昔は神保町でも5万円ほどで取引されていた1979年の写真集。
数年前? にクラブからも復刊されました。
たぶんそれ以降、安価で出るようになったんじゃないか、とは神保町の古書店主の言葉。
矢沢永吉に関する著作の中で一番好きな一冊です。
写真は77年~79年のライブフォトと撮り下ろし。
撮り下ろしも『FACE』のような退屈さなど微塵もなし。
アレはひどいね
センスがなさすぎます。操上和美さんとやら…
そしてライブフォトは当たり前ですが、どれもこれも、まぁ熱気ムンムンの写真ばかり。
ここに収録されたいわゆる矢沢語録、の面白さも魅力。
「街に着く。オレはこの街に火を点けて帰る。オレはこの街を泣かせて帰る」
糸井さん、いい編集してるなぁ… 詩になってますもん。
個人的には、泣かせて、はいらないけど。
「矢沢だからって、八百屋に行って、ダイコン一本もタダでもらえやしない。当然よ。ダイコン買うのに、歌手も大工もありゃしない。野菜が食いたい一個の人間よ…(中略)…オレだって、舞台の下にいる時は、単なる永吉くんよ。エーちゃんなの。突然誰かに殴りかかってこられたら、有名も無名も関係ないでしょ。一個の若者としてね、よけるとか殴り返すしかないよ。
街を歩いてる人間に名前なんかない」
これもイイ。
ギラギラしてる70年代の姿からはちょっとかけ離れた発言ですが、正直な気持ちの吐露でしょう。
「街を歩いてる人間に名前なんかない」だなんてまさにコピーです。
また糸井さんの文章もいい。
「彼の名前は本名であった。切れ者のマネージャーやら、広告代理店のコンピューターが「最もロックンローラーに相応しい名前は何か」と考えて作り出した名前ではなかった。実際のゴッド・ファーザーが誰なのかは、まだ尋ねたこともないのだが、ぼくには運命がつけたとしか思えない」
まさにその通り。
この前年に出された『成り上がり』も小学館ですが、こちらも併せて読むと70年代の活動や思想がもっと明確になるんじゃないでしょうか。
飽きません。コレ。