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【経済Q&A】

パナ、プラズマ撤退へ 過剰投資 判断誤る

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 業績が悪化するパナソニックが、中核事業に位置付けていたプラズマテレビから撤退する検討に入った。尼崎工場(兵庫県尼崎市)のテレビ用パネルの生産を、早ければ二〇一四年度中にも終える方向で調整。巨額赤字の一因となったテレビ事業への依存から脱却し、大規模な事業構造改革を進める方向だ。 (神野光伸)

 Q プラズマ凋落(ちょうらく)の要因は。

 A かつて薄型テレビでは、大型がプラズマ、中小型が液晶というすみ分けがあった。また、動きの激しいスポーツや映画の視聴にはプラズマが有利とされていた。だが、液晶の技術革新が進み性能が向上。シャープが亀山工場(三重県亀山市)などで大型のパネルを量産するようになり、プラズマの優位性が薄れた。

 調査会社のBCNによると、国内の薄型テレビの市場占有率(シェア)で、プラズマが占めるのはわずか1%(今年一月時点)。プラズマの九割弱を占めるパナソニックが撤退すれば、自主生産する国内の大手電機メーカーはなくなる。

 Q プラズマ撤退の判断はなぜ遅れたのか。

 A プラズマパネルを生産するパナソニックの尼崎工場は〇五年から稼働。生産棟が三つあり、これまでに投資したのは四千億円を超える。だが、テレビ事業は本年度に五期連続の営業赤字に陥る見通し。ある社員は「プラズマへの過剰投資は完全に経営判断の誤りだ」と指摘する。

 パナソニックの尼崎工場には兵庫県から多額の補助金が支出されているほか、プラズマ事業から撤退すれば地元経済に多大な影響を与えかねない。こうした配慮も撤退を鈍らせた一因とみられる。

 Q プラズマからの撤退で業績は回復しそうなの。

 A テレビをはじめとしたデジタル家電は、市場の価格変動が大きく、業績の浮き沈みが激しい。デジタル家電の中核とされたプラズマ事業から撤退すれば、その分の重荷はなくなる。

 プラズマに早期に見切りを付けた日立製作所は、液晶も含めテレビの自社生産からすでに撤退。重電を中心とした事業構造改革を進めた結果、赤字体質からのV字回復を果たした。

 Q パナソニックは、どこに今後の収益の柱を据えようとしているのか。

 A 津賀一宏社長は脱テレビ事業を進め、自動車関連事業をはじめとした企業向けのほか、白物家電を軸とした事業構造転換を図ることを表明している。二十八日に発表が予定されているパナソニックの中期経営計画が注目される。

 

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