韓国社会をむしばむ「盗作不感症」

盗作に罪の意識を持たない韓国、相次ぐ論文スキャンダル

 政治家・教授・牧師など、有名人の論文盗作は今や日常茶飯事になった。昨年は、文大成(ムン・デソン)国会議員(37)が論文の盗作疑惑のためにセヌリ党を離党した。最近では、ソウル大学政治外交学部のキム・ヨンチャン教授が論文を盗作していたことが判明し、ソウル大学の歴史上初めて盗作が原因で辞任した。さらに今年2月には、大統領府(青瓦台)秘書室長に内定していた許泰烈(ホ・テヨル)氏の博士学位論文盗作疑惑が持ち上がり、「愛の教会」の呉正賢(オ・ジョンヒョン)牧師も論文盗作の事実が明らかになった。韓国社会が、良心を売る不正行為といえる論文盗作に対し、不感症に陥っているわけだ。

 論文の盗作が明らかになったスター講師の金美敬(キム・ミギョン)氏は、修士号取得者の間で広く用いられている典型的な方法で盗作を行った。似たようなテーマで書かれた2-4年前の論文から、古い論文を引用した文章や段落をそのまま書き写すことで、あたかも古い論文を直接参照して書いたかのように偽装するという手口だ。直接の盗用対象となった中間段階の論文の存在を知らなければ、当の論文は古い論文を参照し、きちんとした方法で書かれたもののように見える。しかし中間段階の論文の文章・脚注・引用までそのまま書き写しているのだから、この論文は明らかな盗作だ。金氏は、ある地方大学の教授が1995年に発表した研究論文を書き写すと同時に、その論文を引用した2003年と04年の修士学位論文もそのまま書き写して利用した。ある大学関係者は「アンケート調査、統計などデータだけをこっそり入れ替え、幾つかの論文を巧みにつぎはぎする手法は、主に論文代筆業者の間で用いられる手。特に、社会人生活を送りながら大学院に通う場合、一種の“論文コピー工場”といえる代筆業者に論文を任せるケースが多い」と語った。

 代筆を担う業者とのコンタクトは、インターネット上で簡単にできる。19日にポータルサイトで「論文代筆」「論文代行」「論文コンサルティング」「論文お助け」などの用語を検索したところ、数十の業者がヒットした。ある業者は「文章を書くことに慣れていない方や、急ぎの日程で時間的に余裕がない方のために、論文作成を体系的に指導します」と称し、学位論文、学術論文、研究論文いずれも指導可能だとPRしていた。別の業者は「お客さまの研究目的に合うテーマの選定から、論文の編集および校正まで責任を持ちます。提出機関の様式に合わせて組み立て、目次から脚注、参考文献まで“総合サービス”を提供します」と宣伝していた。事実上、代筆するということだ。ある代筆業関係者は、記者の電話インタビューに対し「現時点までの進行状況をメールで送ってもらえたら、それに合わせて論文を作成できる」と語った。

ヤン・スンシク記者 , ウォン・ソンウ記者
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