派遣ITエンジニアとしての“ステップアップのコツ” 教えます

- 株式会社DeNAで、開発エンジニアの派遣社員として働く谷川れいさん。過去に派遣された企業で正社員登用されるも、再び派遣社員としての道を選んだ。それは正社員以上のメリットが、派遣という働き方にあったからだ。幾多もの企業を渡り歩き、新たな技術を習得する日々。その経験値の高さには担当者も目を丸くする。派遣のプロともいえる谷川さんと、ITスタッフィング推進部の峰久美子さんにエンジニアとしての「派遣の上手な活用方法」を伺った。
- Q:派遣社員という雇用形態を選んだ理由を教えてください。
- 谷川:大学卒業後に上京したものの、就職がなかなか決まらなかったというのが一番の理由です。選んだというより、未経験で仕事を探す方法が他に無かったというのが正直なところです。(リクルートスタッフィングの前身の)リクルートシーズスタッフに登録したものの派遣といえば事務職がメインで、技術派遣は珍しかった時代。しかも大学でプログラムの勉強をしていたものの、仕事では未経験。それでも新卒だったということで、当時の担当の方が頑張って派遣先を見つけてくれました。そこからプログラマーとしてスタートすることができたんです。
- Q:その後正社員になられましたが、どうして辞められてしまったのでしょうか?
- 谷川:上司の思いとプログラマーの僕の思いの間にギャップがあったからです。上司からプログラムの設計を渡されるんですが、その設計に納得がいかないことも多く、かつ当時の僕には設計の知識がなかったことから、円滑に仕事が進まないことにストレスを感じるようになっていました。正社員という立場にも疲れたんです。
峰:谷川さんのように、正社員に疲れて再び派遣に戻ってくる方、派遣に新たに登録される方は多いです。人間関係のしがらみが原因で、最悪の場合メンタル面にも悪影響を及ぼす場合もあります。谷川さんは、次の派遣先をプログラマーとは違う畑の仕事を選ぶほどお疲れのようでした。
- Q:その点、正社員に比べて派遣社員には人間関係でのストレスはないと。

- 谷川:正社員と比べた場合、人間関係でのストレスは少ないですね。派遣先企業にとって僕ら派遣社員はあくまで外部の人間ですし、技術で勝負をしていますから。また、契約が更新されるということは、それだけ企業が自分を必要としているということで、契約を更新されると嬉しいし、働くモチベーションにもなる。正社員の場合だと、自分はこの会社に必要だと思っていたとしても、雇用主が同じ思いでいるとは限りませんからね。
- Q:派遣社員として働く上で感じたメリットはなんでしょうか?
- 谷川:システム開発というのは規模が大きい仕事で、開発環境を作る人、設計する人、サーバーメンテナンスをする人など、それぞれ個々に専門の方が作業をするのが一般的ですが、一通りのことは自分一人でできるようになりました。それはこれまでに派遣として様々な企業を渡り歩いてきたことで、技術的な知識を広く学べたからです。中には全部の作業をお願いしてくる企業もあるので、そんなときにはこれまでの知識が役立っています。
- Q:一方、デメリットは?

- 谷川:最初は大変です。派遣先の会社のルールや、システムの詳細など、新入社員のような丁寧な教育をされるというわけでもないので、業務知識や業務に必要な言葉などを自分から覚えていこうという意識がないと難しい。それなりのキャリアのある技術派遣の場合は、即戦力として見られる場合が多いので、理解しているという前提がある。鍛えられるという意味では、いいのかもしれませんが(笑)。
峰:派遣社員は基本的に人材不足の企業での需要が多いため、経験者である場合は即戦力であることを求められます。ただ谷川さんのように技術者として高い能力があれば、ニーズもあるし、仕事もすぐに見つかるという利点もありますね。
- Q:キャリアを積んだ今になっても、正社員を選択しない理由はなんでしょうか?
- 谷川:ありがたいことに仕事が続き、正社員になる理由がなかったからです。派遣先はリクルートスタッフィングが常に数十社ほど探してくれます。最終的に派遣先がなかったことはありませんでした。正社員だからといって条件がいいとも限らないし、派遣の場合は働けば働いただけ残業代も出るのでサービス残業がない。どれだけ忙しくてもやる気が落ちることもないんです。
峰:担当として初めて谷川さんにお仕事をご紹介した際はASPという言語のお仕事でした。担当が変わり、その後数年ぶりに谷川さんの担当に戻った際には、新しいPHPという言語での仕事を探されていました。経歴を見ると派遣期間中に様々な経験を積まれていて、上手く派遣を利用している好例だと思います。
- Q:お金をもらいながら、派遣をスキルアップの場として利用するということですね。

- 谷川:派遣の場合は、興味があってやってみたいと思えば、営業担当、お仕事紹介担当の方は出来る限り努力してくれます。未経験であっても飛び込むことで知識は増えるし、その知識が後の仕事でも活かされることもあります。楽しく仕事をして、技術も知らず知らずのうちに得ているわけです。
- Q:どんな人が技術系の派遣社員に向いていると思いますか?
- 谷川:技術系の派遣社員が任されるのは、ある程度の期間と予算内で結果を出さないといけない仕事が多いです。その意味では受身として学ぶのではなく、仕事をしながら技術を盗むという意識が必要。仕事が好きで技術を習得しようという、積極的な意識がある方にはピッタリだと思いますね。
- Q:派遣会社に期待することはありますか?
- 谷川:リクルートスタッフィングは営業が凄く強いので、案件が本当に多い。後ろ盾があるという点では、営業を自らしなければいけないフリーランスとは違い、技術に専念できるし、残業代もきちんと支払われるというのはありがたい部分です。ただIT系は日進月歩の世界なので、技術は日々進化します。派遣会社の方にも、よりそういった技術面に詳しくなってもらえたら嬉しいです。
峰:そうですね。私たち派遣会社の担当者も、常に世の中の進歩を感じて、皆さんのお仕事の紹介に活かしていこうと思います。特に、JAVA・PHPに関しては、需要が増えてきているので専門的に担当できる組織をつくったり、お仕事紹介をよりスムーズにするWEBを構築することを考えています。
- Q:今後どのようなキャリアを築いていきたいですか?
- 谷川:もっとたくさんの技術を身に付けて、技術的な面で乗り越えられない課題や仕事があった場合にそれらを解決するような人になっていきたいです。
- Q:技術系のジャンルで登録を考えている方に望むことはありますか?
- 峰:谷川さんのように派遣会社を上手く利用していただいて、スキルアップに繋げていただきたいです。またスキルアップだけとは言わず、ワークライフバランスを重要視される方にもうまく利用していただけたらと思っています。WinWinの関係性を築いていくことが私たちが目指しているところです。