パイロット新製品ジャスタス95万年筆、入荷致しました3/9現在、6種類すべて在庫ございます。
ジャスタス95万年筆、31,500円、
ご購入は、販売サイトからどうぞ。
現在は廃盤商品ですが、昭和54年発売のパイロット万年筆で、ジャスタスという万年筆があり、首軸先端に搭載されていたノブを回すことにより、ペン先の表面をスライドする板が前後して、板がペン先を押さえる点が変化し、いわばペン先のしなる支点を変化させるようなことができる万年筆がありました。つまり、書き味の決め手の一つであるペン先の硬さ(
物理的に感じる弾力)を自在に変化させることができる商品でございます。
以下が当時のカタログ画像でございます。
※1990年のカタログより
ご注意
以下画像の万年筆は今回発売される新製品ではありません かつての上記画像の商品は、だいぶ前に廃盤になりましたが、
同じ機構を搭載したジャスタス万年筆が発売されました。
商品の概要や情報は以下の通りです。
製品仕様について●商品名はジャスタス95。限定品ではなく、定番商品として用意される。
品番は、FJ-3MR-(色柄)-(字幅)、後述のように、色柄はSB(ストライプブラック)と、NB(ネットブラック)、字幅は、F・FM・Mの3種類のため、以下の6種類があり
FJ-3MR-SB-F
FJ-3MR-SB-FM
FJ-3MR-SB-M
FJ-3MR-NB-F
FJ-3MR-NB-FM
FJ-3MR-NB-M●価格は31,500円
●キャップや軸の外観形状は、カスタム845や、カスタムヘリテイジ912のような形状で、キャップ先端や軸の先端は平たいデザインのベスト型。金具類は金色で、クリップは、従来の球クリップでもなく、ヘリテイジのクリップ形状でもなく、ペン先硬さコントロールプレートが上下するイメージの彫刻がされた、独特の形状のクリップ。
●ネジ式キャップ
●軸色は黒のみで、ストライプブラックとネットブラックの2種類。この名称が示すように、軸には、波状のネット模様軸と直線のストライプ模様軸(ネットとストライプという模様名称が正式な名称だそうです)の2種類の模様が刻まれています。
※上がネットブラック・下がストライプブラックです。
見た目には、ネットブラックの方が目立ちます。
模様がとても浅いので、模様を写真に撮りづらいのですが、商品実物は見た目にもしっかりとした模様が入っています。
ネット模様のほうは、パイロット65周年や70周年万年筆の模様とほぼ同じような感じです。
参考:70周年万年筆の軸模様
↑の撮影に使用した70周年万年筆は非売品です。
ストライプ模様の方は、洗練された感じの
かなり細く浅い感じの模様です。かつてのジャスタスほど荒い感じの模様ではなく、すっきりした感じの、ちょっと見には模様を感じないくらいの浅い模様になります。
ストライプというと、以下のカスタム748やカスタム745(ともに廃盤商品)のストライプ表面を思い起こす方がいらっしゃるかもしれませんが、カスタム748などのような深い凹凸感はありません。
※カスタム748 FKK-8MS
●キャップを閉じたときのキャップ先端から軸後部までの携帯時全長や質量は、カスタム845とほぼ同じ。
●軸太さは、カスタム845・カスタム743・カスタム742・カスタムヘリテイジ912と同じ太さ。
●ペン先は14金・メッキ無しの金色表面色で、太さは、F・FM・Mの3種類。可変機構を生かすためと思いますが、BがなくFMがあるという異例のラインナップです。
●ペン先の大きさは、カスタム742と同じ10号タイプの大きさ(従来品は5号レベルの大きさのペン先)。
●ペン芯は、カスタム742などと同じ外観のチップフィル芯で、高級感があります。
●コンバーター70が添付されます。
●首軸先端につまみが配置されるため、通常のカスタム742などと比べて
首軸の長さが長いです。
硬さ調整機構について以下の画像のような、調整ノブが配置されます。ほぼ180°回転します。
Aの部分が回ります。 Hの方向に回すと硬くなり、Sの方向に回すと軟らかくなります。
特に、Sの方向に回すとき、首軸をゆるみ方向の左回転に回すことになるため、首軸の軸本体へのねじ込みが緩いと、首軸が軸本体から緩んでしまうことがあります。これを防ぐには、硬さ調整ノブを回すときは、一方の手の指先で上記画像アの部分をつまんで、硬さ調整ノブを回すか、首軸を軸本体にやや強めに締め込んで頂くのが効果的です。カートリッジ交換やコンバーター操作で首軸をゆるめるときは、硬さ調整ノブではなく、上記画像アの部分のみをつまんで回して頂くのが良いです。
