2013年3月15日(金)

変わる渋谷駅 名店街を支えた“トロッコ”

阿部
「明治時代後半の渋谷駅。
当時乗り降りする人は、1日およそ1,000人にすぎませんでした。」

鈴木
「そして今。
渋谷駅は、1日およそ300万人が利用する、全国有数のターミナル駅になりました。 」

富永
「この渋谷駅、増改築が繰り返されてきて老朽化も進んでいるんです。
その渋谷駅の大規模な再開発が、本格的に始まります。
その第一歩が今夜予定されている、ホームの引っ越しです。
空から中継でお伝えします。」

変わる渋谷駅 今夜 ホームの“引っ越し”

渋谷駅の上空です。
この駅で今日(15日)の夜から、大規模な引っ越しが行われます。
その場所が、画面中央に見えてきたかまぼこ型の屋根の場所、東急東横線のホームです。
地上2階にあるこのホームが地下5階に引っ越し、東京メトロ副都心線と接続します。
東横線がこの場所で見られるのも、今日が最後です。
渋谷駅周辺を走る東横線の姿を見届けようと、ホームの先端には鉄道ファンも集まっています。
この引っ越しで、これから渋谷駅の再開発が本格化します。

変わる渋谷駅 将来の姿は

富永
「増改築が繰り返されてきた渋谷駅、構造が複雑で乗り換えも難しいですよね。
スムーズに乗り換えるためには、しっかりと行き先を見定める必要があるんです。」



富永
「今、この渋谷駅に乗り入れているのは、4つの会社の9つの路線です。
ところが…。
地下鉄なのに、銀座線のホームは3階。
同じJRでも、山手線と埼京線の乗り換えは大変なんですよね。」

「迷います。
何回来ても迷います。」

「結構(各路線のホームが)離れている。
もうちょっと近くなればいい。」

富永
「さらに、戦前の建物が今も使われています。
駅ビルを兼ねたデパートの建物は、昭和初期のものです。
そこで老朽化対策や利便性向上のため、これから大規模な再開発が進みます。

東横線のホームが移転した跡地を中心に、新たに5つのビルを建設。
東横線と副都心線が直接結ばれるほか、離れていたホームも近づける予定です。
山手線と埼京線のホームは隣り合わせに。
銀座線のホームも、副都心線のすぐ上になります。
完成予定は平成39年度ごろ。
渋谷の玄関口、大きく姿を変えていきます。」

変わる渋谷駅 消える立役者

鈴木
「本当に、ずいぶん大きく変わるんですね。」

富永
「今回の渋谷駅の再開発に合わせて、駅ビルの商業施設も移転することになっています。
移転が決まった名店街の、ある影の立役者があるんですが、今回の移転で惜しまれながら消えていこうとしています。」

駅ビルのデパートにある食品街「東横のれん街」です。
新鮮な肉、魚、高級洋菓子、できたての総菜。
各地の老舗85店舗が軒を連ね、いわゆるデパ地下の草分けと言われています。
賑やかなフロアから、とある階段を地下に降りていくと…。

東急百貨店 広報担当 高森秀樹さん
「こちらが『フローベヤ』です。」

次々と流れる無人のカゴ。
レールの上をゆっくりと走っています。
運ぶのはデパートの仕入れ商品。
のれん街をはじめ、各店舗に届けます。
「フローベヤ」と呼ばれていますが、その名の由来は誰も知りません。
半世紀にわたり、渋谷の地下を走り続けて来ましたが、今月(3月)で姿を消します。

東急百貨店 広報担当 高森秀樹さん
「50年間たいしたトラブルもなく毎日動いてきたことは、非常にすばらしいことだと思います。」

のれん街が誕生したのは、戦後復興期の昭和26年。
銀座や築地の老舗を一堂に集めたスタイルが、山の手の主婦の人気を集めました。
ところが高度成長期を迎えると、ある問題を抱えます。
渋谷駅周辺の交通量が増え、商品を搬入するトラックの横付けが難しくなったのです。

昭和38年、新たな搬入口を設けることになりました。
搬入口は国道を挟み、200Mほど離れた東横線の高架下。
そこで考え出されたのがフローベヤでした。
搬入された商品がまず乗せられるのは専用のカゴです。
カゴにはピンがついています。
レールの中には流れるチェーン。

ピンを引っ掛けるとスタートです。
すぐに地上から地下に一気に下ります。
坂の傾きは26度。
倒れないよう設計されています。
通路を従業員も行き交うため、時速およそ1キロの安全運転です。
朝から晩までフル稼働、一日に行き交うカゴは600から700個にものぼります。
レールは全長420メートル。
地下にある部屋を、縫うように進みます。
およそ10分で、受けとる人が待つ終点に到着です。

フローベヤなくして、のれん街の発展は無かったという人がいます。
のれん街で鮮魚や総菜などを販売する老舗の3代目、森口一さんです。

「初めて見たとき驚きましたか?」

魚・総菜店 会長 森口一さん
「驚きましたね、すごいシステムだと。
40数年前ですから。」

学生時代から店を手伝い、毎日のようにフローベヤを使いました。

森口一さん
「バッジをこの中(レール)に落としまして、1回全部止めてしまって。
ずいぶん叱られました。」



森口さんの店では、魚が築地などから1日5回運ばれてきます。
すぐにフローベヤーの上へ。
のれん街の厨房で調理され、即座に店頭に並べられます。
フローベヤがこまめな補充を可能にし、店の味を支えてきました。


常連客
「値段はいいかもしれませんが、味はやはり違いますね。
毎日来ています。」

魚・総菜店 会長 森口一さん
「鮮度を大事にしていますので。
早くお客さんの所に届ける、これが命です。
そういう意味でフローベヤは、本当に貢献してくれたと思います。」

東横のれん街は、今月いっぱいで今の場所での営業を終え、来月(4月)から近くのビルで新たなスタートを切ります。
50年にわたって、賑わいを陰から支えてきたフローベヤ。
街の生まれ変わりとともに、静かにその役割を終えます。


鈴木
「東横のれん街の地下で、あんなカゴが行き交ってたなんて知らなかったです。」

富永
「新しくできる渋谷の駅ビルにはオフィスももうけられまして、今度はビジネス拠点としても渋谷は期待されているんですね。
これからも注目です。」

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