バイクの選び方
1.はじめに
充実したバイクライフを送るためには何が必要なのか。
私の経験から言えば、バイク、心、ライディング技術、家庭や仕事を含めた生活の全てが揃わないと得られない気がする。
単に素晴らしいバイクがあれば、幸せなバイクライフを得られるというわけではないと思うのです。

そこで、どんなバイクに乗るかが、バイクライフでは非常に重要な問題だと思う。これまで、いろいろなバイクに乗り続けてきて、どんなバイクに乗るかで、その後のバイクライフが決まってしまうことが多いように感じるからだ。それだけバイクの占める影響が大きい。
反対に、そこが分かってくるとバイクライフも充実してくると言える。

だからこそバイク選びは、バイクの性能やデザインだけで選ぶのではなく、実際に乗るシーンを想定して自分の求める走り方と今後のバイクライフに合ったバイクを選びたい。
でも、どんなバイクでもそれぞれに楽しさがあるし、予想外の楽しさの発見もあるのでバイク選びは本当に難しい。

これまでの経験から、プロライダのライディングの解説記事を読んで、それを同じように体験しようとしても非常に難しいように感じている。正確には、同じ体験もしくは疑似体験をしたと自分では思っていも全く別なことをしている場合がある。
私自身、トラクションとはどういうことなのか、雑誌からだけではその内容を理解することは何年もできなかった。

その理由の一つは、バイク雑誌を書いてる人間が私のような下手なライダではなくワールドグランプリレースに出てしまうような非常にバイクが上手いライダが書いている点だ。名選手必ずしも名監督になり得ずのたとえのようにプロライダが素人ライダの抱えて問題点を全て理解しているとは限らない。
プロライダは「何故、こんな簡単なことも分かっていないんだ?」と言うのかも知れない。いやむしろ一般のライダは「こんな簡単なことも分かっていないんだ」と開き直ったって良いじゃないか。

次に、プロライダたちが好んで書く限界域での挙動や大金をかけた改造記事など私の使い方とまるきっりかけ離れている。一概には言えないが、バイク雑誌の記事は、テクニック、使い方、バイクに対するスタンスが私の実状とかなり違う。

だから、素人の私が書くライディング論は、プロの視点と異なりもっと身近なバイク論としておもしろいのではないかという気がする。
そしてコーナリングに悩み続けきた私が見つけたコーナリングを紹介することは悩めるバイクライダに参考になるのではと思う。
さあ、バイクに乗ろうよ。

a.単気筒ロードスポーツ 
第一印象として、車体の扱いがデリケート、でも低回転域からレスポンスの良いエンジン特性を理解すると鋭い立ち上がりが可能だ。難しいけど、難しい分だけコントロールの実感がある。入力に対してダイレクトに反応が返ってくる楽しさと難しさを併せ持っている。
この難しさは、軽量な車体の扱いである。積極的に走ろうとすればするほど、オーバーアクションになりがちで、車体はそれに敏感に反応して安定しない。軽量ゆえのデリケートな扱いにくさを持ち合わせている。

だから、単気筒のバイクは扱いが難しくデリケートな操作を要求するバイクである。その原因は、スリムなエンジンに起因してる。4気筒のビックバイクは大きく重いシリンダーヘッドや慣性抵抗が大きい長いクランクシャフトがあるのいでバイクを傾けるときによっこらしょと力が要る。ここが重要なんだけどレーシングマシンだとこの重さ(リーン抵抗)はネガティブに酷評されてしまう。
しかし、それはレースの世界のことだ、反対に私にはこの重さは安定感になるのだ。だから、エンジンが小さく安定成分になりにくい単気筒バイクはラフな操作になりやすく、そしてオーバアクションに対して車体は敏感に反応してふらつきや不安定になるからだ。
2スト4スト共通することだが単気筒は、高回転時の頭打ちは早いが低回転からエンジンのレスポンスが良いことだ。走り方としては、軽量な車体を利してパタンと倒れるように曲がり込んで間髪を入れないアクセルワイドオープンでドリフト気味に立ち上がる。こんな走りが似合うと思うんだけどな。ただ2ストの方がエンジンブレーキが少ないので私は2ストの方が好き。4ストは、借りて乗った程度なので深く言及はできないけどエンジンブレーキの処理があるので攻め込む走りでは難しい面があるかも知れない。しかし、一般道で流して走るような走り方ではこのエンジンブレーキは扱いやすくすたすた回るエンジンの組み合わせは気持ちいい。



b.2スト250レプリカマシン
今、このカテゴリのバイクは、買いたくても買うことは出来なくなった。排気ガス規制で国産バイクメーカは、2スト250レプリカマシンの生産を止めてしまったからである。

