天皇陛下:執筆に加わった魚類解説書…「ハゼ亜目」担当
毎日新聞 2013年03月21日 10時45分(最終更新 03月21日 11時51分)
天皇陛下が執筆に加わった魚類解説書「日本産魚類検索 全種の同定 第三版」(東海大学出版)が発行された。同書は、国内の淡水と近海に生息する4213種の全魚類を図と解説文を組み合わせて視覚的に分類した専門書。陛下は初版(1993年)と第2版(2000年)でも執筆を担当している。
宮内庁によると、陛下は今回、皇居内にある生物学研究所の職員ら3人と共に「ハゼ亜目」の項目を担当。第2版より105種多い計518種を掲載した。
種の説明、生息地のほか、陛下が描いた図も載せられた。
編者の中坊徹次・京都大教授によると、陛下は月数回、生物学研究所で議論をしながら研究を進めてきた。
中坊教授は「台風の時でも出向いて研究を続けられた。昨年は心臓手術もあって大変な時期だったと思うが、丁寧に、熱心に執筆をしていただいた」と話す。
陛下は、うろこの数などで種類を区別する「分類学」を専門に研究を続けている科学者で、日本魚類学会の会員でもある。
都合がつけば東京都内で毎月開かれている研究会にも出席している。
発刊された魚類解説書は計3巻。B5判2400ページ、定価3万5000円(税別)。陛下を含め計19人の魚類学者が執筆している。絶滅とされていたが10年に山梨県西湖で見つかったクニマスも掲載された。【真鍋光之】