東電:福島第1原発の冷却装置29時間ぶり全面復旧、配電盤が焦げ (2)
3月20日(ブルームバーグ):東京電力 福島第一原子力発電所の停電事故で使用済み核燃料プールの冷却が止まっていた問題で、同社は20日、共有プールと3号機の核燃料プールで冷却設備がそれぞれ復旧したと発表した。これにより、停止していた冷却装置は事故発生から29時間ぶりにようやく全面復旧したことになる。
同社の資料によると、共有プールの冷却浄化系は20日午前零時12分に復旧。また、本来ならば19日午後8時には再開する予定だった3号機核燃料プールの冷却装置は同日午後10時43分に復旧した。同社の尾野昌之原子力・立地本部本部長代理によると、東日本大震災以降では、停電による冷却装置の停止としては昨年6月30日の32時間以来、最長。
尾野本部長代理は20日の記者会見で、同日朝から本格的に事故原因の調査を開始したものの、「停電の原因はどこなのか見極められていない」と述べていた。しかし、その後の調べで、仮設配電盤の端子や周辺の壁面がすすけていることが判明。この配電盤は震災後に仮設されたもので、トラックの荷台に置かれたままになっており、屋根が付いていたとはいえ、風や砂にさらされやすい状態にあったという。
同氏によると、1号機の冷却設備はB系統、残る冷却設備と共用プールはA系統の電源から電気が供給されていたが、今月6日に始まったA系統内の工事で全設備がB系統の電源のみに依存している状態だった。そのため、予備電源システムがない中で、一部で問題が起きると両系統の設備にトラブルが波及する可能性は想定されていたという。
核燃料プール米国の原子力規制当局によると、核燃料プールは分厚いコンクリートや鉄鋼で覆われた構造になっており、原子炉で使用された放射性物質を含んだ燃料を冷却のため保管している。
福島第1原発の各燃料プールの温度は20日午前5時時点で1号機が17.5度と冷却停止前の18日午後4時の16度に近いものの、3号機17.7度(18日午後4時は13.7度)、4号機31度(同25度)、共用プール31.3度(同25.2度)と依然、停止前の状態には戻っていない。
この事故は18日午後6時57分ごろ、免震重要棟で電源が停止したもの。1、3、4号機の使用済み燃料プールと共用プールの冷却装置などが停止した状態となった。19日までに1、4号機のみ復旧していた。原子炉注水設備は影響を受けておらず、原発周辺の放射線量を調べるモニタリングポストの値に変化はない。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 岩本正明 miwamoto4@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:大久保義人 yokubo1@bloomberg.net
更新日時: 2013/03/20 14:18 JST