平成22年庚寅歳 今日庵初釜式

― 新春の光のなか、年初めの一碗を ―



  新春の清々しい光の中に小雪が舞う1月7日、京都の宗家にて平成22年(かのえ)(とら)歳を寿ぐ今日庵初釜式が始まりました。
  式場の「咄々(とつとつ)(さい)」の床は、天正6年(1578)寅歳生まれの元伯宗旦筆「龍虎(りゅうこ)」が掛かり、伝来の花入・利休端ノ坊には(あけぼの)椿(つばき)鴬神楽(うぐいすかぐら)、さらに結柳、神鈴のしつらえ。初日午前8時50分からの第1席には、千 宗左表千家家元、千 宗守武者小路千家家元、山田啓二京都府知事、門川大作京都市長、山田流家元、前原誠司国土交通大臣、衆議院議員の伊吹文明氏、稲盛和夫京都商工会議所名誉会頭、九條道弘平安神宮宮司、参議院議員の福山哲郎外務副大臣、塚本能交株式会社ワコールホールディングス代表取締役社長、熊谷信昭兵庫県立大学学長、林田 洋京都府議会議長、繁 隆夫京都市会議長、齊藤 修京都新聞社代表取締役社長、荒巻禎一元京都府知事、衆議院議員の北神圭朗氏、平 智之氏、参議院議員の二之湯智氏はじめ裏千家今日庵老分・顧問方など29名が席入りされました。

  千 宗室家元の炭手前に続いて初釜式恒例の菓子・菱葩(ひしはなびら)が供され、家元が「福禄寿 三ツ重茶碗」に練られた濃茶を千 玄室大宗匠が正客の千 宗左家元へ取り次がれました。




  賀客方が年初めの一碗を順服されると、宗家方が揃われ、家元が「寅歳の年頭にあたり、寅のようにしっかりと歩みを進めてまいりたいと存じます。本年も何卒宜しくお願い申し上げます」と挨拶されました。引き続いて金剛流宗家 金剛永謹氏が謡曲「四海波(しかいなみ)」を詠じられ、式場は厳かな中にも祝意に満たされました。
  

(右から)千 敬史様、家元、大宗匠、大谷宗裕様
         伊住禮次朗様
金剛流宗家 金剛永謹氏による謡曲


  家元は、式場の「龍虎」の御軸について、「“龍虎”とは、互いに道を究めた名人同士が切磋琢磨するという意味です。人と人とが交わる場で、そのように切磋琢磨できればという思いで掛けさせていただきました。私が幼い頃、祖父・淡々斎宗匠や鵬雲斎大宗匠が折りに触れてこの軸を掛けていたことが思い出されます。私としても思い入れのある軸を掛けさせていただくことができ、有難く思っています」と話されました。

  茶道会館2階広間の祝膳席では、千 容子家元夫人、長女・万紀子様や夫人方がおもてなし。また、茶道会館心花の間と裏千家学園茶室に薄茶席が設けられました。




兵庫県立大学学長 熊谷信昭様と家元夫人山田京都府知事ご夫妻と千 万紀子様


薄茶席(茶道会館)薄茶席(裏千家学園)


  京都での初釜式は13日まで開催され、行政・経済界・諸団体代表者、寺社関係者、西日本の裏千家社中約3000名が来庵。16〜20日には裏千家東京道場に会場を移し、東日本の裏千家社中はじめ約3000名を迎える予定です。