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「禁断の木の実」に手を出した安倍首相- ゲンダイネット(2013年3月18日07時00分)

  国債が売れなくなっているそうだ。財務省によると、今年度(12年7月~13年6月)の個人向け国債の販売額は、前年度実績を3割下回る見通し。2兆5000億円の販売目標にも届かないとしている。

 

  理由は明白だ。金利が安く、投資対象としての魅力に欠けるのである。巨額マネーを運用する機関投資家にとっても、状況は同じだ。積極的に日本国債を購入するメリットは、ほとんどない。結局、国債の買い手は日銀ぐらいとなる。

 

  そんな流れに拍車を掛けるのが、安倍政権の「大胆な金融緩和」だ。安倍首相は、日銀法改正までちらつかせて白川総裁を脅し、2%の物価目標をのませた。中央銀行を政府の配下に置き、思い通りの方向に動かす考えである。

 

  これは国家を滅ぼす行為だ。安倍首相は禁断の木の実に手をつけた。非常に危ない道を進んでいる。

 

  日銀が、政府の求めに応じて国債をせっせと買えば、価格は高止まり金利は上がらない。それでも日銀は国債を買い続ける。その上、黒田新総裁は、社債などのリスク資産も購入すると言ってはばからない。日銀の資産価値はどんどん低下していくだろう。中央銀行としての信認も揺らぐことになる。

 

  こうなると、円安だって止まらない。日銀の使命は通貨の安定だ。それが唯一にして最大の仕事だが、このまま資産を買い続ければ、バランスシートが傷み、日銀券の信頼まで損なわれてしまう。

 

  一部では、「1ドル=100円まで進む」との声もあるようだ。そんな水準で止まる保証はない。日銀は国債を引き受ける代わりに日銀券を発行し、市場をジャブジャブにするのだから、なおさらである。猛烈な円安を覚悟しなければならないだろう。

 

  問題は、グローバル時代の円安に利点が少ないことだ。円安になれば輸出が伸びて賃金や雇用機会が拡大するというが、輸出企業の多くは生産拠点を海外に移転している。いまさら国内生産を増やそうという状況にない。しかも、輸入価格の上昇で生活コストはバンバン上がる。そんなマイナスを打ち消すほどのプラス効果があるとは、到底思えないのだ。

 

  中央銀行を隷属させる安倍首相の態度は、国民の暮らしを破壊して、国家の根幹をグラグラにするのである。

 【高橋乗宣】

 (日刊ゲンダイ2013年3月15日掲載)

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