多い。日本は排気量二〇〇〇cc以下の車が市場の九割近くを占めるが、米国メーカーが昨年販売した二〇〇〇cc以下のモデルはわずかに五車種で、欧州メーカーの八十七車種に比べても大幅に少ない。 (藤川大樹)

 

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