2011年06月21日

グリーンピースが調べた福島市内のショッキングな放射線量

あまりマスコミでは報道されなかったようだが、国際環境保護団体グリーンピースが2回に渡り福島第1原発の周辺の避難地域を調査し、その内1回目では日本政府と異なる見解を示し、2回目の調査では日本政府と異なる調査結果を出していた。

まず9日、グリーンピースは、福島第1原発から約60キロ圏内の放射線が高い地域から、少なくとも子どもと妊婦は避難させるべきであり、そのために日本政府は資金や輸送などのあらゆる支援を行うべきであるという調査結果を発表していた。

このときにグリーンピースが行った調査結果による放射線量の結果は、ほぼ日本政府の発表と同じだった。

しかし、その放射線が子どもや妊婦に与える危険についての見解は、全く異なっていた。

グリーンピースのクミ・ナイドゥ(Kumi Naidoo)事務局長は、放射線に汚染された表土を除去した後の保育施設を訪問して語った。

「福島の人びとは放射線と情報不足という2つの問題に直面している」

また、同じくグリーンピースのヤン・ベラネク(Jan Beranek)氏はチェルノブイリ原発事故の調査を行った人物だが、日本政府が子どもの年間被曝線量の上限を1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに引き上げたことに対して、全く容認できない基準であり、正当化もできないものであると非難した。

ヤン・ベラネク氏は言う。

「チェルノブイリ原発事故後、当時のソ連政府は年間被ばく線量が5ミリシーベルトを超える地域に住む人の避難を決めた。」

この当時のソ連の基準の4倍もの基準を日本政府は設定したのだ。

特に成長期の子どもは放射線の影響を受けやすい。ヤン・ベラネク氏は、日本政府の基準で判断せず、マスクをし、風のある日は外出を控え、手に放射性物質が付着している可能性があるときは飲食しないことを訴えた。

そして、日本政府は正しい情報を提供すべきであると訴えた。

福島市在住の中手聖一氏(50歳)は、「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」を結成し、その代表となっている。中手聖一氏は、政府が子どもの年間被曝線量の上限を1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに突然引き上げたことに怒りが隠せない。

既に浪江町、飯舘村という福島第1原発の北西が汚染されていることは知られているが、福島市も危険ではないかという憶測は飛んでいた。

中手聖一氏は言う。

「浪江、飯舘のようにまんべんなく放射線量が高いのではなく、いわゆるホットスポット(突然数値が高くなる場所)があちこちに隠れているのが福島市なんです。でも政府が『安全だ』と言い張るから住民の危機意識が低い。そのことが事態をより深刻にしています」(2011年06月21日 週刊現代)

「直ちに問題はない。」といいながら対応を先延ばしにしてきた政府を信用できるはずもない。

「国が何もしてくれないなら、自分たちで考えて動くしかない」

中手聖一氏が「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」を結成したのはそのような切羽詰まった心情からだ。

そしてその思いを受けて動いたのが、再びグリーンピースだった。7日にグリーンピースのスタッフが福島市内の再調査を行った。

実はグリーンピースは早くも4月11日(つまり震災後1月後)には菅直人首相に次の要請を出していた。

「放射線量が依然として高く、人口も多い福島市や郡山市を含む地域を『特別管理地域』と指定し、汚染度の高い地区を除染するなど適切な措置を早急にとること」

結局、政府はこれを無視した。そういう政府である。

グリーンピース・ジャパンの佐藤潤一事務局長は指摘する。

「現在は学校の校庭や幼稚園、保育園の園庭の土壌汚染ばかりクローズアップされていますが、校庭・園庭が大丈夫なら安全といえるのでしょうかか。」

つまり、通園路、通学路の危険は全く無視されていることを指摘しているのだという。また、子どもたちが遊んでいる公園も危険だという。

そして保護者たちからの希望もあり、このたび再調査が行われるに至った。

グリーンピースとしては、日本政府が正確な情報を配信していないことに国際社会が納得していないことを上げ、このたびの調査にはグリーンピース本部のトップであるクミ・ナイドゥ事務局長が直々に参加した。また、チェルノブイリ調査も経験している前述の核・原子力問題担当部長のヤン・ベラネク氏も参加した。

