海上連絡体制構築へ協力=3国投資協定、年内合意確認―日中外相

 【北京時事】玄葉光一郎外相は23日、中国・北京を訪問し、温家宝首相や楊潔※(※=竹カンムリに褫のつくり)外相らと会談した。尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件を踏まえ、玄葉氏は外相会談で、不測の事態に備えた海上連絡体制を構築するため、海洋当局者による「対話の枠組み」をつくることを提案。楊外相は「協力を進めていきたい」と前向きな姿勢を示した。

 また玄葉氏は、中断している東シナ海ガス田共同開発に向けた交渉の早期再開を要請。両外相は、日中韓3カ国の自由貿易協定(FTA)締結に向け、年内にも3カ国の投資協定の実質合意を目指すことで一致した。

 日中両政府は、野田佳彦首相が12月12、13両日に訪中する方向で調整。これに関し、玄葉氏は会談後、記者団に対し「最終調整中」と述べるにとどめた。

 玄葉氏は中国側との会談で、来年の日中国交正常化40周年に向け、戦略的互恵関係を強化することを確認。東京電力福島第1原発事故を受け、中国が継続中の日本産食品に対する輸入規制緩和も改めて要望したが、中国側は「安全確保を前提に真剣に検討したい」と表明した。

 環太平洋連携協定(TPP)に関しても議論があり、楊氏は「TPPは自由貿易区を徐々に形成していく上での一つの基礎となる」との認識を示した。

 一方、玄葉氏は会談で、中国海軍の艦艇が沖縄本島と宮古島の間の海域を通過した問題について「国際法上の問題ではない」として言及しなかった。尖閣諸島問題に関しては、日中双方とも取り上げなかった。 

[時事通信社]