韓国はなぜ「盗作の国」となってしまったのか。専門家は根本的な原因として「いびつな名誉欲」を挙げる。ソウル大学社会学科の鄭根埴(チョン・グンシク)教授は「韓国で修士・博士の学位を取得することは、社会的地位を向上させ名誉を得たいと考える人たちにとって、非常に都合のよい効果的な手段だ」と語る。つまり修士・博士学位の取得は「高学歴」を簡単に手にするための手段となっているのだ。
このような雰囲気に便乗する各大学は、学位の授与を「金もうけの手段」として利用し、多種多様な「特殊大学院コース」を立ち上げた。これも最近の相次ぐ論文盗作の原因になっている。ある大学教授は「私立大学が立ち上げた『特殊大学院』や『最高経営者コース』などは、大学の名声を利用した金もうけの手段だ。これくらいのことは今や誰もが知っている」と述べた。
そのため論文やレポートなどに対する検証は当然ずさんになる。教授たちは資格不足や能力不足の学生が提出した論文について、盗作された可能性が高いことを知りながらも、学生である以前に大学に収益をもたらす「顧客」と考えているため、学位論文などの盗作を黙認しているのだ。
修士論文の盗作が明らかになったスター講師の金美敬(キム・ミギョン)氏は「夜間大学院の雰囲気はみんなよく知っているはずだ。盗作などの不正行為を悪いことと考える風潮はない。教授たちも論文を書くだけでよくやったと考えている。ましてや論文の内容など教授たちはほとんど神経を使っていない」と話した。
韓国の大学では学部生時代から盗作を気軽に考える風潮があるが、これが大学院でも続いているという指摘もある。インターネットにはレポートのデータベースがあり、必要ならそこからいくらでもダウンロードできる。そのため一定レベル以上の大学で学生がレポートを提出する場合、正直な「レポート作成」よりも機転の利いた「つなぎ合わせ」の方がはるかに役に立つし高得点が得られる。学生たちはレポートの内容に基づいて成績が付けられるからだ。
ソウル市内のある大学に在学中のLさん(25)は「自分から図書館に足を運んで資料を探し、レポートを書く人間はバカだ。ポイントだけを把握し、内容が同じか、あるいはよく似たテーマのレポートをいくつかダウンロードし、これらをつなぎ合わせて提出する方が、時間もはるかに節約できるし成績も良くなる」と話した。