中国の「政変」と日銀総裁人事は底流でリンクしていたのである。黒田氏を日銀総裁に指名するとしても、引き続き日本がADB総裁の座を確保するには後任候補を固めた上で中国の出方を見なくてはいけない。たとえ中国がADBからの最大の借り入れ国であると言ったところで、今や世界第2位の経済大国の同国がADB総裁の座を狙うのは当然と見られていたからだ。
事実、昨年末頃から王岐山氏は周小川人民銀行総裁を次期総裁に担ぐ意向を示唆するようになった。仮に日本側が中尾武彦財務官(78年)擁立を決めたとしても、周氏を対立候補として日本と一戦を交えるというのである。
ところが、肝心要の王氏が失脚したとなれば、ADB総裁後任問題も中尾氏の後継は固いとなって黒田氏説得を本格化したのが1月中旬になってからだ。昨年11月上旬に引き続いて菅官房長官が接触・打診したのを皮切りに、先の本田内閣官房参与、そして安倍首相のブレーンである浜田宏一イェール大学名誉教授(内閣官房参与)などが相次いで黒田氏の意向を確認した。
さらに未確認情報だが、首相夫人・昭恵さんが黒田氏夫人と大変親しく、そのラインまで動員されたというのだ。黒田氏サイドの感触が良かったためか、気を許した安倍首相は2月7日の衆院予算委員会で日銀総裁の条件として「国際金融マフィアのサークルの中のインナーとなり得る能力も重要である」と、口を滑らしてしまったのだ。明らかに黒田氏を念頭に置いた答弁だった。
こうしたことからも、日経報道にあるように、安倍首相は「かなり早い段階で」黒田氏指名を決めていたと言っていいだろう。そこには、ベン・バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長やティモシー・ガイトナー前財務長官など同氏の華麗な国際金融マフィア人脈がモノを言っただろうし、中国・習近平指導部はADB総裁の座を獲りに来ないという情報が安倍氏の決断に役立ったということもあった。
今回の日銀総裁人事は、まさに国際金融社会での情報収集の成功に負ったことになる。黒田新総裁が直面する最初の試練は4月4日の政策決定会合である。ここで「無期限国債買い入れ」を決めることができなかったら、市場は「失望売り」に走り、日経平均株価1万3,000円台の夢は潰えることになる。黒田イニシアチブが試されるのだ。
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