米、日本の交渉参加表明を懸念 「FTA尊重」中国も牽制

2013.3.16 08:00

 日本の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加表明について、米側に日本との通商摩擦の激化や交渉の遅延を懸念する声が広がっている。議会や産業界は日本の市場開放を求めてオバマ政権を突き上げ、承認も難航しそうだ。

 「米自動車メーカーと労働者の状況を一層悪化させる恐れがある」。与党民主党の議員団は14日、オバマ大統領へ宛てた書簡で、日本のTPP交渉参加に懸念を表明。参加する場合も乗用車で2.5%の関税を維持するよう求めた。

 米側の懸念は自動車だけではない。保険業界は日本郵政傘下のかんぽ生命保険もやり玉に挙げる。さらには、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」に伴う円安(ドル高)が、輸出産業を中心に米側の警戒心を高めている。

 一方、中国外務省の華春瑩報道官は15日の記者会見で、安倍晋三首相によるTPP交渉への参加表明に関して、「中日韓などアジア太平洋地域の自由貿易協定(FTA)交渉はまさに進んでおり、そうした現実を尊重すべきだ」と述べ、間接的な表現ながらも交渉入りを牽制(けんせい)した。

 中国は日中韓3カ国を軸とする「アジア太平洋地域の経済一体化」で主導権を握る狙いがあり、米国主導で進んでいるTPPへの対抗心をにじませている。日中韓3カ国は、5月にも首脳会談を含む本格的なFTA交渉に入る見通しだが、曲折も予想される。(ワシントン 柿内公輔、北京 河崎真澄)

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