2人目はプリンストン大学教授で著名な国際政治学者、さらにはヒラリー・クリントン国務長官の元で政策企画本部長を務めたアン・マリー・スローターである。彼女は、国務省の仕事を2年で辞めなければならなかったのは、難しい年頃の息子たちのためで、いまだに女性は家庭のことで仕事を犠牲にしなければならない、という記事を書いてバッシングを受けた。
3人目は、妊娠中にヤフーのCEO(最高経営責任者)に就任したマリッサ・メイヤーだ。妊娠中に重責の仕事を引き受けたことでバッシングされ、出産後たった2週間で仕事に戻ったことで批判された。最近では女性問題とはまったく関係ないところで、社員全員に自宅で仕事をすることを禁じたことが、なぜか「子育てしながら働いている女性を罰するような処置だ」ということでバッシングされた。
最も多く聞いたのは、この超エリート女性たちが我々の代弁者のように振る舞うのが気に食わないという意見だ。米国のほとんどの女性と何の共通点もないようなスーパーウーマンが、分かったような顔をして女性問題を語るのが許せないというのである。
確かに3人とも、超高学歴、成功街道を馬車馬のように走ってきた向上心の塊(かたまり)のような女性たちだ。しかもエリートの夫がいて、子供までいる。おまけに美人だ。
クビにされることに怯えながら、生活のために好きでもない仕事を続けている世の中のシングルマザーや、結婚願望が強いのになかなか自分と釣り合うような男性を見つけられない女性が面白くないと感じるのは責められないだろう。
米国人女性を押しつぶす「成功」のプレッシャー
米国人女性が感じる「成功しなければならない」というプレッシャーは壮絶だ。仕事だけでなく、生活のすべてが他人から賞賛されるような状態でなければ、挫折感を味わうような状態だ。
仕事ができても、結婚、もしくは内縁関係のパートナーがいなければダメ。できれば子供も欲しい。容姿端麗でファッションセンスがなければ相当なマイナス。他にも多趣味で社交的で、エネルギッシュで、何らかのスポーツに優れていればかなり良い・・・と、彼女たちが描く成功した女性像は表面的で、かつほとんど達成不可能なものだ。
当然、この完璧な女性像に近づける人は少なく、これが慢性的かつ集団的な不安と自信喪失につながっている。常に自分と他人を比較し、嫉妬したり、自己否定したりと不安定な精神状態にある。
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