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『光の奔走』の感想
投稿者:
転屍
[2013年 03月 16日 (土) 03時 17分] ---- ----
▼一言
二回目です。
前回予告した通り、今回は「キャラクターや作品世界の設定、物語の運び方や構成などに見られる突っ込みどころ――あなたの作品の根本的な弱点について」です。
が、細かいところ全てに突っ込みを入れると切りがありませんので、(段階は踏みますが)話を一つに絞って述べようかと思います。
この問題は、計算式のような「唯一絶対の正解」というものはない問題になります。ですので、不可避の必然として、私の主観が混じっていることを予めご理解ください。
▼前提を確認します
>二百年に渡る名門オブスキィトとルミエハ両家の対立。
>オブスキィトの少年とルミエハの少女は、家の対立に抗い親交を深めてゆく。
>全てにおいて完璧な少女の隣に立つために少年は力を求め、無邪気に手を差し延べてくれた少年のために少女は強さを求める。
>両家の対立を乗り越えて、オブスキィトの少年は、ルミエハの少女の隣に立つことができるのか?
>両家の因縁を清算するため少年と少女が目指すのは……?
ご承知の通り、上記は本作品のあらすじとして書かれているものです。
作品の『主題(テーマ)』は【恋愛】。
そして――
作品が最終的にクリアしなければならない『課題(クエスト)』は、【家門の対立を乗り越え、主人公の二人が結ばれる】。
逆説的に言えば、この作品の内容は全て、この『課題』の提示とその達成のために存在しなければ意味がない、ということになります。
(誤解の無いよう先に言っておきますが、「枝葉・遊びの部分が無駄だから無くせ」、と言いたいわけではありません。それはそれで、「作品の雰囲気作り」に有効なこともあるでしょう)
これから私が述べるのは、この『課題(クエスト)』に対して、あなたの作品がどういった内容で書かれているか、ということになります。
▼描写について
前回の書き込みにて――
◆描写が薄い。
◆描写のポイントを外している。
――という指摘をしたことは、まだ覚えていただいてますよね?
この時に述べてもよかったんですが、今回述べたほうがより効果的だろう、と判断したものがあります。
それは、
◆オブスキィトとルミエハの両家の対立を、具体的に描写・説明している箇所がほぼない。
ということです。
課題(クエスト):【家門の対立を乗り越え、主人公の二人が結ばれる】
に対し、そもそも【家門の対立】を読者に伝えていない。
私の読んだ一章の終了時点、話数で言えば半分に達しているにもかかわらず、です。
……あ、一章の最後の最後で、ようやく「ロイに暗殺者を差し向けた」ということが判明しますね。随分と遅いのには変わりませんが。
一応、作品中にて、様々な人の口から両家は「仲が悪い」「敵対している」という趣旨のことが、言葉の上では語られてはいます。
でもそこに、『具体性』がない。
同じ対立するにしても、「気に入らないので相手がいないところで陰口を叩く」という子供の喧嘩レベルもあれば、「顔を合わせれば剣を交えずにはいられない」という殺し合いのレベルもあり、対立には様々な程度や形があります。
またその内容も、国家の重役を占める大貴族の対立ということなら、「大臣や将軍といった政治的・軍事的な地位を巡っての権力闘争」とか、「ある領地の所有権や、貿易・交易で得られる利益といった、金銭的なトラブルを巡っての対立」、「かつて互いの家が戦争をしたことがあり、今は休戦しているが、遺恨は未だくすぶっている」などなど、様々な理由が考えられます。
そういった『具体性』が、ほぼ何も語られていない。
ただ一言で「対立している」と書いただけでは、何も説明したことにはなりません。あなたの脳内にある両家の仲の悪さは、読者に伝わりません。◆描写のポイントを外している。
(ちなみに、重要なのは「過去に対立の発端となった事情」ではなく、「今現在の対立の様子」ですからね。あと、どっちが優勢とかいう情報は、先に『具体性』が示されていなければ空回りする情報でしかありません)
【家門の対立を乗り越え、主人公の二人が結ばれる】という必要があるのに、そもそも「乗り越えるべき壁の高さ」がわからない。
高いのか、それとも低いのか。
登場人物の口ぶりからはどうやら高いらしいけれど、具体性がないので読者の立場からは「実感」が得られない(むしろオブスキィト側の方針は対立解消ですらあるので、具体性と共に深刻性もない)。
こういうのは、言葉だけではあまり意味がない。
例えば、「犬が怖い」という人物がいるとする。本人あるいは誰かから「犬が怖いんだ」と聞かされるだけでは、「ふーん、そうなんだ」としか思えない。実際に犬と遭遇するシーンがあって、その人物がいかに犬を怖がり怯える反応をするのかを見ないと、それを実感することはできない。『百聞は一見に如かず』ということ。
例えば、幼い頃にロイとレンティの母親なんかが出会ってしまい、ロイのことをひっぱたいたり唾を吐きかけたりする、という直接的なシーンがあるとないとでは、まるっきり印象が違う。(暴力はあくまで例。レンティが同席しているかどうかは他との兼ね合いによる)
暗殺者の件のような一章後半なんて遅いタイミングではなく、出来る限り早く行わなければ、効果は見込めない。
暗殺者の件以外に辛うじて描写されているのは、レンティの両親が食卓でオブスキィトの悪口を言ったり、リーシェン伯爵が色々と言ったりしている、というもの。
前者は子供の喧嘩レベルの陰口でしかないし、後者は配下の一人が陰険だということが分かる程度のこと。
暗殺者にしても、誰からの刺客なのか判明するのは一章の最後で、イベントが描かれている最中はわからない状態(誰の仕業か曖昧な状態)。当事者であるロイもことさらに興味を持っているように描かれてはいないし、そもそもこのイベントはむしろ「レオの初登場であり面通し」の意味が強いので、レオの印象に霞んで暗殺者自体のインパクトが薄い。それでもって後から「実はレンティの母親の差し金だった」と判明しても、あまり印象に残らない。
これが既に両家の仲の悪さを「実感」できている状態でのイベントであれば、追加効果としてならば充分な役割が見込めるけど、実質的にこの暗殺者の件が「両家の対立は深刻である」と分かる最初のイベント。このタイミングでこんな片手間の内容では、効果不足でしかない。
それ以外はただひたすら、誰かの口から「仲が悪い」「敵対している」と九官鳥かオウムのように繰り返されているだけ。
……ここでついでに言及しておきますと、ロイやレンティが「優秀な隊長だ」と言われているのも「描写のポイントを外している」という意味では似たようなものです。
基本的に、読者にとっては九官鳥かオウムが言っているのと同じ伝聞情報でしかなく、その中心は学校や研修の成績が良かった、というだけでしかない。実際の仕事の風景には、ことさら印象に残るような「優秀な隊長だ」とわかるシーンやエピソードはない。
ロイやレンティが「頭が良い」と分かるこまごまとしたエピソードがあるのは良いのだけれど、それは「軍人としての優秀さ」としてはあまりインパクトがない。
▼主人公達の置かれた状況について
「乗り越えるべき壁の高さ」がわからない。
高いのか、それとも低いのか。
登場人物の口ぶりからはどうやら高いらしい。
――と、先に述べましたが、登場人物の口ぶりに反して作品中の情報から類推されるのはむしろ、「乗り越えるべき壁は低い」という印象です。
まず第一には、やはり「両家の対立に具体性がない」という先に述べた内容。
それに加え、全体的に
◆設定全般が二人にとって都合がいい。
ということ。
当たり前の話ですが、「乗り越えるべき壁」が高ければ高いほど、作品としてはそれをクリアしたときにもたらされる「面白さ」というのは大きい。
……まあ、高くしすぎて乗り越えるのに失敗したり、作者すら乗り越える手段を思いつかなくてご都合主義的展開に走るはめになったりしたら、壁を高くするのは逆効果にしかならないんですが……
だからといって「壁が低い」のでは面白みがない。
作品から読み取れる内容を見ると、極論すれば「レンティが家を棄てれば万事解決。いつ突然物語が終了しても、それだけやってしまえばハッピーエンド」としか思えないんですよ。
◆レンティには、「家を棄てられない」という「心情的理由」も「社会的理由」もない。
レンティは家に愛着も執着もない。
愛着どころか、両親のことはむしろ嫌っている。家の所有している財産や権力を欲しいとも思っていない。
例えば仮に――
レンティは一人っ子ではなく、大事にしている弟とか妹とかがいて、自分が家を棄てると弟妹が家を継ぐことになって不幸な目にあう。だから家を棄てられない。
――とかの理由があれば、両親のことがあっても家に居続けなければならない説得力も出てくる。
そういう理由が、レンティにはない。
レンティはいつでも家を棄てられる。
他に例えば――
両親はどうしようもないダメ人間だが、領民には何の罪も無い。自分が家を継がなければ多くの領民が路頭に迷う。貴族の誇りや責任として、自分のワガママから大勢の民を不幸にはできない。
――という理由が……ない。
少なくとも、レンティが領民を大事にしている、ということがわかるエピソードはない。むしろ、リーシェン伯の領民を見た際には、嫌悪感すら抱いている。領民の今後の進退には、特別な義務感や責任感は抱いていない。
レンティの両親が悪政を敷いているという情報は作中にない(善政を敷いているという情報もない)。レンティには、両親を打倒して領民を救うなどという理想を抱いている様子はない。リーシェン伯の領民を見た際に、「自分が何とかしなければ」と燃えていたりはしない。
また物語的に、この国では領主が失われても領民が困らないという『前例』が作中で示されている。「炎の一夜」のヴェントス領は、領主を失っても上手くやっている。
実際にレンティが家を去った後に、果たして良い領主が現れるかどうかは分からないが、家を棄てて領民に悪影響があるかどうか、絶望的・悲観的になる切迫した理由があるようには読み取れない。
レンティ自身も、家を棄てた後に路頭に迷うようなことは考えられない。「軍」にてある程度確固たる地位を築き、己の力で社会を渡っていけると描写がされている。
しかもこの「軍」は非常に健全でクリーンな組織である。人事は大貴族の御曹司や令嬢であっても実力主義によって配属され、有力貴族がコネや専横を行って実際には能力のないダメな人間が高い地位を占めているなどということはない。能力さえあれば平民も貴族とほぼ同じ地位にあり、同じ待遇で働いている――と、作中の描写から推察できる。
家を棄てたレンティに対し、両親などが「見せしめ」や「報復」を行うか?
