石原宏高代議士とUE社との親密な関係
しかし、約1年間の騒動は、比という海の向こうの話であり、日本にはないカジノ事業という特殊性もあって、国内の興味を引いたとはいいがたい。
それが、一気に「国内問題」となったのは、石原宏高代議士とUE社との親密な関係が、今月に入って表面化してからだ。
石原宏高代議士は、昨年12月の衆院選で、UE社に社員3人の派遣を要請、選挙運動を手伝ってもらっていたのだが、その際、会社側は給与のほか、選挙運動で遅くなった時の宿泊代や交通費、食事代なども負担、公職選挙法に違反している疑いが出てきた。
それに加えて、冒頭の「コンサルティング契約」の発覚である。
時期は一昨年の6月から昨年の12月までで、1,800万円が支払われた。石原氏の当選とともに契約は終了しており、「落選中の仕事」ということになるが、FBIがUE社の比カジノ事業で問題視しているのは、ライセンス取得や税金免除などでの便宜を期待した「高官接待」である。石原氏が落選中であるかどうかは関係ない。
そもそもUE社=岡田氏は、石原氏に何を期待したのか。
答えは、「石原ひろたかブログ」にあった。2010年11月18日、「アキノ大統領との会食」と題して、こう記されていた。
〈 11月14日、APEC終了後、東京に戻られたアキノ大統領と兄の石原伸晃幹事長(当時)と、浅草今半で会食をした。浅草今半は、兄の友人の高岡さんがオーナーのすき焼きの老舗。23年前、叔父石原裕次郎の葬儀に参列して下さったアキノ大統領と食事をした場所でもある。(中略)1983年からの私と大統領の縁、大統領が亡命中、ボストンで初めてお会いしたのは、私が18歳、大統領が22歳の時であった。 〉
まさに家族ぐるみのつきあい。きっかけは、父の石原慎太郎前都知事と、アキノ大統領の父の故ベニグノ・アキノ大統領が、深い信頼関係で結ばれていたからだった。
同時に、岡田氏と石原ファミリーとの関係も、宏高氏ではなく慎太郎氏だった。警察官僚との関係を余儀なくされるパチンコ・パチスロ業界の雄として、岡田氏は警察官僚OBの亀井静香代議士と長く親密な関係を築いており、亀井氏を通じて、氏の"盟友"である慎太郎氏を支援するようになった。そういう意味で岡田氏は、慎太郎・宏高父子の「親子二代のスポンサー」である。
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