韓国社会をむしばむ「盗作不感症」

盗作に罪の意識を持たない韓国、相次ぐ論文スキャンダル

 インターネット上のあるコミュニティーサイトには「修士学位論文を代筆してくれる業者もいるそうですね。お金のない私は…」という書き込みがあった。この書き込みには「代行のクオリティーによって100万-300万ウォン(約8万6000-25万7000円)までいろいろ」「代筆する学生とか、論文審査を通過させる見返りに金を要求する教授とか(泣けてくる)」「担当教授じゃなくても、1次審査・2次審査・最終審査のときに、ほかの教授たちもみんな気付いてる」などさまざまなコメントが付けられていた。

 こんなことになったのも「修士なら論文の代筆を依頼したり盗作したりしても大丈夫だ」という意識が、韓国社会にはびこっているからだ。

 ソウルのある名門私立大学の博士課程に在籍している学生は「博士はともかく修士だと、教授はおおむね形式だけ見るというやり方なので、(学生も)論文を綿密に書かない。ほとんどの部分を書き写して出しても引っ掛からない」と語った。およそ10年前に修士の学位を取得したというある社会人は「ある日、自分の論文を検索してみたら、5人がそのまま書き写して修士の学位を取っていたと分かって驚いた」と語った。ある大学教授は「一般の大学院ではない特殊な大学院は、もともと金を取って学位を与える場所なのに、今さらなぜそういうことを言うのか」と、全く問題視していないようだった。さらにこの教授は「政治外交学部のキム・ヨンチャン教授の論文盗作事件が起こったことで、ソウル大学を中心に大学本部レベルでの全般的な論文チェック強化案が出されているが、現実的には難しいという声が多い。現時点では、学者や学生の良心に頼るしかない」と語った。

ヤン・スンシク記者 , ウォン・ソンウ記者
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