筆記してみて●ペン先の硬さは、最も軟らかい設定にしても、割と腰のある感じで、フォルカンのように、劇的に軟らかいということはないです。ソフト設定もハード設定も、硬さについては、極端な違いは無いと言ってもよいかもしれません。かつてのジャスタスは、いちばん軟らかい設定にしますと、エラボーのごとく先端が開き、書き味調整の度合いにもよりますが、エッジが紙に当ることによるざらつき感が出てしまうこともありました。新しいジャスタスは、いちばん硬い設定にしますと、結構な硬さを感じます。
●ジャスタスの可変機構で調整できるのは、あくまでもペン先の硬さのみではありますが、今回のジャスタスは、可変させても極端な硬さの違いまでは出ないため、硬さを変えることによって、硬さよりもインキ出が違った具合になるような効果が出ます。使用中自在にインキ出を可変出来る万年筆というものはそもそも存在しないのが事実ではありますが、硬い設定軟らかい設定の如何に関わらず、ペン先の硬さが劇的には変わらないため、インキ出のみをコントロールするような使い方も出来ました。
ジャスタスでも硬い設定にすれば、同一筆圧条件下では、軟らかい設定のときよりも先端の開きが少なくなり、結果としてインキ出が少なくなります。
もちろん原則としては、インキ出は、ペン先硬さを変えることなく、同じペン先硬さ条件下で、多くしたり少なくしたりすることができるものであり、ペン先硬さで加減するものではないのです。
また、軟らかい設定にして極端な筆圧を掛けて太さを変化させる抑揚のあるような描線を筆記するような用途には向かないです。そのようなことが出来るほど軟らかいペン先ではないからです。
余談ではありますが、よく、ダイレクトタイプインキ止式万年筆がインキ出を可変出来ると紹介されていることがありますが、そのようなことは出来ません。詳細は過去記事をご覧下さい。)
参考事項●首を開閉するときは、首軸先端の操作つまみのところをつまんで開けてはならないということを念頭に置いてご使用頂く必要があると思います。
ジャスタスの使い方としては、ご自身にもっとも合う硬さポイントを見つけて頂き、そのポイントで使用し、日常可変させることなくご使用頂くのも良いと思いますが、そのような使い方をされるのも良いと思いますが、日常可変しないならば、なにもジャスタスを選ぶ必要はないです。たしかに、贈答用で、相手のペン先の硬さの好みがわからないが、ジャスタスならば先方で自由に変えてもらえるので、万人に向く、というような利用方法もありますが、それよりも、ジャスタスを選択する最大のメリットは、気分によって硬さを変えて楽しむ、日常可変してお使い頂くことにあると思っております。
万年筆を何本かお持ちの方ならおわかりになると思いますが、万年筆を複数本持つメリットとしては、細字や中字など違った字幅を使い分けるという他に、同じ字幅でも軟らかいペン先と硬いペン先を使い分けられる点が挙げられます。万年筆の使用用途や、使用するときの気分によって、軟らかいペン先で書きたいときや、硬いペン先で書きたいときなど、いろいろな時があるものです。焦っているときは軟らかいペン先は著しく使いにくく感じるときがありますし、気持ちにゆとりがあるときはペン先の軟らかさを堪能したいときがあるものです。また、筆記途中で違った硬さのペン先に変えて書くと、気分転換にもなるものです。こういった違った硬さのペン先を所有するメリットを1本の軸で楽しめるのです。
試験向けにも、日常の学習などでは軟らかい設定で、試験会場では硬い設定で、など、可変させて使用すると、筆記作業が楽しく、また、安心してご使用頂けると思います。気持ちによって筆圧はだいぶ変わるからです。
気持ちの状態によって変わりかねない筆圧に柔軟に対応でき、筆記中にペン先の硬さを変化させて気分転換ができる、常に可変機構を変化させながら使用することをおすすめしたいジャスタス万年筆でございます。ご注文は、販売サイトからどうぞ。かなり古い万年筆で、以下の画像のように、両ベロと言われるペン芯が使われた商品があります。この商品もペン先の上にペン芯が乗っているため、ジャスタスのように思われている場合がありますが、ペン芯の形状が人差し指と親指で挟むような形状になっているだけで、硬さ調整機能はありません。ただ、外観は良く似ています。
※両ベロという古典的なエボナイトペン芯に金が被っているものです