でも、このバイクは私の青春のすべてだった。
一般公道でこのバイクの良さを理解することは出来ない。時速百数十キロからでもコーナリングできてしまう性能を一般公道で試そうとすること自体無理なのだと思う。そのポテンシャルの高さ、ハンドリングの分かり易さは、理解できるライダーのみのバイクだ。
レーシングマシンに肉迫しているのだから仕方ないかも知れないが走らせる環境がない。強力なフロントブレーキ、高いシート位置の意味するものが理解できないと買った意味が無くなってしまう。こんな夢のようなバイクを買えることは素晴らしいが、その素晴らしさを享受するためには、ライダーもレーシングライダー並の技量とスピリッツが必要になってくる。



c.並列4気筒マシン
最も乗りやすく、パワフルなエンジン。日本の工業技術の得意とする効率の良さ、信頼性、優秀性を感じる。400cc以上、特にナナハン以上の排気量なら前述しているように4気筒エンジンのおかげで他のどんなバイクより安定感がありかつ扱いやすい上にコントロールの実感を得やすい。では4ストの250のマルチ4気筒はどうかというと限られた条件域で感じる。なんと言ったって2万回転に迫ろうかと超高回転のエンジンに一般道、特に交差点の通過レベルの低速でコーナリングの実感を云々している私には感じにくい。正確に言うならパワーバンドに入る12,000回転以上回せる人なら実感できると思うのだが、今の私には出来ない走り方です。





d.並列4気筒のスペシャル(1000ccのスーパースポーツ)
2005年現在の話
2スト250レプリカマシンが消滅した代わりに、もっと凄いバイクたちが現れた。それがリッタークラスのスーパースポーツである。2ストレプリカのようなストイックさは無いが性能は10年前のF1マシン以上だ。170馬力を越えるエンジン、そして乾燥重量が180キロを切る。
まったく信じ難い夢のようなスーパーバイクだ。 
そして、ストレートの短い峠道でさえ時速200キロを遙かに超えていく動力性能にライダの方のコントロールが追いつかない。

どなたにもおすすめのマシンでは無い、だがそこにはライダとしての見果てぬ夢が詰まっている。昔、ホークVがスポーツマシンだったライダには、こんなマシンがあったらよいのになぁと思っていたに違いない。夢のバイクがお金を出しさえすれば買えるのだ。
ステアリングダンパー、ラジアルマスタシリンダー、そして超軽量の車体、まさに夢の具現化マシンだ。
でも、おすすめはしませんよ。




e.V4エンジン
V4エンジンは、2008年現在ではヤマハのVmaxとホンダのVFR800がラインナップしている。
モデルチェンジを繰り返し、よりパワフルなバイクに変貌している。
ヤマハのV4のVmaxのエンジンは全域パワフルだ。開ければ開けるだけ旋回をコントロールするパワーが湧き出してくる怒濤の走りだ、しかしハンドリングはその犠牲になっている、コーナリング時に切れ込むハンドリングを好きになれない。このバイクは、パワーが魅力だ、直線を走っていアクセルを開け続けていったらホイルスピンしカウンターを当てながら直進していったバイクなんて後にも先にも経験がない。




f.V型2気筒エンジン
国産のバイクでもV型エンジンを搭載しているバイクは多いが、ここでは、ドカティやハーレに積んでいるエンジンについて考えよう。
ドカティにしてもハーレーにしてもこのV型エンジンしか持って無い。このエンジンで日本の巨大メーカと勝負しているのだ。そして、そのバリエーションもわずかである。
でも、魅力的な機種が多いと感じると言うことは、どういうことなのだろうか?そこには、メーカオリジナルのこだわりがあるからではないだろうか?
日本のメーカがユーザニーズを第一と考えユーザに迎合する傾向にあるのに対して、ドカもハーレも私から見ればかたくなまでにそのアイデンティティーを守り抜いている。
ある意味で、ユーザがメーカを選ぶのではなく、メーカがユーザを選んでいる気さえする。その潔いスタンスのメーカが送り出すバイクだからこそ、私たちはそのスタンスの潔さに魅力を感じるのかも知れない。



g.その他
ゴールドウィングの水平対向6気筒、BMWの水平対向2気筒やV型でもハーレーやモトグッチなど、いろいろなエンジン形式がある。
こちらは、その魅力を咀嚼できるライダ向けとしましょう。
そして、そんなベテランライダになれるようお互いに精進しましょう。
バイクの魅力は、エンドレスです。 
2008年2月3日 訂正
2010年12月25日 訂正


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