韓国:放送・金融、一斉ネット障害 北朝鮮の攻撃か
毎日新聞 2013年03月21日 東京朝刊
【ソウル澤田克己】韓国の主要放送局や銀行などのコンピューターネットワークが20日午後2時(日本時間同)ごろ、一斉に動かなくなった。米韓両軍が実施中の軍事演習に反発する北朝鮮によるサイバーテロの可能性がある。韓国国防省報道官は「北朝鮮の犯行である可能性を排除できないが、(現時点での)断定は難しい」と述べた。
障害が出たのは、KBS、MBC、YTNの放送3社と銀行2行、保険会社2社のネットワーク。韓国メディアによると、放送局では記者用コンピューターなどが使えなくなったが、放送に支障はなかった。金融機関では現金自動受払機(ATM)が一時ストップするなどしたが同日夕までにほぼ復旧し、外為や株式市場などに大きな混乱はなかった。韓国軍を含む公的機関での障害発生はなかった。
韓国政府は、官民合同の対策班を設置して被害状況の把握と原因究明を急いでいる。感染したコンピューターが起動しなくなるような悪性コードがハッキングによって事前に流布された模様だ。
韓国では、09年と11年に政府機関などがサイバー攻撃を受けている。11年には農協のネットワークがまひしてATMにも障害が出た。12年には大手紙・中央日報のホームページが改ざんされたうえ、新聞製作システムにも障害が出ている。韓国当局の捜査では、いずれも北朝鮮の関与が指摘されていた。
北朝鮮は今月5日、米韓合同軍事演習「キーリゾルブ」が始まる11日を期して朝鮮戦争休戦協定を「全面白紙化」すると宣言。8日には、韓国との不可侵合意を破棄すると主張するなどしたため、サイバー攻撃を警戒する声が出ていた。