高い確率で行われるような気もするが、レンティには「軍で己の力で築いた立場」という対抗手段がある。大貴族と軍の力関係を作中の描写のみで正確に推し量ることはできないが、異常なほど近代的な組織体系を持つ軍が、まったくの言いなりになってレンティを見棄てるとは考えがたい。そんな脆弱な組織であれば、あんなに健全でクリーンな体制は整えられない。
レンティ自身の性格からも、「見せしめ」や「報復」を理由に己の信念を曲げてまで家に服従するとは考えがたい。
幼く非力だった頃のレンティはともかく、成長したレンティはいつでも家を棄てられる。
もし、今現在レンティが家を棄てられない理由があるとするなら、課題(クエスト):【レイラの死の真相を明らかにする】ということに対し、今はまだ家に従っている必要がある(かもしれない)というあたり。
逆に言えば、それさえクリアしてしまえば、いつでも家を棄てられる。他に「家を棄てられない」理由が、レンティにはない(作中からは読み取れない)。
作中、スミアが語りセレスが同意している「ロイとレンティが結ばれない根拠」というのは、大前提として「レンティが家に縛られたままである」という思考に囚われているがゆえの論理。でもその前提は、本当のところはレンティを縛る鎖ではない。
レンティはいつでも壁を乗り越えられるけれど、今がそのときではない、というだけ。
実質的に、「乗り越えるべき壁は低い」どころか、既に壁はないも同然。
◆ロイの方も、レンティが家を棄てて困ることはない。
両家の対立の構造は、実際にはルミエハ家の一方的なものであって、オブスキィト家は積極的な対立姿勢ではない。
課題(クエスト):【家門の対立を乗り越え、主人公の二人が結ばれる】に対し、二人を隔てる壁のルミエハ側には何のとっかかりもないかもしれないが、反対のオブスキィト側には階段やロープすら用意されているようなもの。もしくは、積極的に手助けはしてくれなくても、ロイが自分で階段やロープを用意しても咎められるようなことにはならない。
実質的に、「乗り越えるべき壁は低い」。壁の半分は障害でも何でもない。
レンティと違ってロイは家を棄てられないだろうが、家を棄てたレンティがオブスキィトにやってきても、迎え入れる下地がオブスキィト側にはある。
家を棄てたレンティは貴族の娘でも何でもなくなるが、ロイの両親からして恋愛婚である。レンティの身分を理由に結婚を反対することはないと思われ、特にマリエは明確にそう描かれている。
両親以外の周囲はいい顔をしないかもしれないが、ロイにとって一番大事なのはレンティであって、それを気にするとは思えない。レンティがロイのために外聞を気にする可能性はあるが、それくらいは二人で幸せな家庭を築いてなんとかしろ。
何しろ両親という『前例』があるのだから、今更オブスキィト側の誰かが難癖をつけるために登場しても、物語的な説得力はない。
唯一、家を棄てたレンティでは、ロイの父親が目指す「オブスキィトとルミエハの完全和解」に対して何の協力もできなくなるが、それは別にロイの父親の腹積もりであって、ロイにとってはレンティよりも大事なものというわけではない。
課題(クエスト):【家門の対立を乗り越え、主人公の二人が結ばれる】の【家門の対立を乗り越える】は、方法として【家門の対立を「解消」する】を必ずしも意味しない。二人が結ばれるための障害となる部分だけをクリアできればそれでよい。
――もし、ロイとレンティの二人が自らにクエストとして【家門の対立を「解消」する】を課していれば話は別だが、作中、そのようなクエストは発生していない。
ロイやレンティにとっては互いが大事なのであり、そのための「手段」が家門の対立の解消なのであって、「目的」ではない。目的が達成できるのなら、手段は別のものでもよい。
……まあ、実際はこんなに単純にはいかないんでしょうが、結局のところ話は最初に戻って、「オブスキィトとルミエハ両家の対立を、具体的に描写・説明している箇所がほぼない」がゆえに、何が二人の障害となっているのかリアルに想像ができない。
「設定全般が二人にとって都合がいい」というのは他にも、
・幼いロイの護衛についていた男はオブスキィト側の人間であるけど、ルミエハ家の令嬢に敵意を持ったりしない。むしろ二人に同情的。
・ロイの両親は表立ってはいないが二人の味方。
・レイラは無条件に二人の味方。
・ロイとレンティの部下達や、同僚のセレスといった一章に入ってから登場するキャラの大半は、主人公二人の家柄に頓着していない。二人を人間として肯定している。
・スミアは行動に問題はあるけれど、ロイに対する恋愛感情はまっすぐで、ロイの背後の権力に擦り寄ってきているというわけでもない。レンティのことも人間的に嫌ってはいない。
・ジオは王家の立場からは中立的だが、個人の立場としては二人に賛同的。
――と、ロイとレンティの味方(+α)は数が多くて良く出来た人間ばかり。
それに対して
・レンティの両親は、レンティから「無能」の烙印を捺されている。
・ルミエハ側で最高に有能だと思われるリーシェン伯は、レンティに完全に手玉にとられている。
――と、「乗り越えるべき壁」達は数も少なく大した役者として描かれていない。
(唯一、レンティの母ルイスに得体の知れない部分が少々あるが、もし「本当は有能」とかいう真相があったりしたら、そういう「もったいぶった描写」の仕方は、他にまともな敵役がいない作品ではむしろマイナス)
・常にレンティの言動を監視している、ルミエハ家が送り込んだ側近。
・二人に嫉妬する、嫌味な上司や先輩、同僚。
・貴族主義が鼻につく、人間を家柄でしか見れない無能な部下。
・家が決めた婚約者(――作中、二人は自らの努力で婚約者を迎えることを拒否したとなっているが)
いくらでも物語を盛り上げる「敵役」は居そうなのに、まるっきり出てこない。
総じて――
◆世界全体が主人公の二人に優しい。
どうやっても、「乗り越えるべき壁は低い」という印象しか抱けない。
盛り上がりに欠ける。
まるで、作者が主人公達を愛しすぎて、逆境に置くのを嫌がっているかのよう。置いているつもりで、実はヌルい。「乗り越えるべき壁」は高い方がいいのに、まるっきり低い。低く見えるようにしか描けていない(描写のポイントを外している)。
主人公の二人は有能な完璧超人――というだけならまだいいのだが、周囲にはそれに匹敵して対抗する障害がない。例えばライバルとなるキャラがいない。何にも、あるいは誰にも邪魔されることなく、完璧超人の二人がフルスペックで物語の解決に乗り出したら、いつでも物語を終わらせることができるという状況。
この状況では、物語にハラハラもドキドキもしない。
一章終了の時点で、課題(クエスト)【家門の対立を乗り越え、主人公の二人が結ばれる】に関しては何の障害も残っていない。二人が本気になればいつでもクリアが可能。
一応別の課題【レイラの死の真相を明らかにする】があるが、それはそもそもこの作品を読む最初にあたって提示された課題ではない。これが第一の課題である【家門の対立を乗り越え~】に関係がない(ように見える)限り、主人公の二人ではなく端役でしかないレイラを読者が気に入ったかどうかでしか、読み続ける動機を左右しない。
『炎の一夜』は「気になる伏線」ではあっても「課題(クエスト)」ではない。ロイやレンティは別に、【『炎の一夜』の真相を暴く】というクエストの解決を目指しているわけではない(作者の思惑は違うかもしれないが、そうは描かれていない)。読み続ける動機として、決定的な理由になりえない。
仮に、私が読んでいない二章から後に、すごい障害なんかが登場して物語を盛り上げようとするのだとしても、タイミングが遅すぎる。
冷たい言い方をすれば、そこまで読み続けられることのできなかった話しか書けない作者では、新しい展開もたかが知れているとしか予想できず、読み続ける意欲には繋がらない。
一章終了で話数が半分に至ったというボリューム的にも、今更新しい何かが出てきたとしても、結局は中途半端にしかならないだろうという予想図しか描けない。
▼キャラクターの心情
前項は「主人公達の置かれた状況について」ですが、ここで述べるのはその状況における主人公達の心情。
結局のところ、どんなに環境が整っていようが、当の本人達が前へ進めない理由を抱えているのであれば、そんな解決策は無責任な他者からの無責任な決め付けにしかならない。
他者の目からはもう両思いで結ばれることが分かってるカップルだろうが、当人達に告白する勇気がないのなら、決着はつかないということ。
それに対するこの作品のスタンスなのですが――
両家の対立が具体的に描かれていない/描かれているように見えない/壁は低いようにすら見える……と、これまでに述べてきたことに対し、当の本人達はそれを深刻に悩んでいる。
裏を返せば、二人にとって重要なのは「家の問題」なのであって、「互いの気持ち」なのではない。少なくとも、優先順位は「家の問題」の方が高い。
ロイがレンティの気持ちを知るのを怖がったり、レオのことに踏み込めなかったするという気持ちの動きは「好ポイント」なのだけれど……
結局のところ、この作品の焦点はそこにはない。
作品の構造的にも、話題が常に「家の問題」の絞られていて、「互いの気持ち」は話に彩りを添えるだけのアクセントや、味を引き立たせる香辛料の役割しか担っていない。
特に一章に入ってからは、描写・説明の比重がレンティに偏ってロイが少なくなっており、恋愛に関しての気持ちの動きは、ほぼロイのみの事情になってしまっている。
『主題(テーマ)』が【恋愛】でありながら、実は恋愛については二の次になってしまっている構造になっている。(今までと同じように、描写のポイントを外してしまった結果なのかもしれないが……)
そして、「キャラにとっては家の問題が深刻」なのに対し、描写されている内容から「読者にとっては深刻じゃない」という温度差が生じている。
それゆえに、(少なくとも私にとって)今後の展開に期待を持てなくなってしまっている。
いっそ、家の問題なんて最初から設定しないで、二人の気持ちの問題のみに焦点を当てたラブコメに終始してしまったほうが、面白い話が書けるんじゃないだろうか?
