大阪・高2自殺:桜宮体罰、監察チームが報告書 自殺生徒、ノートに「もうわけわからない」

2013年02月14日

1枚目/1枚中

 ◇免職顧問「調教の動物と一緒や」

 大阪市立桜宮高校バスケットボール部主将の男子生徒(当時17歳)が自殺した問題で、市教委は13日、常習的に体罰を繰り返し、自殺の大きな要因になったとして、顧問の男性教諭(47)を懲戒免職にした。弁護士でつくる外部監察チームの調査報告書も公表し、顧問が94年の就任当初から暴力を指導の一環と位置付け、複数の生徒への体罰を繰り返していたと指摘した。(27面に関連記事と報告書要旨)

 体罰を理由にした懲戒免職は大阪市で初めて。全国でも異例だ。

 報告書によると、顧問は自殺前日の昨年12月22日、練習試合で生徒がルーズボールを取りに行かないなどの理由で、顔などを計16~20回たたき、「たたかれてやるのは調教されている動物と一緒や」と叱責した。

 18日にも女子大学チームとの練習試合で生徒がボールを奪われるなどしたため、「なんで女に負けるねん」との気持ちで生徒の顔を数回たたいた。部員たちが書くノートに、生徒はいつも詳細に指導内容を記していたが、この日は「もうわけわからないです」としか書いていなかった。

 一連の体罰を報告書は「暴力」と表現している。

 顧問は生徒を、主将に就任した昨年9月以降、叱ることが増え、11月以降は「キャプテン辞めろ」などと主将交代を促していた。

 市教委は生徒が重大な精神的苦痛を受け、自殺の大きな要因になったと判断。顧問が他の生徒にも日常的に暴力を振るっていたとして、12日の教育委員会会議で全会一致で懲戒免職を決めた。

 一方、顧問は8日に市教委に提出した計27ページの文書で「自分の指導が一方的だったと気付いた。たたくことでチームが強くなったことから、(自分の指導方法が)間違っていなかったというおごりがあり、慢心だったと心から反省している」と記した。市教委職員が13日に顧問宅を訪れて処分を通知した際、顧問は「遺族には大変申し訳ないことをした。市教委と桜宮の関係者には迷惑をおかけした」と話したという。

 また、市教委はこの日、同校の男子バレーボール部顧問の男性教諭(35)を停職6カ月の懲戒処分にした。教諭は11年に体罰で停職3カ月の処分を受けたが、昨年11月に体罰を繰り返した。市教委は、体罰が発覚したサッカー部の顧問や、校長らも処分する方針。【津久井達、茶谷亮、熊谷豪】

………………………………………………………………………………………………………

 ◆外部監察チームの報告書のポイント◆

・顧問による暴力の直後に生徒が命を絶っており、暴力が自殺の大きな要因

・昨年12月18日、顧問は練習試合でボールを奪われたなどの理由で生徒を数回たたいた

・自殺前日の同22日、顧問はルーズボールを取りに行かなかったなどの理由で、生徒を16~20回たたいた

・顧問による繰り返しの叱責や理不尽な暴力で生徒は深く苦悩していた

・顧問が生徒の主将交代を度々持ち出したことも生徒を自殺に追い詰めた背景

・顧問は就任当初から暴力を指導の一環と位置づけ、恒常的に平手打ちや足蹴りをしていた

・顧問には顕著な暴力傾向が認められる。教育者としての責任は極めて重く、厳重な処分が必要

最新写真特集