大産大:2150人合格、入学ゼロ 大阪桐蔭に受験要請
毎日新聞 2013年03月19日 15時00分
「やらせ受験」問題が発覚した大阪産業大学(大阪府大東市)が、大学入試センター試験の結果で合否判定する「センター試験利用入試」でも、偏差値を上げるために、系列の大阪桐蔭高校(同)に要請して生徒を大量に受験させていたことが分かった。多くの生徒が合格しながら、実際にはほとんど入学していない。この入試では成績優秀者の授業料を免除する制度をPRしているが、実際には桐蔭高の生徒が上位を占め、利用実績はほとんどなかった。
大産大は約10年前からセンター利用入試を実施。全国共通の大学入試センター試験の点数で合否判定し、前・中・後期の3回募集している。受験料は1回2万円だが、桐蔭など系列高校の生徒は無料。
学校関係者によると、12年度入試では延べ3618人がこの入試を受け、2742人が合格。このうち、進学校として知られる桐蔭からは延べ約2250人(全体の62%)が受験し、合格者は約2150人(同78%)に上ったが、入学者はゼロだった。関係者は、センター試験を受けた桐蔭の生徒の大半が、大産大のセンター利用入試を受験していたと証言する。大産大の資料では、センター利用入試の受験者は、04年度には942人だったが、09年度に3808人に急増し、以降は4000人前後になった。
また大産大は、前期試験の合格者のうち成績上位10%の授業料を免除するとして、「成績優秀者特別奨学金は学費が免除に!」(09年度入試パンフレット)などとうたっていた。しかし、12年度は対象者約100人を全て桐蔭の生徒が占めて利用者がいないなど、近年の利用実績はほとんどなかった。
昨年7月に開かれた入試に関する大学の会議で、入試を担当する入試センター幹部は「大学の偏差値を維持するために桐蔭高から受験を促していた。桐蔭からの出願がなくなると受験者が急激に減少し、入試広報の面で支障をきたす」と説明していた。
大産大の入試担当者は「桐蔭の生徒には今でも受けてもらっている。学費免除の利用実績がないことは問題と認識しており、早急に対処しないといけない」と話している。
大産大をめぐっては、09年度入試で付属高校(大阪市城東区)に要請し、入学意思のない生徒に経営学部の受験を頼んでいたことが分かっている。【原田啓之】