現在の設定を踏襲するのなら、ちゃんと読者に伝わるように「家の問題」をきっちり描くか、作品の構造を逆転させて、話題を常に「互いの気持ち」に絞って、「家の問題」の方こそを、話に彩りを添えるだけのアクセントや味を引き立たせる香辛料の役割に押し込める、そういう必要がある。
ここでも、「家の問題は重要ではない」、ということなのではなく、「重要に見えるような描き方をしていない」のが問題。
家の問題が重要で深刻ならそれはそれでいいのだが、それが分かるように伝えられていなければ、読者にとって意味がない。意味がないように見えるから余計に、「互いの気持ち」の描き方が中途半端なことに不満を抱く。
結局のところ――
◆作者が設定に振り回されていて、制御できていない。結果、作品の要点を外してしまっている。
▼
他にも突っ込みどころは多々あるのですが(特に貴族社会と軍組織のそれぞれの整合性の欠如とか、その二つが並存していることによる矛盾とか)――
結果、随分と長くなりましたが、この辺りで失礼したいと思います。
如月あい
[2013年 03月 16日 (土) 10時 43分 59秒]
二度目のコメントありがとうございます!
このコメントに対する返信は、ネタバレを多く含みすぎるので、メッセージにて直接送らせていただきます。
投稿者:
転屍
[2013年 03月 13日 (水) 05時 07分] ---- ----
▼一言
「小説家になろう~秘密基地~」にて「マゾ募集! 超・辛口批評します」の批評依頼を募集しておりました、転屍と申します。
遅くなりましたが、ご依頼いただきました批評をお届けします。
今回の投降は一回目となります。内容が長くなりますので、分割させていただきます。
申し訳ありませんが、以後、言葉遣いがざっくばらんになります。長丁場で丁寧語を続けていく自信が当方にはございませんので、お目こぼしいただけますようお願いいたします。
では、前置きは早々に切り上げて、早速批評といきましょう。
▼まずはじめに
あなたにとっては残念なことだろうと思いますが、私がこの作品を読み進められたのは、一章の終了までです。
ただし、「一つの区切りだからそこまでは読もう」と思ったからそうしただけです。実際にギブアップしたくなったのはもっと前の段階になります。序章で学校の話が出たあたりから雲行きが怪しくなり、一章開始直後の内容で「もう期待は持てないだろう」と感じ、一章の中盤にさしかかったあたりで結論を出しました。
理由はこれから説明しますが、少なくとも私にとってこの作品は魅力的には感じられず、そこまでしか読むのを堪えられないものでした。
これから述べる批評は、一章の終了時点までの内容に関してのものとなります。
▼おおまかな印象
端的に言いますと――
◆細かい突っ込みどころが多すぎて、内容に集中できない。
――というのが途中で読むのを止めた理由です。
何がどう「突っ込みどころ」なのかはこれから説明していきますが、先にもう一つ述べておきましょう。
◆しかし、キャラクターは魅力的である。
評価依頼の募集時に「褒められるなんて甘い考えは捨ててください。徹底的にこき下ろします」などと書いたりはしましたが、キャラクターの魅力に関しては素直に評価できるところです。
ただし、裏を返せば――
◆魅力的なキャラクターを結果的に損なうほどに、作品全体に突っ込みどころが多すぎる。
――ということです。
もしこの作品を読む手段がweb小説ではなく書籍という形であったなら、切りが良かろうが悪かろうが、一章の最後まで読み続けることはなかったでしょう。
それはひとえに、一話一話の掲載量が少なかったから。一話読んではしおりを挟み、一話読んではまた次の機会に訪れる、ということを繰り返してもよかったから。
言い方は悪いですが、「空いた時間を利用する/片手間に読んでさえいれば苦にならない」レベルの労力しか、読むこと自体には必要とされなかったから読めた。これはあなたの作品自体の力ではなく、web小説という掲載媒体の手柄でしかない。
もしこれが書籍として一冊の本という形で読むことを求められていたら、内容の魅力度と本を持ち歩く手間を天秤にかけて、後者の方を面倒に感じてもっと手前の段階で読むのを諦めていたでしょう。
▼文章技術関連
◆全体的に文章がおかしい
結論を言えばこうなるのですが、ちょっと説明が難しいです。
「読み味自体は悪くない」んですよ。
決して、「読んでいて苛立つほど、あからさまに日本語として破綻している」とかいう極端なことはない。昨日今日言葉を覚えたばかりの初心者中の初心者、などという印象は持たなかった。車であれば、若葉マークくらいならば外しても問題はないだろう、という程度には書けている。
ただそれは「目を覆うほど下手ではない」というだけです。
「下手ではない」=「上手である」という意味にはならない。
何故、「全体的に文章がおかしい」のか? いくつもの要因があります。
▼▼①語彙
まずは軽く。
◆行頭に一字空白を用いるべきなのに、有ったり無かったりしている。
◆疑問符(?マークのこと)の後の一字空白が、有ったり無かったりしている。
これらは見直せばすぐに修正できますよね? こういう「うっかりミス」は、ご自身できっちり潰してください。
◆『誤字』の頻度が高い。
自分では気付きにくいとは思いますが、これも自分で何とかしてください。
たまに見かける程度なら、行頭や疑問符後の空白と同様に「うっかりミス」で済ませてもいいのですが、ちょっとそれで済ますには多すぎます。
校正が目的ではないので逐一メモをとったりはしませんでしたが、見直してすぐに発見できるもの/印象に残っていたものだけ挙げておきます。
(序章:ミドルネーム)
>特に、勉学的な面ではまず叶わない。
⇒ ×叶わない 〇敵わない
(序章:ミドルネームsideB)
>ロイがそうやってプラスに考えてくれたことを不意にするのは惜しい気がする
⇒ ×不意 〇ふい
(序章:十一歳の二人①)
>日の指す場所
⇒ ×指す 〇差す
(序章:十一歳の二人③)
>ロイの静止をふりきって
⇒ ×静止 〇制止
(序章:十一歳の二人⑤)
>反論しようといて、それまで黙っていたレイラが手を挙げて二人を静止する。
⇒ ×しようといて 〇しようとして
⇒ ×静止 〇制止
(一章:隊長の奇行の謎①)
>もう、暗証できそうなぐらい目を通した。
⇒ ×暗証 〇暗唱
>オブスキィトの時期後継者が
⇒ ×時期 〇次期
(一章:ケルドでの任務①)
>オブスキィト時期後継者の正妻という肩書
⇒ ×時期 〇次期
(一章:光の一族の権威①)
>門をくぐって、丸い噴水の前に立っていた初老の男性の前に馬を止めると、鐘楼の男性は恭しく頭を下げる。
⇒ ×鐘楼 〇初老
以上が間違っている全てではありませんからね、念のため。先に述べたように、今すぐ思い出せるもののみです。
ここに挙げたのは主に漢字の間違いで、こういうのはざっとでも見直せばすぐ思い出せる間違いなのですが……。他にも間違っていたのは「てにをは(助詞)」などがあったはずです。
自分で何とかできないなら、校正を手伝ってくれる方を見つけてください。
◆致命的な『誤用』がある。
誤りを単なる誤字としてだけ見ると、特別な理由のないキー操作の間違い=タイプミスでも起こりうるので、それが「うっかりミス」なのか、「最初から使い方を把握していなかった」のか、他人からは判断できない場合の方が多い(上にあげた諸々の誤字も、私にはどちらなのか判断はできない)のですが――
あなたの作品には、「『明らかに』最初から使い方を把握していない」という『誤用』もまた多く出てきます。
それらの多くは、単に言葉としての問題ではなく「作品の設定」にも影響するので、その際にまとめて述べることにしますが、ここでもいくつか述べておきましょう。
あなたが犯している『誤用』の代表例――例えばそれは、度々用いられている「軍属する」という言葉です。
十中八九、この言葉に「軍に所属する」という意味を込めたのでしょうが、これは一般に存在しない、『あなたが独自に作成した造語』です。
通常なら、造語は造語であって正しいとか間違っているとかの問題ではない、としてもいいところなのですが……
残念ながら既に、「軍属」という言葉はあるんです。それも、別の意味を持って。
【軍属(ぐんぞく)】
軍隊組織において、戦闘要員である軍人には分類されない、非戦闘員。軍の裏方に属する一般技術者等の総称。
――と、いう意味です。
軍という組織体制は国や時代によってまちまちですので、「軍属」と「軍人」の区別も流動的ではあるんですが、一般的には上記のニュアンスが込められています。
ロイやレンティがしきりに「軍属する」「軍属する」と言っているのを読むと、苦笑いしか出てきません。アレは「軍人になる」という意味にはとれないんです。「軍の中でも、非戦闘員――後方の事務官とかになりたい」と言っているようなものです。
この言葉の初出は『十一歳の二人①』ですが、特にレンティは「軍属する」と言った直後に「文官なんて絶対いや。あれは実際には自分で動かないじゃない。ただ与えられた、実際の経験が伴わない、文字の情報を処理するなんて仕事、絶対いやよ。私が、そんな頭でっかちな仕事やりたがると、ロイは思ってたの?」ですから、苦笑するしかないです。
最大限好意的に解釈して、「軍属する」というあなたの造語は動詞で、「軍属」という言葉は名詞なのだから、扱いそのものが違う……と強弁できなくはありません。
が、既にもう「軍属」という確固たる言葉が存在する前提で「軍属する」という派生語を目した場合にどう意味をとられるか、一般解はわかりますよね?
