ひと:濱田圭司郎さんと金基鎬さん
毎日新聞 2013年03月20日 00時07分
◇高地・砂漠の250キロを完走した全盲ランナーと伴走者
ゴールでは「日本! 韓国!」の連呼に迎えられた。世界有数の過酷レース「アタカマ砂漠マラソン」(チリ、3月3〜9日)。両国関係改善を願って挑んだことを周囲は皆知っていた。
3000メートル級高地を7日間で250キロ走る。昼間の体感温度は50度を超え、とがった岩塩が容赦なく足元を“襲う”。「丈夫な靴が、壊れました。もう二度と履けません」。健脚のアスリートでも尻込みするルートを、全盲の濱田さんは走り切った。
濱田さんは国内では100キロを超すレースに何度も出ているが、アタカマは別格だった。景色は見えないので、感じるのは「痛み」のみ。自然の脅威を足から直接感じ取っていた。精も根も尽き果てて「やめよう」と思ったことが2度あった。伴走者で韓国籍の金さんの励ましもあったろうが、歩きながら持ち直したのは濱田さんの精神力だ。
涙はゴールしてからでなく、走っているうちに唐突に出てきた。「めったに泣かないんですけどね、サングラスしててよかった」。完走で、日韓関係は少し前進したものと信じる。「でも、仲間の大事さを知りました。国とか国境とかのことよりも」
金さんは帰国後すぐ次の計画にかかり始めた。「来年は日韓中3カ国の視覚障害者と伴走者10人でチームを組みたい。次はサハラ砂漠です」【滝野隆浩】
【略歴】はまだ・けいしろう。キム・ギホ。濱田さんは45歳。理学療法士で埼玉県草加市在住。金さんも45歳でシステムエンジニア。千葉県市川市在住。主催者のホームページはhttp://www.racingtheplanet.com/