東日本大震災:がれきの交付金「筋違い」 高岡市などに処理費の30倍、有識者ら批判 /富山

毎日新聞 2013年03月17日 地方版

 東日本大震災の被災地からがれきを運び出し、被災地外で処理する広域処理。国は広域処理を進めるため、実施したり、検討したりした自治体に対して交付金を支出しており、実施する高岡市などは国の復興予算から処理費の約30倍にあたる約18億円もの交付金などを受け取る。被災地の住民にはがれきの処理より復興住宅建設を優先してほしいとの声もあり、有識者も多額の復興予算が被災地以外へ支出される仕組みを「筋違い」と批判している。【大森治幸】

 高岡市などが受け取る交付金は「循環型社会形成推進交付金」(循環型交付金)と「震災復興特別交付税」(震災交付税)の2種類。循環型交付金は8億555万円で、高岡市のほか氷見・小矢部の計3市でつくる「高岡地区広域圏事務組合」へ支払われる。また、震災交付税は計約10億500万円で3市へ交付される。一方、がれきの処理費用は6430万円にとどまる。高岡市などは得られた交付金を、氷見市内で建設中の新しいゴミ処理施設の建設費に充てる方針。

 同市などが受け入れるがれきは岩手県山田町の木くずなどの可燃物。同町に住む干しシイタケ農家、小林美好さん(52)は「がれきはプールの跡地など震災前までほとんど利用されていなかった所に置いてあり、復興の妨げになってはいない。急いで広域処理をする必要は全然なく、後回しでいい」と指摘。「仮設住宅に住んでいる友人は近所とのトラブルがストレスになると言っている。生活音は響くし、簡易屋根なので雨の音もすごい。1週間くらいなら住めるが、それが2年も続き『限界が来ている』と漏らしている」と話し、がれき処理のスピードアップに復興予算を使うのではなく、復興住宅をいち早く建設するために使ってほしいと語った。また、「震災復興 欺瞞の構図」著者の原田泰・早稲田大教授は「処理に必要なコスト以上のものをなぜ支払うのか。震災からの復興にかこつければ予算を取りやすいという考えは役人の常道だが、被災地外の古くなった施設の整備費用も措置するのは筋違いではないか」と批判している。

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