また、序章で「軍属する」という言葉を使っているのはまだいい。これから二人がなるのはまだ「正式な軍人」ではなく、「軍人を目指す学生」なのだから、「形式上軍隊に所属するけど、まだ正式な戦闘要員ではない」――と、序章の時点であれば(作品に書かれてはいませんが譲歩して)解釈もできる。
が、一章に入って既に正式な軍人になってからも「軍属する」という言葉を使い続けている以上、この解釈は成立しません。
もう一つ例を。
(序章:十一歳の二人①)
>去年会った時より、美しくなった少女を見て、おもわず嘆息する。
【嘆息(たんそく)】
悲しんだりがっかりしたりして、ため息をつくこと。また、そのため息。
――どう見ても、このシーンはロイがレンティの美しさに見とれて「感嘆」したんですよね? まず間違いなくがっかりはしていない。
うろ覚えしていただけの「嘆息」という語を、意味を確認せず使ってしまったのか。
それとも「感嘆のため息をついた」という意味を込めてまたも作った『造語』なのか。
使った理由はわかりませんが、残念ながらこれは明らかに『誤用』です。
◆そもそも、語彙が乏しい。
うっかりミスの中に混じっているであろう、最初から使い方を把握していなかったゆえの『誤字』。
明らかに意味がわかっていない『誤用』。
この二項と、更にいくつもの事例から、あなたにはそもそも語彙力が足りないことが見てとれます。
例えば――
(序章:見守る者の葛藤)
>ロイの護衛は、主人であるマリエに思わず聞く。
行為としての「聞く」という言葉は間違っていないけれど、マリエと護衛は主従関係なのだから、この場合は「たずねる」とか「うかがう/うかがいを立てる」とか、へりくだった言い方にした方が相応しい。
(序章:オブスキィト家の夕食)
>それはロイにも感じられて、三人がそろう食事の時間は少ないけれど、ロイにとっては大切な時間だ。
三人がそろう食事の「機会」です。
「時間」だと、三人での食事の時間が短い⇒普段バラバラにとっている独りの食事の時間の方は長い、みたいなニュアンス。
このままだと、「そもそも集まる機会が希少」なのではなく、「例えば父が、食事の後に仕事を控えていて、すぐに食事を切り上げて出かける」みたいな意味にもとれる。
(序章;十一歳の二人⑥)
>飛び地で、小屋が一個たってて、その小屋の床下につながってるのよ。
建物の数え方は「一棟(ひとむね)」や「一軒」。
――などなど。全部を挙げると切りがありません。
他にも例えば、主に台詞で見られる敬語の使い方が怪しいとか。
「知っている」だけではダメなんですよ? それを「使う」ことができなければ意味がありません。
『誤字』、『誤用』、そして基本的な『語彙』。
一つ一つであれば、些細な間違いや違和感、ちょっとした読み難さですが、チリも積もればなんとやらです。
そして、あなたの作品にはそのチリが非常に多い。
▼▼②悪文
話が飛躍していて文脈がとらえ難い。あるいは、そもそも何が言いたいのかわからない。それらが『悪文』と呼ばれるものです。
これもまた、「全体的に文章がおかしい」の理由の一つ。
『悪文』が生まれる理由はいくつかありますが――
◆無闇な長文
>別邸に滞在中に、成り行きで木の実をとりに行ったら、途中の茂みに少し癖のあるロイの髪が絡まったときは、文句を言いながら、なぜか所持していたナイフで枝を切ってくれた。
>川の幅はそれなりにあるものの、小さい自分でも、飛び石のある場所は、簡単に渡れたような穏やかな川は、今の自分なら、どこからでも渡れそうに見える。
>レンティの母親、ルイスはルミエハの当主として絶大な誇りを持っており、超絶プライドの高い女で、その夫、ダンテは、そこそこ良い家の末子だったため、婿養子としてルミエハ家に入った。
>ここオブルミの森は、ルミエハとオブスキィトの緩衝地帯だが、それを取り囲むのは両家の邸宅であり、それをさらに囲むようにして、ルミエハの領地だったり、オブスキィト側には、ほかの家の領地が広がっている。
>森の南側、川の下流は崖になっていて、川の水は滝として流れ落ちており、北側、川の上流には山があり、山を越えると、町があるが、現在ではきれいな街道が山を迂回して整備されているため、普通に暮らしている人間で、山越えする者はいない。
>その直後に聞こえた、自分の名を呼ぶ悲痛な声に、後悔して、それをなだめようとして、できるだけ軽く返事をしたら、彼女が崩れ落ちて、再び後悔した。
……あなた自身、読み返してみて、コレらを「過不足なく読みやすい文章だ」と評価できますか?
念押ししておきますが、これらはほんの一例です。
たいてい、話題が二転三転しています。話題ごとにまとめて、文章をちゃんと区切りましょう。
一つ、添削してみるなら――
⇒ 川の幅はそれなりにあるものの、流れは穏やかだ。身体がまだ小さかった幼い頃の自分でも、飛び石のある場所であれば簡単に向こう岸へ渡れたものである。だが今の自分なら、飛び石などなくともどこからでも渡れそうに見える。
◆句読点の使い方がおかしい。
>一年に二か月間だけ、会える友達、ルフレにいろいろと教わったというのは大きいが。
>人の気配には、それなりに敏感なレンティだったが、考え込みすぎて、声をかけられるまで、気づかず、思わず声をあげてしまう。
>ロイにはレンティが、彼の母親に会ったことは話していない。
>どうして、と聞いたら、レイラは、再び、レンティにはまだ早い、の一言で話を終わらせてしまった。
>レンティから見れば、レイラはとても大人だが、やっぱりそれより上、となるとレイラでも子供に見えてしまうのだろうか。
>ロイがレンティほど、大人の事情、を知る機会がないのは彼と話していて、分かっていたが、自分の両親が直接育てているなら、納得だ。
>ロイはレンティを引っ張るようにして、森の奥、ルミエハ邸の方へ、向かって走り出す。
……再び念押ししますが、やはりこれらも一例にすぎません。
それと、先に「無闇な長文」の例として挙げた文章も、この「句読点の使い方がおかしい」という内容を含みます。
他にも例えば――
(一章:光の一族の権威①)
>リーシェン伯爵の従者、という言葉に思わず反論しかけたが、ルミエハ家の後継者としては、そこを否定するのはまずい。
「リーシェン伯爵の従者」って誰のこと?
「リーシェン伯爵の言葉に思わず反論しかけたが~」と「従者、という言葉に思わず反論しかけたが~」がいっしょくたになって、居もしない人物が湧いて出てきたよ?
句読点の『意味』と『役割』、ちゃんと理解して使ってますか? 句読点があるのは決して「リズムをとる」ためでも「息継ぎをする」ためでもないんですよ?
「ただなんとなく」で使ったりしてませんか?
長文と句読点の使い方だけが『悪文』の生まれる理由の全てではありませんが、まずはそこから改善してください。
▼▼③描写
一見した印象として――
◆描写が薄い。
この作品は、あらゆる場面で、その背景となる状況などの描写・説明が不足しています。
別に、比喩を多用したり美辞麗句を並べ立てて文章を装飾しろ、などと言うつもりはありません。
単純に、情景を想像するための必要最低限な情報すら書かれていない、ということです。
それともう一つ――
◆描写のポイントを外している。
作者は説明したつもりになっているんだろうけど、実際には読者に何も伝わらない書き方しかしていない、というケースも多い。
例えば、プロローグから登場している「川」。最初は、この川がいったいどんなものなのか、ほぼ一切の描写がない。
この川がプロローグのみに登場して後に一切登場しないような場所なのであれば、「どうぞご自由に想像してください。どんな川を想像しても物語には何の影響もありません」として、描写・説明をしなくてもいい。
が、この川は後々にも登場し、物語に深く関わってくる。
それでありながら、川に対するまっとうな描写・説明がなされるのは『十一歳の二人①』まで待たねばならない。実に10話以上にわたって、ほぼ何の説明もない。
「幼い頃は『緩衝地帯』の意味がわかっていない」ということで、その時点では開示できない情報が一部にあった、というのは別にかまわない。
が、単純な風景/目に入る景色なんてものは、年齢も何も関係がない。最初からあってあたりまえの情報。
具体的に言うと、私はプロローグとその後の数話を読んだ時点では、「森の中に川がある」なんてことは露ほども想像できなかった。
子供が特に苦労した様子も無く川べりまで一気に走ってきて訪れることができる「川」。そんな川が、木々に囲まれた森の中にあるなんて、どう想像しろと? 「森」というキーワードがなかったわけではないけれど、これまたまともな描写・説明がないので、せいぜい「川の近くに森がある」程度にしか認識できない。
先に言ったように、「どうぞご自由に想像してください。どんな川を想像しても物語には何の影響もありません」というならそれでもいい。
しかし、『十一歳の二人』になってから、情景を理解しないと成立しない話の作りになっており、しかも『後出し』の情報でそれが判明する、というグダグダな展開を行っている。これではダメダメです。
「川」や「森」というキーワードを出したところで、それだけでは誰もあなたの脳内にある景色を察することはできません。
同じように、一章に入って物語の舞台を「城下町」とか「首都」とか書いていますが、これだけでは何の説明にもなっていない。ジオを案内するシーンがあるにはありますが、ぶっちゃけ、この舞台がどんなところなのか具体的に想像できる情報はほぼ何もない。
果たして、この舞台は「どうぞご自由に想像してください。どんな都市を想像しても物語には何の影響もありません」となりますか?
ちなみに、『誤用』のところで「設定にも影響がある」と後述することにしたものの一例がコレです。まあ「間違っている」というわけではないですが、「首都」というのは国の政府機関が存在する場所を指すのであって、必ずしも「栄えている都市」を意味しない。「城下町」というのは城の周囲に町が形成されていることを示しているのであって、やはり必ずしも「栄えている都市」を意味しない。また、「城下町」は「町」とあるように、字づらの上ではその規模が小さく見える。
(余談だが、「城下町」は日本の歴史に固有のものであるというニュアンスの強い用語。他に「宿場町」とか「門前町」とかがある)
『語彙』の問題でもありますが、せめて「王都」くらいは出てこなかったのか……
他にも例えば、レイラが初登場した際。
まるっきり説明足らずで、当初は「レンティと一緒の屋敷に住んでいる、親戚とか身内の女の子」くらいの認識でしたよ。そうじゃない、と分かるのは次話以降。
こういった、「出すべき情報を出さない/出すタイミングを逸している」という例も枚挙に暇がありません。
そして更に他にも、描写そのものが稚拙である場合。
(序章:誓い)
>「―――」
>帰ろうとしたロイは、かすかな音を聞いた気がして、歩みをとめる。
>「ロイっ!」
>今度ははっきりと、久しぶりに聞く声に、ロイは慌てて振り返る。
>そこには黒髪の少女が立っていた。もともと細かった彼女だが、少しやせた気がする。
これらの描写からは、音や声が中々届かないほど、遠くの位置に二人は立っている、と読み取れる。
実際には描写されていないが、川を挟んでそれぞれの領地側の川辺に二人は立っているんだろう、くらいの距離感のつもりで読んでいた。
ところが――
>レンティがうなずくのを見て、ロイは、一歩、レンティに近づく。
>レンティが、宣言したあと、彼女の首に、細い銀細工のネックレスをかける。
――いつのまにやら、たった一歩前に進んだだけで、首飾りを渡せるくらいに接近している。
遠く離れていたんじゃないの?
