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福島第1停電 事故の教訓生かせず バックアップ設備なし

福島第1原発の停電で、原因究明のため仮設配電盤を調べる作業員=20日(東京電力提供)

 使用済み核燃料の冷却が29時間にもわたって停止した東京電力福島第1原発の停電。屋外の仮設配電盤にネズミが入り込んでショートさせた可能性が原因として浮上した。仮設の設備に万が一の際のバックアップ設備はなかった。今回の冷却停止問題は、2年前の事故の教訓を生かせない東電の判断の甘さをあらためて印象づけた。
 停電は18日午後7時前に発生。東電は配電盤ごとに異常の有無を調べていき、共用プールや3、4号機の冷却システムが接続された仮設配電盤に行き着いた。当初は修理を試みたが不具合の原因を特定できず、停止した設備を別の配電盤につなぎ替える応急措置で全面復旧にこぎつけた。
 ネズミとみられる小動物の死骸がみつかった仮設配電盤は事故後の2011年5月、4号機近くの屋外に止めたトラックの荷台に設けられた。使用済み燃料の冷却設備がつながる重要な配電盤にもかかわらず、バックアップ設備はなかった。
 仮設配電盤には複数の電線が接続されており、隙間が生じてネズミなどの小動物が入り込む恐れが十分に予測できたのに、東電は対策を講じていなかった。
 理由は、プール内の燃料が一定程度冷やされているため、原子炉内の燃料に比べ、冷却機能を失っても危機的状況に陥るまでに時間的余裕があるからだ。
 しかし今回の冷却停止は、住民の不安や安全性への不信を招いた。東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理も「判断や対応の甘さを指摘されれば否定はできない」と、非を認めている。


2013年03月21日木曜日


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