彼らが如何に福島市の実態を危険視しているかが分かる。

調査結果を簡単に紹介したい。以下は2011年06月21日付けの「週刊現代」に掲載された調査結果の抜粋である。

まず、福島市役所から車で5分ほどの場所にある公園で調査を始めた。

公園の隅に盛られた土からは早速高い6.3マイクロシーベルト(毎時。以下同様)。

公園に積もっていた枯れ葉からは4.2マイクロシーベルト。

「こうして放置された枯れ葉が風で舞い散ると、汚染が拡大することになる」と言う。

トイレ裏の雑草からは9.1マイクロシーベルト。

トイレ入り口の排水路付近からは12.5マイクロシーベルト(!)。

以上の数値を知らされて、同行していた保護者たちが驚いた。もはや子供達を公園では遊ばせられないという。

そしてこの調査でグリーンピースが注目した結果が検出された。それは、セシウム134、セシウム137以外に、コバルト60が検出されたことだ。

原子力工学が専門の九州大学特任教授・工藤和彦氏はこの結果を重視する。

「コバルト60は自然界に存在しない人工の放射性物質で、半減期が5・3年と長い。60km離れた福島市で検出されたことは、原子炉のメルトダウンによって一定量のコバルト60が放出されたことを証明する、重大な事実です」(2011年06月21日 週刊現代)

グリーンピースのメンバーは続いて市立渡利中学校に向かっている。調査した公園の近くだ。

市立渡利中学校では工程の表土を削る作業が行われていた。削り取った表土は敷地内に穴を掘って埋めてある。

実は市立渡利中学校の土俵除染が始まる前に、中手聖一氏が独自で調べたときは、なんと一部の土からは360マイクロシーベルトの記録が出ていた。

それでは表土を削り、除染した後の土はどうか。

残念ながら45マイクロシーベルトが検出された。

この値は年間で240ミリシーベルトとなり、基準値の12倍となる。この段階でヤン・ベラネク氏は防護服を着用した。それだけ危険ということだ。しかしその向こうでは通常通り授業が行われていることが見えた。ヤン・ベラネク氏の防護服の方が大げさだと言わんばかりの風景になっている。

次に渡利中学校から約200m離れた私立保育園の通園路を測定した。

歩道の側溝は約2マイクロシーベルト。

保育園の正門が見える位置にある剣道場周辺で19.6マイクロシーベルト(!)。

ここは雨樋から水が流れ落ちる場所だった。この数値をヤン・ベラネク氏が解説する。

「一般的に汚染度が高いのは、植物の生えているところ、土がむき出しの地面、コンクリートやアスファルトの順番です。そしてもっとも危険なのが、雨どいの排水口の下なのです。それが溝などに繋がっていればまだマシですが、地面に垂れ流しになっていると危ない。屋根に降り積もった放射性物質が雨で流され、排水口の下にたまるんです。そこが土の地面だったり、植物が生えていたりすれば、数値はより高くなる。だが、福島の人々はその事実をほとんど知りません」(2011年06月21日 週刊現代)

先の剣道場玄関脇の雨どいの下、35マイクロシーベルト(!)。

以上の調査結果に対し、グリーンピースのクミ・ナイドゥ氏は語る。

「いまフクシマは、親が住むのに世界で一番つらい場所かもしれない。誰もサポートしてくれない。子供に何もしてやれない。私の出身地、南アフリカもそうでしたが、子供に危険が迫った時、守ってやれないのは親として悲しく切ないことです。今日はその現実を目のあたりにしました」(2011年06月21日 週刊現代)

この調査結果が示す数値は、福島市内が既にチェルノブイリでは避難区域に指定されていた地域並であることを示している。

しかし、日本政府はグリーンピースの警告に耳を傾けていない。



 
posted by しげぞう at 22:47 | Comment(11) | TrackBack(1) | ニュース | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TBどうもありがとうございました。
Posted by ラジオリビング館 at 2011年06月22日 00:35
グリーンピースが調べた福島市内のショッキングな放射線量を私のブログに転載させて頂きました。御報告申し上げます。
Posted by 寺田隆夫 at 2011年06月22日 16:50
ラジオリビング館さん、コメントありがとうございました。