わけがわからない。
ようするに、全体的に、
◆あらゆる場面で、「言葉足らず」な文章しか書けていない。
――ということ。
(序章:ミドルネーム)
>ただ、デュエルがいろいろ分かるようになったとはいえど、もとの知識量の差が違いすぎて、ルフレが知らないような知識、というのはほぼない。
>特に、勉学的な面ではまず叶わない。
>ならばと、思いついたことを口に出す。
この場面でこの書き方では、「思いついた」の意味に二通りの解釈が可能。「なんとか思い出した」と「咄嗟にでっちあげた」。
どちらの解釈が正しいのか、この場面ではなく後の場面でマリエが登場するまでわからない。
(序章:聞きたい話 sideB)
>狂気を、憎悪をしらない。
>意図的に人を傷つけることが、そういう人がいることを知らない。
>「想像は、できたはずです。ヴェントスの屋敷をすべて燃やし尽くすには、それなりの準備が必要だったはずですから」
>「でも、悪い人たちだったわけではないんでしょう?」
この書き方だと、最後の「悪い人たちだったわけではないんでしょう?」の対象は「放火犯」のことになる。
「でも、火をつけた人たちは、悪い人たちだったわけではないんでしょう?」
と読める。
主語が抜けている。
⇒「ヴェントス家の人たちは、悪い人たちだったわけではないんでしょう?」
そもそも、ここで「でも」と接続すること自体が文章としておかしい。これがあるから余計に、「でも、火をつけた人たちは、悪い人たちだったわけではないんでしょう?」 と読める。
▼▼根本的な原因
『誤字』は、ともかく――
『誤用』を行ったり、『語彙』『悪文』『描写』で失敗したり、ということが起こる根本的な原因。
完全に「私個人の推測」ですが、あなたの文章を読んでいて思い当たることがあります。
それは、あなたの文章が「口語」――話し言葉である、ということ。「文語」――書き言葉ではない。
「普段の会話に使っている、声に出して使う言葉」と、「文章として書き記す言葉」には違いがある、ということを理解していない。あるいは、理解が浅い。
このことが、あなたの作品の「全体的に文章がおかしい」ことの根本的な原因であると、私は推測します。
最初の方で述べたように、「読み味自体は悪くない」んですよ。
色々と文章のおかしな点を並べてきましたが、(一読した時点での印象としては)目を覆うほど下手ではない。
様々な不備はあるけれど、ある程度までは読めるものになっている。
で、あるのに、なにかしっくりこない。改めてよく見れば、「全体的に文章がおかしい」とわかる。
そんな、ある意味で「誤魔化されている」のは、口語としてなら読めるけれど文語ではないので厳密には間違いだらけ、というのが理由だと思います。
じゃあ、「口語」と「文語」は何が違うのか? 同じ日本語には違いないのに。
すみません、便宜的に「口語」と「文語」という言葉を使いましたが、その定義は今は関係ありません。
今言う必要があるのは、あなたの書いた文章が「聞き手と、話し手であるあなたとが、一緒にその場にいる場合にのみ通用する言葉」なのだということです。
口にする言葉それ自体の内容以外にも、話し手の表情や声のトーンなどから伝わる情報があり、それが言葉を補うこと。
また、ひょっとしたら話し手と聞き手は知り合いで、互いに共通の認識があるがゆえに、言葉にしなくても伝わってしまうものがあったりすること。
そういう、「その場の空気」「多少は何も言わなくても通じる」という、厳しい言い方をすれば『甘え』が前提に立っている言葉。それがあたなが用いている言葉です。
全く何も知らない相手に、声も音も、まして話し手の表情も使わずに、純粋に筆談だけで物事を伝えなければならない、という『姿勢』そのものが、あなたの作品に用いられた文章には結果的に足りていない。意識して書かれていない。
そう、私には見えます。
▼
長くなりましたので、今回の書き込みは以上とさせていただきます。
近日中に、この続きをお届けしようと思います。
内容は主に、キャラクターや作品世界の設定、物語の運び方や構成などに見られる突っ込みどころ――あなたの作品の根本的な弱点です。
文章技術なんてものは、自覚があって努力さえすれば直ります。度が過ぎる不備は困りますが、作品そのものの面白さには関係がない。(そもそも、投稿されてから半年以上経っているので、現在の文章力が当時のままとは限らない)
なので、次回述べるのは、もっと小説にとって大切な、根本的な「面白さ」――それについて、私が読むのを途中で止めた理由です。
如月あい
[2013年 03月 13日 (水) 11時 39分 56秒]
転屍様、このたびは評価ありがとうございます。
▼まずはじめに
あなたにとっては残念なことだろうと思いますが、私がこの作品を読み進められたのは、一章の終了までです。
☆やはり一章まであたりがネックなのですね。
序盤のもたつきや、描写不足に関しては感じていたので、これから改訂作業をしようと思います。
◆細かい突っ込みどころが多すぎて、内容に集中できない。
◆しかし、キャラクターは魅力的である。
◆魅力的なキャラクターを結果的に損なうほどに、作品全体に突っ込みどころが多すぎる。
☆キャラクター自体には一定の評価をいただけたようで、少しだけ安心しました。
しかしながら、全体としてマイナスに触れているのであれば、意味がないのだとも思いました。
▼▼①語彙
◆行頭に一字空白を用いるべきなのに、有ったり無かったりしている。
◆疑問符(?マークのこと)の後の一字空白が、有ったり無かったりしている。
☆この二つに関しては、承知しています。
行頭の空白に関しては、どうやらワードからのコピーがうまくいっていないようです。
疑問符に関しては、当初知らずに書いていたのですが、ほとんど書き終えた後でルールを知りました。
どちらのミスも、気付いてからは少しずつ訂正していたのですが、改訂版を書こうと決めてからは、そちらでまとめて訂正しようと思い、こちらではミスがそのまま残っていました。
勝手な都合で申し訳ありません。
転屍様のご指摘は、すべて改訂版に反映させようと思っています。
◆『誤字』の頻度が高い。
☆漢字の変換ミスは、以前から指摘をいただいて少しずつ直していたのですが、まだまだ直っていないところが多いようです。
しっかりと読み直して、改訂版で同じミスをしないように気を付けようと思います。
◆致命的な『誤用』がある。
☆「軍属する」に関しては、完全なる誤用です。どこで勘違いをしてしまったようか、ずいぶんと長い間間違えていたようです。
ほかの作品にも使ってしまっているので、そちらはすぐに訂正しようと思います。
「嘆息した」にかんしては、感嘆とごっちゃになっていたようです。一時的なものか、全てで間違っているのか、もう一度読み直して訂正してきたいと思っています。
◆そもそも、語彙が乏しい。
☆指摘していただいてその文を読み直してみると、確かに語句の選び方が正しくないと自分でも感じられました。
▼▼②悪文
◆無闇な長文
☆書いているときは、何も感じていなかったのでしょうが、時間をおいてみると、たしかに意味がとりにくくてわかりにくいですね。
◆句読点の使い方がおかしい。
☆句読点に関しては、いまだにどこで打つべきか悩みながら書いています。
指摘された文章は、どこに句読点を打つか悩みながら書いた文章でした。もう少ししっかりと考える必要がありますね。
おそらく句読点に関しての意味役割が、理解しきれていないのだと思います。
▼▼③描写
◆描写が薄い。
◆描写のポイントを外している。
作者は説明したつもりになっているんだろうけど、実際には読者に何も伝わらない書き方しかしていない、というケースも多い。
☆描写の薄さに関しては、情報を過不足なく伝えられるようにしていこうと思っています。
描写のポイント、特に川の話では、指摘されるまで気付いていませんでした。
確かにこれではどこにどんな川があるのか、ある程度話が頭の中にある私以外の人には理解できないものになっていると感じました。
城下町や首都などの表現に関しては、実は二章以降は王都と書いていて、一章でそのように表現していることを自分自身で忘れていた節がありました。
一つの作品の中で、同じものを違う描写で(無意識に)書いていました。
描写不足なことも合わせて、このあたりを再考したいと思います。
▼▼根本的な原因
「その場の空気」「多少は何も言わなくても通じる」という、厳しい言い方をすれば『甘え』が前提に立っている言葉。それがあたなが用いている言葉です。
全く何も知らない相手に、声も音も、まして話し手の表情も使わずに、純粋に筆談だけで物事を伝えなければならない、という『姿勢』そのものが、あなたの作品に用いられた文章には結果的に足りていない。意識して書かれていない。
☆この文章を読んだときに、なるほどと納得しました。
文章だけですべてを伝えなければならないということを分かっていながらも、自分では補って読めてしまって、気付けていなかったのだと実感しました。
「光の奔走」を書き終えて半年後の自分が読み返してみると、やはり読みにくさを感じる部分がぽろぽろと発見できました。
それでも、転屍様に指摘していただいて初めて気づいた部分もあります。それは自分の作品を冷静に読めていないということなのでしょう。
▼ 長くなりましたので、今回の書き込みは以上とさせていただきます。
近日中に、この続きをお届けしようと思います。
内容は主に、キャラクターや作品世界の設定、物語の運び方や構成などに見られる突っ込みどころ――あなたの作品の根本的な弱点です。
☆今回の批評だけでも、とてもためになりました。
細かな評価をありがとうございます。
さらにキャラクターや世界設定などについても書いていただけると聞いて、非常にありがたく思っています。
初めの方にも述べましたが、いただいた評価は、改訂版の方に反映させるつもりです。
この作品自体の訂正をするかどうかは悩んでいます。
もしこの作品で直っていなくても、いただいた評価を無視しているわけではないことを理解いただけたらな、と思います。
投稿者:
陸海 空人
[2013年 03月 05日 (火) 12時 19分] ---- ----
▼良い点
次々と読みたくなるその文章がとても魅力的。
長い文章であるのに全くこちらにストレスが無くていい。
ストーリーもとてもグット。読む度に心躍ります。
▼悪い点
今のところなし!!!
