Redmineのようなツール導入で悩む人にいつも投げかける6つの質問
Redmineのようなデジタルツールの導入や管理の質問をよく受けます。どんなツールであれ導入や推進は難しいもので、皆さん悩まれているようです。そしてその悩みは結構似ているところが多いので、自分がよく話していることをアドバイス形式でまとめてみました。
この記事では、過去に書いた3年使ったRedmineの使い方について共有したい10のことの失敗パターンにさらに追記しています。
1. 目的なく使って失敗していないか?
- ありがちな問題
- 「いつやるんですか?いまでしょ!」のように流行りで導入してみたものの、いまいち良さがわからない。
- よくするアドバイス
- 目的がないなら使わない。チャレンジとして使う場合は、簡単に使いはじめることができたとしても導入時のコストは必ずあるので、そのコスト以上のビジョンを最低限考えてもらう。
- おまけ
- 流行りで導入するならどこかのタイミングでふりかえりをして続けるかどうかを話したほうがいい。
- 止めるのも勇気。
- 「データを全部ツールに移したから止めたくても止めにくい」としても、不便をずっと続けるほうが問題。
2. 自分たちの仕事の流れを理解しているか?
- ありがちな問題
- ツールをうまく使いこなせていない。
- 誰が何をしているかわからない。
- よくするアドバイス
- ツールに置き換える前に、作業の流れを紙やホワイトボードに書いてみてボトルネックを探す。
- ボトルネックを解消するための流れを考える。
- 考えた結果にツールがマッチしそうなら導入を実験してみる。
- おまけ
- 導入前と後で比較できるようにしておくとなおよし。
3. 機能が豊富だからGoodだと思ってないか?
- ありがちな問題
- デジタルにすれば便利と思っている。
- 使う理由としてごもっともな理由がいろいろ出てくるんだけど、解決したい問題のソリューションになっていない。
- よくするアドバイス
- 一回、ホワイトボードとかライトな方法でやってみる。
- 問題がわかっていないなら上に書いたように自分たちの仕事の流れを見直してみる。
- おまけ
- 分散して開発しているから便利 => 集まって働いたほうが便利
- いつでもPCで見ることができる => 話したほうがはやい
- いろいろ情報が取れる => たいてい使われない
- ログとして残したい => たいてい見ない
4. 細かく管理しすぎていないか?
- 問題
- データを色々取りたいからという理由で、入力項目を増やしたり、ルールを細かく作ったりして、使う事自体が不便になる。
- ツールを使い始めてやることが増えた。
- よくするアドバイス
- データを欲しがっている人から欲しい情報を聞いて優先順位をつけてもらう。
- できあがった優先順位表の上から3つぐらいをまず実現することを考える。
- しばらく実験して、定期的に不便じゃないかを話し合える場を用意する。
- おまけ
- 何をデータとして取るか悩むという話も聞く。開発の速さであればアイデアからリリースまでの時間。品質だったらバグの数・・・というようにシンプルで計測しやすくて、減ったり増えたりするとなんだかうれしいものからはじめるとよい。
5. ツールを使いすぎていないか?
- 問題
- チームがうまくコラボレーションしてくれない。
- チームで拾うボールなのに、間に落としてしまう。
- よくするアドバイス
- メンバー間のコラボレーションを考えるのであれば、コミュニケーションを増やす仕組みを増やす。ツールを見ながら話したり、ツールを見ながら朝礼したり。
- ツールに頼りすぎてるなーと思ったときに「話したほうが速くない?」と質問を投げかける。気づいてもらう。
- おまけ
- タスクの状態管理をしているとそうなりやすい。状態管理だけならExcelでも同じ事ができる。例えば「ドラッグ・アンド・ドロップでチケット移動可能!」とかあるけど、現実世界の動きをソフトウェアに置き換えても代替でしかないのでメリットではない。UIがよくてもタスク管理の問題が解決するわけではない。
導入がうまく行ったとき
前にバグトラッキングシステムの導入を何回か試みて、失敗したことがありました。しばらくしてから、「MTGでなかなか席にいないメンバーが担当しているレビューがボトルネックになっている」という意見が出てきて、チームで作業の流れを分析しました(上に書いた「自分たちの仕事の流れを理解しているか?」と同じですね)。
- 現状のワークフロー(作業の流れ)をまとめる
- ボトルネックを見つける
- ボトルネックの解決案としてツールを検討する
結果的にMTG中でもラップトップで確認できて、画面キャプチャなどを貼りつけることができるバグトラッキングシステムを導入したのですが、なぜかこれまでの苦労が嘘のようにスムーズに使われるようになりました。
自分たちのやり方をまず考え、それにフィットすると導入は楽みたいです。ちゃんとボトルネックは解消され、今では過去の問題になりました。
まとめ
それ以外だと、誰もが考えることだとは思いますが、
- 現実作業とツールのバランスを考える。
- 作業の流れ全体を考える。
- 一気に導入しない。
- 定期的にふりかえってやりかたを進化させていく文化を作る。
- いつでも止めれるようにする。
などがあるとおもいます。「一気に導入しない」については、ソニックガーデンさんが公開している「連載 第1回「社内SNS導入の落とし穴(その1)―今すぐ全員に使わせないともったいない?」」が、とても参考になるでしょう。
なかなかわかってもらえない場合は、最後に6つ目の質問をしています。
その導入はプロダクトやサービスのためになるのか?
僕について
Dai Fujihara
A hero can be anyone.
I'm agile practitioner as a manger of software development in the internet service. I like travel to beautiful island in Japanese. Recently I am enjoying agile manager, coach, product owner for my work. The person grows like that.
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永久保存の本
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採用した現在のタイトルは、見積りや計画づくりといったプロセスを、アジャイルに進めなければならないと謳っているのだ。見積りと計画づくりがアジャイルでないのに、プロジェクトがアジャイルであるということはありえない。(イントロダクションより)
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メアリー・ポッペンディーク (著), トム・ポッペンディーク (著), 高嶋 優子 (翻訳), 天野 勝 (翻訳), 平鍋 健児 (翻訳) 「トヨタ生産方式」を源流にする「リーン開発」をソフトウエア開発に取り入れるための具体的方法を紹介した本です。本書は、リーンの7大原則を「価値」「ムダ」「スピード」「人」「知識」「品質」「パートナー」に整理し、ソフト開発現場にどうしたら効果的に適用できるかを、多くの実例を交えながら具体的に説明します。
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