非嫡出子相続差別:最高裁「合憲」見直しか 大法廷に回付

毎日新聞 2013年02月27日 21時15分(最終更新 02月27日 23時18分)

2010年参院選「1票の格差」訴訟の判決が言い渡された最高裁大法廷=東京都千代田区で2012年10月17日、竹内幹撮影
2010年参院選「1票の格差」訴訟の判決が言い渡された最高裁大法廷=東京都千代田区で2012年10月17日、竹内幹撮影

 結婚していない男女の間に生まれた「非嫡出子」の遺産相続分を「嫡出子」の2分の1と定めた民法の規定が、法の下の平等を保障する憲法に反するか否かが争われた2件の家事審判で、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は27日、審理を大法廷(裁判長・竹崎博允長官)に回付した。最高裁は新たな憲法判断や判例変更の必要がある場合などに審理を回付するため、相続差別を合憲と判断した95年の大法廷判例が見直される可能性がある。

 相続差別を巡っては法制審議会(法相の諮問機関)が96年、選択的夫婦別姓などと併せて差別を解消する民法改正を答申。政府は改正法案の提出を模索したが、当時与党だった自民党内に「婚姻制度が乱れる」などとする反発が根強く法案提出は頓挫した。民主党政権下でも再び提出の動きが出たが、閣内不一致で見送られた。

 2件の審判は共に、父親が01年に死亡した和歌山県と東京都の嫡出子側が遺産分割を申し立てた。それぞれ▽和歌山家裁、大阪高裁▽東京家裁、東京高裁−−と審判が進んだが、全て相続差別を合憲と判断し、非嫡出子の相続分は2分の1とした。これに対し、非嫡出子側が最高裁に特別抗告していた。

 最高裁の95年の大法廷決定は合憲判断だったが、15人の裁判官のうち5人が違憲との反対意見を述べた。その後、小法廷は5回、合憲判断を示してきたが、いずれも違憲の反対意見を述べる裁判官がおり、賛否は拮抗(きっこう)している。

 近年では10年7月に審理が大法廷に回付され、判例変更の可能性が浮上したが、その後当事者間で和解が成立し、憲法判断に至らなかった。

 法務省に勤務経験のある寺田逸郎裁判官(裁判官出身)は審理を回避した。【石川淳一】

 ◇解説 国民の家族観の変化が大きな判断要素に

 非嫡出子(婚外子)の相続差別を定めた民法の規定について、最高裁大法廷が95年の合憲判断から18年ぶりに憲法判断を示す見通しとなった。この間の国民の家族観の変化が大きな判断要素となりそうだ。

 11年の人口動態統計によると、非嫡出子の出生数は2万3354人。全体の出生数が減る中、非嫡出子の出生は増えており、その割合は00年の1.6%から11年には2.2%に増加した。若い層に多く、20代前半の母親では5%、20歳未満では27.7%に上る。もし最高裁が違憲判断を示せば、こうした多くの家族の相続にも影響を与える可能性が高い。

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