先ほど再びそちらのブログにお邪魔し、コメントさせていただきました。
Posted by 管理人 at 2011年06月22日 22:03
寺田さん、コメントありがとうございます。

また、転載了解しました。グリーンピースの調査結果を多くの人に知って欲しいと思います。
Posted by 管理人 at 2011年06月22日 22:17
年間100ミリシーベルトまでは健康に悪影響がありません。
基準を年間20んミリシーベルトではなく、年間100ミリシーベルトに引き上げるべきです。
Posted by coffee at 2011年06月23日 23:37
しげぞう様、度々どうもありがとうございます。

マスコミによる風評被害というキャンペーンは恐ろしいです。ですが、そのマスコミの煽り対して国民がほとんど応えていないのが滑稽ではあります。

おっしゃるとおりで子供は絶対に守らないといけないといけません。放射能のニュースをコピペしてきましたが、放射能汚染の濃度と広がりが尋常ではないので大人はある程度のことを覚悟しないといけないのではないかと日々憂鬱になります。
Posted by ラジオリビング館 at 2011年06月24日 03:21
coffeeさん、コメントありがとうございます。

いつも貴ブログ楽しみにしております。当方、核武装には肯定的ですが、原発には否定的です。その理由についてはここでは省きます。しかし火力発電には肯定的です。

ところで年間100ミリシーベルトとは穏やかではありません。まぁ、私はもう50代が見えてきた年齢ですので、どうと言うこともないのですが、幼児や妊婦、あるいは成長期の子どもには危険ではないかと。というか、国民を守るために存在する政府が核武装するならともかく、国民を被曝させてどうする、というところです。

Wikipediaの情報で恐縮ですが、100ミリシーベルトは「将来の白血病やがんの発生確率に影響があるとほとんどの学者が認める放射線量」と記載されています。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A2%AB%E6%9B%9D

やっぱり素朴に怖いですよ。
Posted by 管理人 at 2011年06月24日 10:20
お邪魔します。
この記事転載させていただきます。
しかし、この国の政府は
総理の椅子が大事でも子供国民の命は平気で
見捨てるのですね。
愛国心を声高に叫ぶ人達がいますが
日の丸・君が代を強制するより
子供の命を守れの声こそが真の愛国心そのものだと
思います。
Posted by ゆきぼー at 2011年06月26日 19:17
ゆきぼーさん、コメントありがとうございます。

国民のことや、国家の行く末よりも重い総理の椅子とは何でしょうかね。

また、これほど人としての恥をさらしてでも守りたいほど総理の椅子というものには魔力があるのでしょうかね。

転載については了解しました。

そちらのブログに遊びに行こうと思ったのですが、URLが分かりませんでした。機会がありましたらお知らせください。

よろしくお願いします。
Posted by 管理人 at 2011年06月26日 21:07
年間20ミリシーベル自体はそれほど間違っていない
けど、20ミリシーベル以下は安全だからなにもしないというのが間違ってる
年間1ミリシーベルト以下を目指して除染を進めながら住むことの許容される値として与えたられたのが20ミリシーベルのはずなのに、その点を無視してる
政府関係者は、自分たちが行動の指針として認めた基準がどういう意味で与えられた数字なのかをちゃんと把握して動くべき
基本的にグリーンピースは嫌いだけど、この件に関してはよくやってくれていると思う
Posted by   at 2011年08月04日 18:10
コメントありがとうございます。

そうですね、実は私もグリーンピースそれほど好きな訳ではありません。ただ、こと福島第1原発の事故に関する調査では、日本人に貴重な情報を提供してくれていると思います。

ちなみに、下にグリーンピースをテロ集団だと決めつけている方のTBがありますが、いろいろな意見が有るべきだと考え、敢えて削除しておりません。
Posted by 管理人 at 2011年08月04日 22:52
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