▼一言
まだすべて読み終えたわけではないのですが、このお話は最後までワクワクしながら読むことが出来そうです。
また新しい物ができましたら、そちらの方も読ませていただきます。
如月あい
[2013年 03月 05日 (火) 22時 47分 43秒]
感想ありがとうござます!
長い文章をストレスなく読めるというコメントを頂けてうれしい限りです。
間違いなく長すぎるのがこの小説の難点ですので。
こちらの作品は、シリーズものになっていますので、よろしければご覧になってください。
投稿者:
[2012年 09月 20日 (木) 21時 13分] 18歳~22歳 男性
▼良い点
文章自体は読みやすく、それでいて稚拙ではなかったので楽しめました。
子供キャラの心情も違和感無かったのですばらしいと思います。
▼悪い点
序章を半分読んで思ったのですが、内容が何か早足に進んでいるような気がしました。
無駄がないというか、遊びがないというか。自分も偉そうなこと言える立場じゃないんで恐縮なんですが。
序章を一気に読んだのですが、短い間に詰め込むべき情報が多くて少し疲れました。
▼一言
序章を読ませていただきました。
悪い点に関してはあまり自信がないので聞き流してもらって結構です。
それと、人物描写はまめになされているのですが、情景描写がほとんどないために、イメージがしづらい感がありました。
それでも一気に序章を読みきれたのは、やはり文章力があるからだと感じます。
続きも読ませていただきます。
偉そうなこと言って申し訳ありませんでした。
如月あい
[2012年 09月 20日 (木) 22時 15分 54秒]
感想ありがとうございます!
内容が早足というのは、確かにそうかもしれません。
おそらく「炎の一夜」あたりのところが特に負担なのだろうと思いつつ、
どうしても序章にそのお話を入れたいと思って、こうなってしまいました。
情景描写に関しては、全く意識としてなかったので、もう少し表現を足していけたらなと思います。
率直な感想ありがとうございました(^^)
続きも読んでいただけるなら幸いです。
投稿者:
[2012年 08月 18日 (土) 19時 09分] ---- ----
▼良い点
とても面白く、飽きさせない文章でした。
▼一言
はじめまして、評価依頼から来た鈴森悠です。
とても長かったので、短いのですがオブスキィト家の食事まで読みました。
あまり読めなくてすみませんでした。
登場人物の名前がとても可愛いですね。
如月あい様のネーミングセンスが光ってるな、と感じました。
感じたことは、とても物語が面白いということでした。
ロイとレンティシアとの可愛いお話は、読んでいてとても楽しかったです。
演出の仕方が上手だな、と思いました。
決め手は、レンティシアの家の食事風景の次に
オブスキィト家の食事風景を書く、とても比較しやすく
人物の感情など考えやすかったです。
またお気に入り登録してゆっくりながらも最後まで読もうと思いました。
とても面白かったです。
読ませていただき、ありがとうございます。
如月あい
[2012年 08月 19日 (日) 00時 30分 25秒]
評価ありがとうございます!
長さはこのお話の最大のネックです(^^;)
書きたいことをつめこんだらこうなってしまったという……
名前をかわいいと言っていただけてうれしいです。
おそらく鈴森様に読んでいただけたところまでの人物は、自分で考えた名前だと思うので
特にうれしいです。
ネタに困ると花の名前とかつけまくりますが(笑)
序章は、長すぎかな、と思っていたところがあるので、
面白いと思って、飽きずに読んでいただけているなら、幸いです。
こんな長いお話を読もうとしていただいて
本当にありがとうございます!
投稿者:
池中織奈
[2012年 07月 23日 (月) 13時 19分] ---- ----
▼良い点
シネラリアの女神を先に読んで、こちらは長いからどうしようと思いながら読みだしたら止まりませんでした。
とても面白かったです。ロイとレンティが凄く好きです。キャラが魅力的ですし、お話も面白かったです。
▼一言
シェリアとレンの話読んでると何だかうわぁって気持ちになりました。
シネラリアの女神の方でシェリアのキャラが大好きになってたので、余計に胸に来るものがありました。
物足りない、もっと読みたいって思えるようなとても面白い作品でした。
如月あい
[2012年 07月 23日 (月) 21時 05分 43秒]
感想ありがとうございます(^人^)
「光の奔走」長いお話なので読んでいただけて嬉しいです!
ロイとレンティはやっぱり思いれの深いキャラなので、好きだと言っていただけてよかったです!
「シネラリアの女神」も読んでいただいてる方には、より一層、レンとシェリアの話は悲壮感が強まると思います。
ただ、悲しいままで終わらせたくないからこその、「シネラリアの女神」連載スタートなんですけどね(笑)
もっと読みたいって思っていただけて本当に幸せです!
ありがとうございました(^^)
投稿者:
takigw
[2012年 07月 17日 (火) 08時 17分] ---- ----
▼良い点
伏線に驚きの謎解き
異世界版ロミオとジュリエット的な禁断の出会い
▼一言
とても面白かったです!!
特に良く練られた謎に驚かされました
完結してしまったのが残念なほどこの世界にもっと浸っていたい気分です
もうこれでロイとレンティの物語は終わりなのでしょうか
読みたい物語があればご検討いただけるとの事ですので物語のリクエストを図々しくもさせて頂きますね
ロイとレンティの後日談は書かない方針との事ですが
やっぱりできれば読んで見たいです
本編で余人の介入無しに二人が一緒にいる所が余り多くなかったので・・・
それか、最終話後二人の事を知った周りの反応とかあったらちょっとみてみたいです
後これは質問なのですが、ロイのご両親は二人の再開時にロイに「始めまして」とレンティに言わせますが
いかにして彼らはロイを説得させたのでしょうか
ロイにとってレンティと距離をおく利点とは何だったのでしょうか
できればこの辺りの再会の物語も読んでみたいです
図々しくてすみません
ご執筆これからも影ながら応援しています
それでは!
如月あい
[2012年 07月 17日 (火) 19時 07分 26秒]
感想ありがとうございます!
謎と伏線については、かなり重視したので、
気に入っていただけたのならうれしいです。
リクエストもいただけて嬉しいです!
ロイとレンティの後日談に関しては、
実は、書きたくないというより、思いつかなくて書けない、
というのが今の状況です(笑)
二人の物語は、レンティが実は婚約者だったという話が当初の荒い構想だったもので
レオとファリーナの結婚式とかは書きたくて、
それにはロイとレンティを出そうとも思っているのですが、
二人だけに焦点を当てた後日談は、どうにも想像が膨らまないので、
もし、何か思いついたら書くかもしれません
としか言えないです
すみません(^^;)
本編終了後の、二人に対する周りの反応に関しては、書けそうなので、
少し時間がかかるかもしれませんが書かせてもらいます!
質問の答えになるお話を、
下記のURLで「それはいつかの君のために」として載せましたので
ご覧いただけると嬉しいです。
ちなみにリクエストいただきましたお話も、下記のURLのほうで載せていきますので、
また覗いてみてください。
http://ncode.syosetu.com/n2006bh/
応援ありがとうございます!
がんばって更新しようと思います
投稿者:
萃花
[2012年 07月 01日 (日) 21時 20分] ---- ----
▼良い点
初めまして。
伏線の張り方や世界観にとても惹かれました。とくにミドルネームの意味が素敵ですね!
あとレオ君とファリーナちゃんにほのぼのしました。
これからも執筆がんばってください。
▼一言
ケルドでの任務①と②の間が1話抜けているように思いました。ご確認お願いします。
如月あい
[2012年 07月 01日 (日) 22時 39分 39秒]
初めまして。
感想ありがとうございます!
ミドルネームの案は自分でも気に入っているので
素敵と言ってもらえて嬉しいです。
レオ×ファリーナは本編でもう一度出したいなあと思っています。
ご指摘ありがとうございました!
訂正しましたのでご確認いただければと思います。
投稿者:
丸山宵未
[2012年 05月 03日 (木) 20時 33分] 18歳~22歳 女性
▼良い点
初めまして。富田久美子と申します。
拝読させていただいたのですが、物語の独特の世界観に惹かれました。とても読み応えがありました。今後の展開が楽しみです。
これからも素敵な物語を紡いでください。応援してます。
如月あい
[2012年 05月 03日 (木) 22時 31分 39秒]
初めまして。如月あいです。
「光の奔走」をお読みくださってありがとうございます。
まだまだ幼い二人の視点で描く世界は狭いですが、
二人の成長とともに世界を広げていきたいと思います。
今後とも応援よろしくお願いします。
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を必ずお読みください。
前回予告した通り、今回は「キャラクターや作品世界の設定、物語の運び方や構成などに見られる突っ込みどころ――あなたの作品の根本的な弱点について」です。
が、細かいところ全てに突っ込みを入れると切りがありませんので、(段階は踏みますが)話を一つに絞って述べようかと思います。
この問題は、計算式のような「唯一絶対の正解」というものはない問題になります。ですので、不可避の必然として、私の主観が混じっていることを予めご理解ください。
▼前提を確認します
>二百年に渡る名門オブスキィトとルミエハ両家の対立。
>オブスキィトの少年とルミエハの少女は、家の対立に抗い親交を深めてゆく。
>全てにおいて完璧な少女の隣に立つために少年は力を求め、無邪気に手を差し延べてくれた少年のために少女は強さを求める。
>両家の対立を乗り越えて、オブスキィトの少年は、ルミエハの少女の隣に立つことができるのか?
>両家の因縁を清算するため少年と少女が目指すのは……?
