中日スポーツ、東京中日スポーツのニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 中日スポーツ > 大相撲 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【大相撲】

横綱の意地 日馬 逆転3敗死守

2013年3月19日 紙面から

把瑠都を突き落としで下した日馬富士(左)=ボディメーカーコロシアムで(山田欣也撮影)

写真

◇大相撲春場所<9日目>

 (18日・ボディメーカーコロシアム)

 横綱日馬富士(28)=伊勢ケ浜=は関脇把瑠都を土俵際での逆転の突き落としで退け、連敗を免れて6勝3敗とした。単独首位の横綱白鵬(28)=宮城野=は豊ノ島を引き落とし、初日から9連勝。北の湖に並んで史上1位タイとなる37場所連続幕内2桁勝利に王手をかけた。琴奨菊は鶴竜との大関対決を寄り切りで制し、2敗を守った。

     ◇

 横綱日馬富士の両足が俵にかかる。絶体絶命の大ピンチだ。仕切りで深く上体を沈ませた把瑠都に立ち合いから一気に押されたが、身上でもある身体能力の高さでとっさに体を左に開いてかわした。右腕1本で土俵下へ突き落とし、逆転の6勝目を挙げた。

 「負けたと思った。前まわしを取れればと思ったが、取れなかった。最後はすごい体勢? (映画の)マトリックスみたいだったでしょ」

 前日、豊ノ島に今場所3つ目となる金星を配給した。古傷の左足首の痛みが続く上、もう精神面は切れかかる寸前。そんな象徴的なシーンがこの日の朝見られた。宿舎近くの公園内にある稽古場に向かう途中でのことだ。菓子パンをちぎってハトに与えようとしたが、まったく寄ってこなかった。

 「弱い横綱のえさは、ほしくないのかな」。自虐的につぶやくその顔は何とも寂しそうだった。

 稽古後には親交のあるモンゴル人の馬頭琴奏者のレンチン・アマルバヤルさんが訪れ、演奏してもらった。曲名は「お父さんとお母さんの歌」。美しい音色に合わせて口ずさんだ日馬富士は「気合が入りました。最後まで頑張ります」と答え、応援してくれるファンに向かって「私を信じてください、と言いたいです」と頭を下げた。

 圧倒的な強さで全勝優勝を飾った先場所から人が変わったかのように今場所は綱渡りの日々が続く。「自分でも思うが、波がありすぎ」とこぼすのは軽量横綱の泣きどころだろう。白鵬の独走を許してしまった責任を感じながらも「残り6日。1番1番頑張ろう。頑張りますよ!」。自らを必死に奮い立たせた。 (竹尾和久)

 

この記事を印刷する

PR情報

おすすめサイト

ads by adingo




中日スポーツ 東京中日スポーツ 中日新聞フォトサービス 東京中日スポーツ