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羅針盤
羅針盤は海洋貿易においては非常に重要な役割を果たした道具です。
太陽が常に見え、星が眺められる晴れが続けばいいですが、一度空が曇ると、船乗りたちは方角を見失います。
そのため、交易に出る季節は限られていました。
羅針盤の発見とともに、彼らは年に一度の往復を、2度行えるようになったといいます。
交易都市の利益は大幅に膨れ上がったでしょうし、新大陸の発見といった長い航路は、羅針盤なしでは考えられないことです。

◆羅針盤の歴史◆
まずは羅針盤の歴史からおさらいします。
羅針盤の起源は、中国に始まっています。

下の画像は、指南と呼ばれるものです。
薄い青銅の板の上に、お玉のような形の天然磁石が載っていますよね。

挿絵(By みてみん)

柄の先が南を指しました。
お玉の形をしているのは、大熊座を示すためだそうです。
(大熊座の左側にある2つの星は北極星と一列に並ぶため、大切な指標になった)

紀元前80年頃から書物に言及されていますが、実際は紀元前200年前後に始まるようです。
三国志の時代ですね。

翡翠を求める鉱山開拓者が、方角を見失わないために、携帯していたのが分かっています。

当時は磁石を加工する技術がある人はとても少なく、翡翠加工の技術者が行なっていただろうと言われています。磁石は翡翠より軟らかいから、その技術があれば可能だろうというです。

ただ、作っている間にかなりの磁力が消耗されました。
また、回転中に摩擦が起きるので、正確な角度を図る効率も良くなかったようです。

○その後の磁石の作り方

1.鉄の破片を天然磁石で叩くか、すでに磁力を帯びた鉄の破片で叩く。
2.北を指した、細長い鉄を熱したものをハンマーで打つ。
3.熱した鉄を水中に入れて冷やす。

これら全ての工程が行われて、磁石は作られました。

この薄い鉄板の磁石を木に貼り付けて、水に浮かせることで、羅針盤を作りました。

別名指南魚といいます。

挿絵(By みてみん)

南宋時代には、羅針盤を使用した遠洋航海は当たり前のものとなり、13世紀まで中国は、東アジアと東南アジアの海図を作りました。

○中国から西洋へと

羅針盤は、イスラムを経て、ヨーロッパに伝わります。
書物の上では、ネッカムという人が1187年に『自然について』という本で紹介しています。
 13~14世紀には多くの船で使われていました。
 その後ヨーロッパでは、水に浮かせるものに多かった欠点―揺れることによる精度の低下、水が溢れる―などを改良し、吊り式、ピポット式などを開発し、羅針盤を大いに利用するようになりました。

その後、18世紀には、鉄製の船が多くなったため、磁石が鉄に引き寄せられる問題を改良していったようです。

その後のものでは、20世紀に発明された、液体式コンパスと云われるものがあります。
今現在の形で、周囲の鉄の影響を受けにくい形になっています。液体には油が使われています。


挿絵(By みてみん)



◆羅針盤の活用法◆
 羅針盤の活用法には、先述のとおり、海上貿易が一番に挙げられます。
 また、測量にも使われるでしょう。
 これらは内政におけるもっとも重要な一部だろうと思います。

 他にはファンタジーで使えそうなものは、地下でのマッピング作業や、山などで正確な位置を知るため、でしょうか。
 少しリアル系のファンタジーだと、マッパーの活躍は非常に大切になりますよね。
 ウィザードリィみたいな、魔法で位置が分からない世界観なら、とても高価に取引されそうです。
今回から資料らしく写真を入れてみました。
小説の挿絵を嫌だと言う方が多いそうですが、この場合の写真添付はいかがでしょうか?

拒否感があるようなら、次回からやめようと思いますが……。

小説に参考にされた方は、一言でもいいのでコメントいただければ、とても励みになります。ご協力ください。

また、アイデアは引き続き募集中です。
さらに、天文学や測量、幾何学などに関して、記事を書いてくださる方を募集しています。わけがわかりません(笑)
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