憂楽帳:「人KENまもる君」
毎日新聞 2013年03月21日 大阪夕刊
漫画家、やなせたかしさん(94)が生み出した作品に、アンパンマンほどには知られていないが、可愛らしいキャラクターがある。「人KENまもる君」だ。オレンジ色の頭巾をかぶった丸顔の男の子。前髪が「人」の字、胸に「KEN」のロゴが付いている。女の子編もあり、こちらは「人KENあゆみちゃん」。
共に法務省の人権啓発のイメージキャラクターだ。先日、この「まもる君」のバルーン式の着ぐるみ(高さ約2・3メートル)に入る機会があった。兵庫県芦屋市の市立精道小学校。4年生約90人にいじめを題材にしたビデオを見てもらった後、「まもる君」に変身して登場。ボランティアで私が務めている法務省人権擁護委員の啓発活動の一環だ。
全国に約1万4000人いる人権擁護委員は、こうした人権教室の他、女性や障害のある人らからの相談、人権侵犯事件の調査を法務局職員と取り組む。
「誰もが助け合って生きる大切さを作品には込めたい」。やなせさんから以前、こんな言葉を聞いた。「まもる君」の認知度が、他のゆるキャラに負けないほど高まってほしい。【遠藤哲也】