博士論文の盗作調査は正義かゆすりか
引用であるかないかの証明は、多くの場合、難しい。コピー・アンド・ペーストは別として、シャヴァーン氏の論文のように哲学の部門などでは特に難しいだろう。
自分で考え出したと思ったことを、他の人がすでに記していた。表現が違うだけで、内容は似ているということは大いにありうる。それをコンピューターが自動的に発見し、故意に引用を隠したとされるなら、非難された人間は無実を証明できなくなる。メルケル氏のように、自然科学の分野でない限り、文系の場合はどんなに注意しても、常にその危険に晒されていると言える。
だから、「あなたの論文を調べた」ではなく、「調べる予定だ」と言われただけで、大学教授たちが怯えるのは分かる。もちろん、政治家にとっても命取りだ。
ちなみにハイディンクスフェルダーは、「政治家は、他の人よりも高い完璧性を証明しなければいけない。なぜなら、彼らは国民を代表し、彼らの名において、重要なことを決定するからだ」と言う。
つまり自分のしていることは、お金のためでも、政治的な目的のためでもなく、道徳を正すためだと主張しているのだ。なるほど理屈ではそうだ。しかし私には、彼のエネルギーが、どうしても犯罪的に見えて仕方がない。
いずれにしても今回は、多くの人が、何かおかしいと感じているようだ。著名なジャーナリストもその1人らしく、この報道の際に強烈な皮肉を放った。「シャヴァーン大臣が30年前に担当の教授を撲殺していたなら、すでにそれは時効になっていた」と。しかし、シャヴァーン氏には残念ながら、殺人ではなく、論文盗作の容疑が掛かっている。時効はない。
お金で博士号を買える国は、世界に多々ある。博士号をお金で買おうなどとは、もちろん浅ましい話だが、博士号をネタにゆすりを働く人間がいるなら、それはもっと浅ましい。裁判所が、シャヴァーン氏の訴えに対してどんな判決を下すかが、今から楽しみだ。
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