ご承知の通り、上記は本作品のあらすじとして書かれているものです。
作品の『主題(テーマ)』は【恋愛】。
そして――
作品が最終的にクリアしなければならない『課題(クエスト)』は、【家門の対立を乗り越え、主人公の二人が結ばれる】。
逆説的に言えば、この作品の内容は全て、この『課題』の提示とその達成のために存在しなければ意味がない、ということになります。
(誤解の無いよう先に言っておきますが、「枝葉・遊びの部分が無駄だから無くせ」、と言いたいわけではありません。それはそれで、「作品の雰囲気作り」に有効なこともあるでしょう)
これから私が述べるのは、この『課題(クエスト)』に対して、あなたの作品がどういった内容で書かれているか、ということになります。
▼描写について
前回の書き込みにて――
◆描写が薄い。
◆描写のポイントを外している。
――という指摘をしたことは、まだ覚えていただいてますよね?
この時に述べてもよかったんですが、今回述べたほうがより効果的だろう、と判断したものがあります。
それは、
◆オブスキィトとルミエハの両家の対立を、具体的に描写・説明している箇所がほぼない。
ということです。
課題(クエスト):【家門の対立を乗り越え、主人公の二人が結ばれる】
に対し、そもそも【家門の対立】を読者に伝えていない。
私の読んだ一章の終了時点、話数で言えば半分に達しているにもかかわらず、です。
……あ、一章の最後の最後で、ようやく「ロイに暗殺者を差し向けた」ということが判明しますね。随分と遅いのには変わりませんが。
一応、作品中にて、様々な人の口から両家は「仲が悪い」「敵対している」という趣旨のことが、言葉の上では語られてはいます。
でもそこに、『具体性』がない。
同じ対立するにしても、「気に入らないので相手がいないところで陰口を叩く」という子供の喧嘩レベルもあれば、「顔を合わせれば剣を交えずにはいられない」という殺し合いのレベルもあり、対立には様々な程度や形があります。
またその内容も、国家の重役を占める大貴族の対立ということなら、「大臣や将軍といった政治的・軍事的な地位を巡っての権力闘争」とか、「ある領地の所有権や、貿易・交易で得られる利益といった、金銭的なトラブルを巡っての対立」、「かつて互いの家が戦争をしたことがあり、今は休戦しているが、遺恨は未だくすぶっている」などなど、様々な理由が考えられます。
そういった『具体性』が、ほぼ何も語られていない。
ただ一言で「対立している」と書いただけでは、何も説明したことにはなりません。あなたの脳内にある両家の仲の悪さは、読者に伝わりません。◆描写のポイントを外している。
(ちなみに、重要なのは「過去に対立の発端となった事情」ではなく、「今現在の対立の様子」ですからね。あと、どっちが優勢とかいう情報は、先に『具体性』が示されていなければ空回りする情報でしかありません)
【家門の対立を乗り越え、主人公の二人が結ばれる】という必要があるのに、そもそも「乗り越えるべき壁の高さ」がわからない。
高いのか、それとも低いのか。
登場人物の口ぶりからはどうやら高いらしいけれど、具体性がないので読者の立場からは「実感」が得られない(むしろオブスキィト側の方針は対立解消ですらあるので、具体性と共に深刻性もない)。
こういうのは、言葉だけではあまり意味がない。
例えば、「犬が怖い」という人物がいるとする。本人あるいは誰かから「犬が怖いんだ」と聞かされるだけでは、「ふーん、そうなんだ」としか思えない。実際に犬と遭遇するシーンがあって、その人物がいかに犬を怖がり怯える反応をするのかを見ないと、それを実感することはできない。『百聞は一見に如かず』ということ。
例えば、幼い頃にロイとレンティの母親なんかが出会ってしまい、ロイのことをひっぱたいたり唾を吐きかけたりする、という直接的なシーンがあるとないとでは、まるっきり印象が違う。(暴力はあくまで例。レンティが同席しているかどうかは他との兼ね合いによる)
暗殺者の件のような一章後半なんて遅いタイミングではなく、出来る限り早く行わなければ、効果は見込めない。
暗殺者の件以外に辛うじて描写されているのは、レンティの両親が食卓でオブスキィトの悪口を言ったり、リーシェン伯爵が色々と言ったりしている、というもの。
前者は子供の喧嘩レベルの陰口でしかないし、後者は配下の一人が陰険だということが分かる程度のこと。
暗殺者にしても、誰からの刺客なのか判明するのは一章の最後で、イベントが描かれている最中はわからない状態(誰の仕業か曖昧な状態)。当事者であるロイもことさらに興味を持っているように描かれてはいないし、そもそもこのイベントはむしろ「レオの初登場であり面通し」の意味が強いので、レオの印象に霞んで暗殺者自体のインパクトが薄い。それでもって後から「実はレンティの母親の差し金だった」と判明しても、あまり印象に残らない。
これが既に両家の仲の悪さを「実感」できている状態でのイベントであれば、追加効果としてならば充分な役割が見込めるけど、実質的にこの暗殺者の件が「両家の対立は深刻である」と分かる最初のイベント。このタイミングでこんな片手間の内容では、効果不足でしかない。
それ以外はただひたすら、誰かの口から「仲が悪い」「敵対している」と九官鳥かオウムのように繰り返されているだけ。
……ここでついでに言及しておきますと、ロイやレンティが「優秀な隊長だ」と言われているのも「描写のポイントを外している」という意味では似たようなものです。
基本的に、読者にとっては九官鳥かオウムが言っているのと同じ伝聞情報でしかなく、その中心は学校や研修の成績が良かった、というだけでしかない。実際の仕事の風景には、ことさら印象に残るような「優秀な隊長だ」とわかるシーンやエピソードはない。
ロイやレンティが「頭が良い」と分かるこまごまとしたエピソードがあるのは良いのだけれど、それは「軍人としての優秀さ」としてはあまりインパクトがない。
▼主人公達の置かれた状況について
「乗り越えるべき壁の高さ」がわからない。
高いのか、それとも低いのか。
登場人物の口ぶりからはどうやら高いらしい。
――と、先に述べましたが、登場人物の口ぶりに反して作品中の情報から類推されるのはむしろ、「乗り越えるべき壁は低い」という印象です。
まず第一には、やはり「両家の対立に具体性がない」という先に述べた内容。
それに加え、全体的に
◆設定全般が二人にとって都合がいい。
ということ。
当たり前の話ですが、「乗り越えるべき壁」が高ければ高いほど、作品としてはそれをクリアしたときにもたらされる「面白さ」というのは大きい。
……まあ、高くしすぎて乗り越えるのに失敗したり、作者すら乗り越える手段を思いつかなくてご都合主義的展開に走るはめになったりしたら、壁を高くするのは逆効果にしかならないんですが……
だからといって「壁が低い」のでは面白みがない。
作品から読み取れる内容を見ると、極論すれば「レンティが家を棄てれば万事解決。いつ突然物語が終了しても、それだけやってしまえばハッピーエンド」としか思えないんですよ。
◆レンティには、「家を棄てられない」という「心情的理由」も「社会的理由」もない。
レンティは家に愛着も執着もない。
愛着どころか、両親のことはむしろ嫌っている。家の所有している財産や権力を欲しいとも思っていない。
例えば仮に――
レンティは一人っ子ではなく、大事にしている弟とか妹とかがいて、自分が家を棄てると弟妹が家を継ぐことになって不幸な目にあう。だから家を棄てられない。
――とかの理由があれば、両親のことがあっても家に居続けなければならない説得力も出てくる。
そういう理由が、レンティにはない。
レンティはいつでも家を棄てられる。
他に例えば――
両親はどうしようもないダメ人間だが、領民には何の罪も無い。自分が家を継がなければ多くの領民が路頭に迷う。貴族の誇りや責任として、自分のワガママから大勢の民を不幸にはできない。
――という理由が……ない。
少なくとも、レンティが領民を大事にしている、ということがわかるエピソードはない。むしろ、リーシェン伯の領民を見た際には、嫌悪感すら抱いている。領民の今後の進退には、特別な義務感や責任感は抱いていない。
レンティの両親が悪政を敷いているという情報は作中にない(善政を敷いているという情報もない)。レンティには、両親を打倒して領民を救うなどという理想を抱いている様子はない。リーシェン伯の領民を見た際に、「自分が何とかしなければ」と燃えていたりはしない。
また物語的に、この国では領主が失われても領民が困らないという『前例』が作中で示されている。「炎の一夜」のヴェントス領は、領主を失っても上手くやっている。
実際にレンティが家を去った後に、果たして良い領主が現れるかどうかは分からないが、家を棄てて領民に悪影響があるかどうか、絶望的・悲観的になる切迫した理由があるようには読み取れない。
レンティ自身も、家を棄てた後に路頭に迷うようなことは考えられない。「軍」にてある程度確固たる地位を築き、己の力で社会を渡っていけると描写がされている。
しかもこの「軍」は非常に健全でクリーンな組織である。人事は大貴族の御曹司や令嬢であっても実力主義によって配属され、有力貴族がコネや専横を行って実際には能力のないダメな人間が高い地位を占めているなどということはない。能力さえあれば平民も貴族とほぼ同じ地位にあり、同じ待遇で働いている――と、作中の描写から推察できる。
家を棄てたレンティに対し、両親などが「見せしめ」や「報復」を行うか?
