民主・前原氏:黒田日銀総裁は仮免、リフレ至上主義なら再任反対 (1)
3月21日(ブルームバーグ):民主党の前原誠司「次の内閣」財務相は、20日に就任した日本銀行の黒田東彦総裁について、2%の物価安定目標の達成に固執して柔軟な金融政策を展開できないと判断すれば、白川方明前総裁の残りの任期が終了した後の4月9日以降の再任には反対する考えを示した。21日のブルームバーグ・ニュースのインタビューで語った。
前原氏は黒田氏について「われわれからすると仮免の状況だが、本同意するかどうかはまだ決めていない」と明言。同氏が2%の物価目標を2年間で達成させたい考えを示していることについて「固定化させては駄目だ」と語った。仮に物価上昇率が1%でも、「経済が過熱をすると抑えないといけなくなる」と述べ、柔軟な政策展開を求めた。
その上で、「仮に日銀総裁が空席になったとしても、日本経済を破綻に招きかねないリフレ至上主義についてはノーを言っておくことが国益だ」とも述べた。26日にも開かれる予定の衆院財務金融委員会に黒田氏を呼び、金融緩和に対する考え方について質す考えも示した。
安倍晋三政権が国会に示した黒田総裁、岩田規久男、中曽宏両副総裁の人事案は国会で承認され、20日付で日銀の新体制が発足した。このうち、黒田氏の人事は白川前総裁の残り任期となっており、4月9日以降の5年間は再び衆参両院の同意が必要。政府は21日、黒田氏の再任案を国会に提示した。
民主党は黒田、中曽両氏について賛成、岩田氏に反対した。桜井充政調会長は今週の会見で、黒田氏の再任については国会質疑や4月3、4両日に予定されている日銀の金融政策決定会合の結果などを踏まえて判断する考えを示している。
日銀法改正前原氏は、リフレ派の代表的論客として知られる岩田氏の主張は物価上昇のためには何でもやるという「物価上昇至上主義」と指摘。岩田氏が政府に総裁解任権を付与する日銀法改正を主張していたことも挙げ、「相入れない」と副総裁起用に反対した理由を説明した。
黒田氏の人事は15日、自民、公明の連立与党が過半数割れしている参院本会議で賛成186、反対34で可決した。仮に民主党で賛成票を投じた75人が全員反対に回れば賛成111、反対109と賛否がきっ抗、15日に欠席した議員らの動向次第で不同意となる可能性もある。
前原氏は野田佳彦政権で党政調会長、経済財政担当相を歴任。デフレ脱却のため、日銀に対して外債購入も含めた「強力な金融緩和」を求めた。黒田総裁は外債購入には否定的だが、前原氏は「為替操作が目的ではない。多様な資産を買うのであれば外債も有効な手段の一つとして位置付けるべきだ」とあらためて提唱した。
ドル・円相場の水準については「言うべきでもないだろうし、精査をしていないので分からない」と述べるにとどめた。
アベノミクス前原氏は大胆な金融緩和を進める安倍政権の経済政策について「インフレ期待だけに働きかけてすべてがよくなるとうことはあり得ないということをしっかりと国民に訴える。アベノミクスの危うさ、問題点をしっかりと訴えていく」との考えを示した。
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更新日時: 2013/03/21 17:01 JST