[インタビュー]
マルコ・ロイス(ボルシアMG/ドイツ代表) 世界最高の幸福を感じて(1/2)
インタビュー・文=トーマス・ゼー 翻訳=阿部 浩 アレクサンダーPowered by WORLD SOCCER KING
近年、高度なテクニックを有するドイツ人の若手選手は枚挙にいとまがない。その中でもボルシアMGのマルコ・ロイスは、突出したスピードと創造性に満ち溢れた逸材だ。今夏にはドルトムントへの移籍を決めている渦中の俊英が、幸福に満ちたこれまでのキャリアを振り返る。
現在22歳のマルコ・ロイスはここ数年で急激な成長を遂げ、今や、ドイツ代表でも重要な存在になりつつある。左右両足を駆使したハイレベルなテクニックに加え圧倒的なスピードが特徴。優秀な若手が次々と台頭してくるドイツにあっても、彼は図抜けた存在だ。
ウィンターブレイク明けのバイエルン戦は、ロイスのパスセンスとシュートテクニックが存分に発揮された象徴的な試合だった。バイエルンの出鼻をくじく11分の先制ゴールに続き、71分には敵の守備網を一瞬で切り裂く高精度のスルーパスで3点目をアシスト。リーグ首位を争う強敵を目の前にして、完全に試合をコントロールして見せた。
そのバイエルンへの移籍がうわさされていたロイスが、去る1月初旬、ドルトムントへと移籍することを表明。今シーズン終了後に、ユース時代を過ごした古巣へと帰還することになった。渦中の俊英はいかに移籍を決断したのか。そして、ドルトムントでどのような未来を夢想しているのか。本人に直撃した。
人生で何かを目指す限り、難しい決断を避けては通れない。
──まずは、移籍について聞かせてほしい。今シーズン終了後にドルトムントへ移籍することが決まったけど、君にはバイエルンやマンチェスター・シティーからも熱心なオファーがあった。どうしてドルトムントを選んだのかな?
【ロイス】確かにバイエルンからは熱心に誘ってもらったけど、僕にはドルトムントが最良の選択だった。(マリオ)ゲッツェや(ケビン)グロスクロイツといった同世代の選手が多いし、あのチームにはとんでもないポテンシャルがあるからね。気心の知れた仲間と一緒に成長していきたいと思ったのが最大の理由だよ。
──ボルシアMGを去るという決断は難しかったと思う?
【ロイス】つらい決断だったよ。ボルシアは僕をここまで育ててくれたんだからね。でも僕は自分自身にこう問い掛けた。「もっと大きく成長したいのか、それともこのままのレベルでいいのか」とね。人生で何かを目指す限り、難しい決断を避けては通れない。幸い、クラブは僕の願いを受け入れてくれたんだ。
──ドルトムントのユルゲン・クロップ監督は「我々にとって、ロイスがドルトムントで生まれたことは本当に幸運だった」と話していた。やっぱり故郷への復帰は楽しみ?
【ロイス】両親と恋人は今もドルトムントに住んでいるし、生まれ故郷への愛情は今でも変わらない。心から落ち着ける環境に身を置けるという意味では、ベストの選択だったね。
──でも君がドルトムントの下部組織にいた時は、「線が細すぎて使えない」と首脳陣に判断されてトップチーム昇格の道を閉ざされたよね。3部のロート・ヴァイス・アーレンに放出された時は大きな挫折感を味わったんじゃない?
【ロイス】アーレンに移籍したことを「キャリアの後退だった」と言う人がいるけど、僕はそう思わない。むしろ、ブンデスリーガにたどり着くために正しい回り道をしたと捉えている。10代でレギュラーとして多くの試合経験を積めたし、2部リーグへの昇格も果たせた。あの経験は僕にとって貴重なステップだったよ。
──ドルトムント首脳陣の判断は大きな間違いだった。何せ、自前で育てた選手を約17億円で買い戻すことになったんだから。
【ロイス】でも、あの時の僕は180センチで60キロしかなかった。プロとして通用する体格ではないと判断されても仕方なかったかもしれないよ。
──今の体重はどれくらいなの?
【ロイス】この2年間で10キロ増やして70キロになったんだ。それでもまだまだ軽いと思うけど(笑)。
──筋力トレーニングは?
【ロイス】筋トレはそんなにやってない。でもフィットネストレーナーに頼んで、スピードや俊敏性がアップする特別プログラムを組んでもらっているんだ。フィジカル強化は重要視している。
──食事もかなり気を使っているらしいね。
【ロイス】ファーストフードをやめて、高タンパク低脂肪の食事を取っている。脂肪で体重を増やしても意味がないからね。
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