高い確率で行われるような気もするが、レンティには「軍で己の力で築いた立場」という対抗手段がある。大貴族と軍の力関係を作中の描写のみで正確に推し量ることはできないが、異常なほど近代的な組織体系を持つ軍が、まったくの言いなりになってレンティを見棄てるとは考えがたい。そんな脆弱な組織であれば、あんなに健全でクリーンな体制は整えられない。
レンティ自身の性格からも、「見せしめ」や「報復」を理由に己の信念を曲げてまで家に服従するとは考えがたい。
幼く非力だった頃のレンティはともかく、成長したレンティはいつでも家を棄てられる。
もし、今現在レンティが家を棄てられない理由があるとするなら、課題(クエスト):【レイラの死の真相を明らかにする】ということに対し、今はまだ家に従っている必要がある(かもしれない)というあたり。
逆に言えば、それさえクリアしてしまえば、いつでも家を棄てられる。他に「家を棄てられない」理由が、レンティにはない(作中からは読み取れない)。
作中、スミアが語りセレスが同意している「ロイとレンティが結ばれない根拠」というのは、大前提として「レンティが家に縛られたままである」という思考に囚われているがゆえの論理。でもその前提は、本当のところはレンティを縛る鎖ではない。
レンティはいつでも壁を乗り越えられるけれど、今がそのときではない、というだけ。
実質的に、「乗り越えるべき壁は低い」どころか、既に壁はないも同然。
◆ロイの方も、レンティが家を棄てて困ることはない。
両家の対立の構造は、実際にはルミエハ家の一方的なものであって、オブスキィト家は積極的な対立姿勢ではない。
課題(クエスト):【家門の対立を乗り越え、主人公の二人が結ばれる】に対し、二人を隔てる壁のルミエハ側には何のとっかかりもないかもしれないが、反対のオブスキィト側には階段やロープすら用意されているようなもの。もしくは、積極的に手助けはしてくれなくても、ロイが自分で階段やロープを用意しても咎められるようなことにはならない。
実質的に、「乗り越えるべき壁は低い」。壁の半分は障害でも何でもない。
レンティと違ってロイは家を棄てられないだろうが、家を棄てたレンティがオブスキィトにやってきても、迎え入れる下地がオブスキィト側にはある。
家を棄てたレンティは貴族の娘でも何でもなくなるが、ロイの両親からして恋愛婚である。レンティの身分を理由に結婚を反対することはないと思われ、特にマリエは明確にそう描かれている。
両親以外の周囲はいい顔をしないかもしれないが、ロイにとって一番大事なのはレンティであって、それを気にするとは思えない。レンティがロイのために外聞を気にする可能性はあるが、それくらいは二人で幸せな家庭を築いてなんとかしろ。
何しろ両親という『前例』があるのだから、今更オブスキィト側の誰かが難癖をつけるために登場しても、物語的な説得力はない。
唯一、家を棄てたレンティでは、ロイの父親が目指す「オブスキィトとルミエハの完全和解」に対して何の協力もできなくなるが、それは別にロイの父親の腹積もりであって、ロイにとってはレンティよりも大事なものというわけではない。
課題(クエスト):【家門の対立を乗り越え、主人公の二人が結ばれる】の【家門の対立を乗り越える】は、方法として【家門の対立を「解消」する】を必ずしも意味しない。二人が結ばれるための障害となる部分だけをクリアできればそれでよい。
――もし、ロイとレンティの二人が自らにクエストとして【家門の対立を「解消」する】を課していれば話は別だが、作中、そのようなクエストは発生していない。
ロイやレンティにとっては互いが大事なのであり、そのための「手段」が家門の対立の解消なのであって、「目的」ではない。目的が達成できるのなら、手段は別のものでもよい。
……まあ、実際はこんなに単純にはいかないんでしょうが、結局のところ話は最初に戻って、「オブスキィトとルミエハ両家の対立を、具体的に描写・説明している箇所がほぼない」がゆえに、何が二人の障害となっているのかリアルに想像ができない。
「設定全般が二人にとって都合がいい」というのは他にも、
・幼いロイの護衛についていた男はオブスキィト側の人間であるけど、ルミエハ家の令嬢に敵意を持ったりしない。むしろ二人に同情的。
・ロイの両親は表立ってはいないが二人の味方。
・レイラは無条件に二人の味方。
・ロイとレンティの部下達や、同僚のセレスといった一章に入ってから登場するキャラの大半は、主人公二人の家柄に頓着していない。二人を人間として肯定している。
・スミアは行動に問題はあるけれど、ロイに対する恋愛感情はまっすぐで、ロイの背後の権力に擦り寄ってきているというわけでもない。レンティのことも人間的に嫌ってはいない。
・ジオは王家の立場からは中立的だが、個人の立場としては二人に賛同的。
――と、ロイとレンティの味方(+α)は数が多くて良く出来た人間ばかり。
それに対して
・レンティの両親は、レンティから「無能」の烙印を捺されている。
・ルミエハ側で最高に有能だと思われるリーシェン伯は、レンティに完全に手玉にとられている。
――と、「乗り越えるべき壁」達は数も少なく大した役者として描かれていない。
(唯一、レンティの母ルイスに得体の知れない部分が少々あるが、もし「本当は有能」とかいう真相があったりしたら、そういう「もったいぶった描写」の仕方は、他にまともな敵役がいない作品ではむしろマイナス)
・常にレンティの言動を監視している、ルミエハ家が送り込んだ側近。
・二人に嫉妬する、嫌味な上司や先輩、同僚。
・貴族主義が鼻につく、人間を家柄でしか見れない無能な部下。
・家が決めた婚約者(――作中、二人は自らの努力で婚約者を迎えることを拒否したとなっているが)
いくらでも物語を盛り上げる「敵役」は居そうなのに、まるっきり出てこない。
総じて――
◆世界全体が主人公の二人に優しい。
どうやっても、「乗り越えるべき壁は低い」という印象しか抱けない。
盛り上がりに欠ける。
まるで、作者が主人公達を愛しすぎて、逆境に置くのを嫌がっているかのよう。置いているつもりで、実はヌルい。「乗り越えるべき壁」は高い方がいいのに、まるっきり低い。低く見えるようにしか描けていない(描写のポイントを外している)。
主人公の二人は有能な完璧超人――というだけならまだいいのだが、周囲にはそれに匹敵して対抗する障害がない。例えばライバルとなるキャラがいない。何にも、あるいは誰にも邪魔されることなく、完璧超人の二人がフルスペックで物語の解決に乗り出したら、いつでも物語を終わらせることができるという状況。
この状況では、物語にハラハラもドキドキもしない。
一章終了の時点で、課題(クエスト)【家門の対立を乗り越え、主人公の二人が結ばれる】に関しては何の障害も残っていない。二人が本気になればいつでもクリアが可能。
一応別の課題【レイラの死の真相を明らかにする】があるが、それはそもそもこの作品を読む最初にあたって提示された課題ではない。これが第一の課題である【家門の対立を乗り越え~】に関係がない(ように見える)限り、主人公の二人ではなく端役でしかないレイラを読者が気に入ったかどうかでしか、読み続ける動機を左右しない。
『炎の一夜』は「気になる伏線」ではあっても「課題(クエスト)」ではない。ロイやレンティは別に、【『炎の一夜』の真相を暴く】というクエストの解決を目指しているわけではない(作者の思惑は違うかもしれないが、そうは描かれていない)。読み続ける動機として、決定的な理由になりえない。
仮に、私が読んでいない二章から後に、すごい障害なんかが登場して物語を盛り上げようとするのだとしても、タイミングが遅すぎる。
冷たい言い方をすれば、そこまで読み続けられることのできなかった話しか書けない作者では、新しい展開もたかが知れているとしか予想できず、読み続ける意欲には繋がらない。
一章終了で話数が半分に至ったというボリューム的にも、今更新しい何かが出てきたとしても、結局は中途半端にしかならないだろうという予想図しか描けない。
▼キャラクターの心情
前項は「主人公達の置かれた状況について」ですが、ここで述べるのはその状況における主人公達の心情。
結局のところ、どんなに環境が整っていようが、当の本人達が前へ進めない理由を抱えているのであれば、そんな解決策は無責任な他者からの無責任な決め付けにしかならない。
他者の目からはもう両思いで結ばれることが分かってるカップルだろうが、当人達に告白する勇気がないのなら、決着はつかないということ。
それに対するこの作品のスタンスなのですが――
両家の対立が具体的に描かれていない/描かれているように見えない/壁は低いようにすら見える……と、これまでに述べてきたことに対し、当の本人達はそれを深刻に悩んでいる。
裏を返せば、二人にとって重要なのは「家の問題」なのであって、「互いの気持ち」なのではない。少なくとも、優先順位は「家の問題」の方が高い。
ロイがレンティの気持ちを知るのを怖がったり、レオのことに踏み込めなかったするという気持ちの動きは「好ポイント」なのだけれど……
結局のところ、この作品の焦点はそこにはない。
作品の構造的にも、話題が常に「家の問題」の絞られていて、「互いの気持ち」は話に彩りを添えるだけのアクセントや、味を引き立たせる香辛料の役割しか担っていない。
特に一章に入ってからは、描写・説明の比重がレンティに偏ってロイが少なくなっており、恋愛に関しての気持ちの動きは、ほぼロイのみの事情になってしまっている。
『主題(テーマ)』が【恋愛】でありながら、実は恋愛については二の次になってしまっている構造になっている。(今までと同じように、描写のポイントを外してしまった結果なのかもしれないが……)
そして、「キャラにとっては家の問題が深刻」なのに対し、描写されている内容から「読者にとっては深刻じゃない」という温度差が生じている。
それゆえに、(少なくとも私にとって)今後の展開に期待を持てなくなってしまっている。
いっそ、家の問題なんて最初から設定しないで、二人の気持ちの問題のみに焦点を当てたラブコメに終始してしまったほうが、面白い話が書けるんじゃないだろうか?
現在の設定を踏襲するのなら、ちゃんと読者に伝わるように「家の問題」をきっちり描くか、作品の構造を逆転させて、話題を常に「互いの気持ち」に絞って、「家の問題」の方こそを、話に彩りを添えるだけのアクセントや味を引き立たせる香辛料の役割に押し込める、そういう必要がある。
ここでも、「家の問題は重要ではない」、ということなのではなく、「重要に見えるような描き方をしていない」のが問題。
家の問題が重要で深刻ならそれはそれでいいのだが、それが分かるように伝えられていなければ、読者にとって意味がない。意味がないように見えるから余計に、「互いの気持ち」の描き方が中途半端なことに不満を抱く。
結局のところ――
◆作者が設定に振り回されていて、制御できていない。結果、作品の要点を外してしまっている。
▼
他にも突っ込みどころは多々あるのですが(特に貴族社会と軍組織のそれぞれの整合性の欠如とか、その二つが並存していることによる矛盾とか)――
結果、随分と長くなりましたが、この辺りで失礼したいと思います。