大産大やらせ受験:「受験生への裏切り」 内部でも批判

毎日新聞 2013年03月17日 東京朝刊

付属高校生への不透明な受験依頼が明らかになった大阪産業大学=大阪府大東市で、本社ヘリから三浦博之撮影
付属高校生への不透明な受験依頼が明らかになった大阪産業大学=大阪府大東市で、本社ヘリから三浦博之撮影

 大阪産業大学(大阪府大東市)の2009年度入試を巡り、付属高への不透明な受験依頼と、生徒への謝礼が発覚した。大学と付属高校は入学する意思の乏しい生徒をあえて受験させ、多くは合格していた。こうした操作で門戸が狭まり、不合格になった一般受験生がいる可能性もある。「事実なら受験生への裏切りだ」と内部からも批判が出ている。【原田啓之、藤田剛】

 09年1月ごろ、付属高の教諭は成績優秀な生徒数人を教室に集め、こう切り出したという。「偏差値を上げるために受けてくれ。なるべく多く受けてほしい」。大産大経営学部への受験依頼だった。

 その時期、生徒の多くは推薦入試などで進学先が決まっており、経営学部を受ける必要はなかった。「どうせ暇やろ。勉強がてらに受けてほしい」。教諭は、合格すれば試験1回につき5000円を謝礼として渡すことも約束し、生徒らは承諾。3回ある一般前期の入試を全て受験した生徒もいたという。入試が終わった後の4月ごろ、教諭は既に卒業していた生徒らを学校に呼び出し、謝礼を現金で渡した。

 教諭に指示した当時の教頭は取材に「大学の担当部局である入試センターから、必要な延べ受験者数を伝えられた。前期試験が終わった時点で『だいぶ片付きました』と礼を言われた」と証言する。

 大学が高校側に依頼したとされる08年末、経営学部の入学者数は想定以上に増え、補助金カットの不安が出始めた。当時の大学幹部は「入試センターから『厳しい』という話を聞いた。(補助金カットまで)ぎりぎりで、大変だというのは分かっていた」と話す。

 「やらせ受験」とも言える行為に対し、大産大のある教授は「意図的な操作で合格ラインが上げられ、不合格になった受験生がいるだろう。大学は謝罪すべきだ」と憤る。付属高の元幹部も「必要ないのに、生徒に繰り返し受験させるなんてあり得ない。大学・高校は徹底的に調査して、うみを出すべきだ」と話す。

 ◇立命大は08年無試験で転籍

 大産大は09年度入試で、なぜ入学者数の調整に苦慮したのか。少子化に伴う学校間競争の激化を背景に、新入生の早期の囲い込み合戦と入試の複雑化が見えてくる。

 大産大の入試パンフレットによると、09年度の入試は、一般▽スポーツ推薦▽文化系クラブ推薦▽AO▽ディベート−−など20種以上に及んだ。経営学部では、一般入試が始まる2月までに入学者が定員を大幅に超え、補助金カットの恐れが出ていた。関係者は「想定よりも集まりすぎた」と話す。

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