記事 法医学

死亡診断書の信頼性

ももちゃん

2013年03月17日 10:11

死亡診断書「死因の記載不正確」2割厚労省研究班(平成25年3月10日朝日新聞)
【編集委員・出河雅彦】

死亡につながるもともとの原因の病名ではなく、直接的な死因しか書かれていないなど、不適切な死亡診断書が全体の約2割もあることが、厚生労働省研究班の調査でわかった。疾病対策などの基礎となる統計が不正確になる要因となり、研究班は「記載方法の徹底が必要だ」と指摘している。

死亡診断書は、病気やけがの治療を受けていた患者が亡くなったとき、医師や歯科医師が作る書類。直接死因だけでなく、世界保健機関(WHO)が定め、各国が死因統計を作るのに使っているもともとの死因、「原死因」も記入する様式になっている。

ところが、心臓の病気でできた血栓が脳の血管を詰まらせて死亡したとき、「脳梗塞(こうそく)」と直接死因だけ記入するような不正確な死亡診断書が後を絶たない。

>>>>>>>>>>>
多くの国で、法医学者による死亡診断書のチェックがされ、それによる臨床医への指導から、死亡統計の正確性を維持しようとしている。

日本では、医師の記載する死亡診断書を監査するシステムがない。結果的に死因統計はいい加減だ。

脳梗塞から最終的に肺炎になる場合、原死因は脳梗塞にすべきであるが、日本では、肺炎としているケースが多いので、死因統計上の肺炎の順位が三位に上がったとも言われる。

誤ったデータを基に、衛生行政の予算が決められるとすれば、予算の無駄遣いになる。もっと厚労省は死因診断が正確になるように積極的に関与すべきではないか。

それにしても、この研究班に法医学者は関わったのだろうか。本来原死因となるべき病名が別の病名で登録されているだけでなく、原死因が外因死なのに病死にされている例もかなりあるので、その視点を抜いてしまっては、せっかくの調査も勿体無い。

あわせて読みたい記事

関連記事一覧(10)

医療などに関わる司法問題を法医学者の立場で解説する

新着記事

働く前に読んでおきたい6つの話

話題の記事をみる - livedoor トップページ

意見

意見(コメント)の投稿について

注意!livedoor ID または Yahoo! ID で
アカウント認証を行っているユーザーのみなさまへ

この度ガイドラインの変更にともない、意見(コメント欄)への書き込みには facebook ID、twitter ID または mixi ID での認証が必須となりました。以下のボタンより認証するIDを選択して、追加認証を行ってください。

総合ランキング

ランキング一覧

編集長のおすすめ

BLOGOSを使いこなそう!

こんな記事はいかがですか?

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

意見を書き込むには FacebookID、TwitterID、mixiID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDまたはYahoo!IDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。