フィギュアスケート世界選手権 真央は逆立ちしてもキム・ヨナには勝てない
【スポーツ】
復帰間もないライバルに完敗
「最初の2つ(のジャンプ)は悔しい思いはあるが、自分のやってきたことを着実に出せてメダルという形になってうれしい」――。
カナダ・ロンドンで行われている世界選手権で3年ぶりの表彰台に立ったフィギュアスケートの浅田真央(22=中京大)がこう話したが、うれしいはずがない。
ショートプログラム(SP)6位と、首位でライバルのキム・ヨナ(22=韓国)に大きく後れを取って臨んだ16日(日本時間17日)のフリー。冒頭のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で両足着氷。続くトリプルフリップ―トリプルループのコンビネーションでは2本目が跳べない。序盤で連発したミスが響いて134.37点。合計196.47点の3位で銅メダルに終わった。
一方、2年ぶりに大舞台に復帰したバンクーバー五輪女王のキム・ヨナはブランクを感じさせない完璧な演技で148.34点の今季最高得点をマーク。SPと合わせて200点超え(218.31点)で圧勝だ。2年ぶりの直接対決は「とにかく幸せ」と言うキム・ヨナの独り舞台に終わった。
目の前でライバルのパーフェクトな滑りをまざまざと見せつけられた日本のエースは「強いライバルがいることで、また成長できる」とキッパリ。ソチに向けて「ミスをなくしてから、どれだけ争えるかを試したい」と五輪本番での雪辱を誓ったものの、2人の「勝負付け」は終わったとみる向きは多い。
キム・ヨナは11年の世界選手権を最後に氷上から消えた。韓国が名乗りを上げた18年平昌冬季五輪の広報大使に就任すると、欧州を飛び回り、招致活動に本腰を入れた。11年5月からは、自ら司会を務めるテレビのバラエティー番組が始まったから、ファンの間では引退もささやかれていた。
そのキム・ヨナが会見を開いて「ソチ五輪を最後に引退する」と語ったのは昨年7月2日。
「その時点ではコーチの構成や振付師もはっきり決まっていなかった。『バンクーバー五輪当時のコンディションに戻すには数年かかるかもしれない』と不安顔だった」(韓国メディア)
リンクから離れることのなかった浅田は、かつて指導を受けていた佐藤信夫コーチのもとで、スケートを基礎から立て直していた。3回転半ジャンプを封印してまで正確性にこだわった。今季のグランプリシリーズで3回転半ジャンプを跳ばずに2勝。ファイナルも4年ぶりに制した。全日本も4大陸選手権にも圧勝。満を持して臨んだ今大会では、本格復帰して間もないキム・ヨナにジャンプミスで完敗。実力差がハッキリした。
ソチ五輪開幕まで残り1年を切った。浅田は在籍する中京大を休学してまでソチへの調整に励むそうだが、血ヘドを吐くまで練習してもキム・ヨナから表彰台の中央は奪えない。