韓国の複数の放送局や銀行に大規模サイバー攻撃 警戒強める
韓国で、複数の放送局や銀行のコンピューターが、一斉にダウンした。韓国政府は、ある特定の管理サーバーから悪性ウイルスがばらまかれた、サイバー攻撃の可能性が高いとみて、警戒を強めている。
騒然とする、韓国MBCの報道フロア。
パソコンには、「OSが見つからない」というメッセージ、そして、深刻なエラーを意味する「ブルースクリーン」が表示されていた。
20日午後2時すぎ、社内のコンピューターシステムが、突如ダウンした。
放送自体に支障はなかったものの、制作現場は大混乱に陥った。
また、韓国に多数の店舗を持つ大手銀行でも、ネットワークがまひし、ATM(現金自動預払機)が使えなくなった。
さらには、窓口業務も停止してしまっていた。
大手銀行でも、午後2時すぎにシステム障害が発生し、ATMやインターネットバンキングが、一斉にダウンした。
2時間後に、システムが復旧した。
今回、同時多発的に起こったサイバー攻撃で、地上波大手テレビ局3局、大手銀行、そして農協の、あわせて5つの機関が被害に遭った。
放送通信委ネットワーク情報保護チーム長は「ハッキングによる、悪性コンピューターウイルスの流布であると把握している。ウイルス源を集めて、調べている」と述べた。
韓国政府当局は、一連の攻撃は、コンピューターウイルスによるハッキングと確認。
政府は、サイバー危機警報を、5段階中の3番目に引き上げた。
今回のサイバー攻撃は、何者の仕業なのか。
東京大学大学院情報学環・山内康英客員研究員は「個人で、このような大きな攻撃を行うとは考えられませんので、国家の中のある組織が実行したものであるというふうに、考えるべきだろうと思います。米国、韓国の合同演習に対して、極めて神経をとがらせている北朝鮮が、これに対する対抗措置をとる、挑発を行うということは、大いに考えられる」と話した。
北朝鮮が反発する中で行われた、米韓合同軍事演習「キー・リゾルブ」。
21日で終了という中、今回のサイバー攻撃は起こった。
2011年3月に、軍事演習が行われていた時期にも、韓国の政府機関などに、北朝鮮によるものとみられる、サイバー攻撃があった。
当時、その攻撃の一部は、日本のパソコンを経由した可能性が指摘されていた。
東京大学大学院情報学環・山内客員研究員は「家庭で使う、あるいは業務用に使うサーバーのセキュリティーを常に、十分に上げていくということが重要になります」と話した。
韓国政府当局は、農協の一部端末や、放送局のパソコンを起動させないなどの措置をとり、軍・警察・民間の合同対策チームが、すでにウイルスを採集し、攻撃主体を調査している。