上手投げで勢(右)を下した白鵬=ボディメーカーコロシアムで(加藤晃撮影)
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◇大相撲春場所<8日目>
(17日・ボディメーカーコロシアム)
横綱白鵬(28)=宮城野=が勢を上手投げで退けて8連勝し、千代の富士を抜いて単独最多の26度目のストレート給金(1場所15日制定着以降)を決めた。横綱日馬富士(28)=伊勢ケ浜=は豊ノ島に寄り切られて3敗目を喫した。1場所3個の金星配給は2003年九州場所の武蔵丸以来で、豊ノ島は2個目の金星。大関陣は稀勢の里が関脇豪栄道に寄り切られて4勝4敗となった。豪栄道は6勝目。琴奨菊は2敗を守り、鶴竜は5勝目を挙げた。常幸龍が敗れて1敗が消え、2敗は関脇把瑠都を含めて8人いる。
大阪出身の勢へ飛ぶ声援を、白鵬は一瞬で悲鳴に変えた。右四つに組み止めると、ひねり倒すような上手投げで裏返しに。「万全でした。投げのタイミングもよかったし、いい相撲が取れました」。千代の富士(九重親方)を抜き単独1位となる26回目の8日目勝ち越しを決めると、支度部屋で気持ちよさそうにペットボトルの水を飲み干した。
白鵬にはいろんな記録がありすぎる。「2年連続で年間86勝の最多勝をとったこと」が一番思い出深いそうだが、26回目の8日目勝ち越しも偉大だ。前記録保持者の九重親方が「それを抜くならたいしたもんだよ」と感嘆するほど。
白鵬も「場所前から言われていましたから、ひとつの(目指す)記録でした。いやいや、と言ったらうそになる」と笑みを浮かべた。
実は8日目までの白鵬と、9日目からの白鵬はまったく違う。まず、外出をしない。お酒は飲まない。優勝への流れを引き寄せる8日目までをそれくらいの緊迫感を持って臨んでいる。
外出しないだけではなく、場所から宿舎に戻ってもすぐにちゃんこ場に行かない。師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)が説明する。「食事の前に1時間くらい個室で(自分の取組の)ビデオを見ている」。どんなに大事なお客さんがちゃんこ場にいても、この日課だけは欠かしたことがないという。
8日目で2差がついたのは、2005年初場所以来。そのときは元横綱朝青龍が13日目に優勝を決め、全勝で場所を終えている。九重親方は2差がついた状況を「オレは喜んで取ってたね。他力じゃなくて、自分がやることやって、それの積み重ね。まわりが崩れてどんどん上がる」と現役時代と重ね合わせて振り返った。
「言っている気持ちが分かる気がします。こういう荒れているところを引き締める気合、気迫はあります」と白鵬。ここまで言われると、周囲もお手上げだ。
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