このページの内容が正しいとは限りません。なるべくミスらないよう、がんばるけど。過去の記事もまちがい等に気がついた時点で書き換えていきます。図版の一部は外部へのリンクなので、その図版サーバが落ちていたらゴメンナサイ。
検索エンジンで調べてたどり着いた人へ:上の「検索」で日記内の検索をかけてみるか、記事一覧を見てください。書いて欲しい項目のリクエストがあれば、コメント欄に書いて下さい(ただし高校数学程度の範囲内でね)。なるべく答えてみようと思います。
2013-03-16 (Sat)
■「有効数字」と学習指導要領
有効数字とは測定値で測定の不確かさが入るまでの桁のこと。例えば電気素量 e は
(1.602176565±35)×10-19[C]*1であり、有効数字は10桁であるが、一番小さい2桁の "65" にはあいまいさが含まれていて、e の正確な値は
1.602176530×10-19<e<1.602176600×10-19の範囲内に68%の確率で存在している。有効数字を求めるためには「不確かさ*2」(「誤差」ではないよ)のデータが必要なので、中学、高校で「不確かさ」を伴わずに教えられた「(ニセ)有効数字」とその計算法(Google検索で上位にくる日本語のページの大半)はニセ科学なので、大学に入ったら忘れるように。勉強にはテイラー計測における誤差解析入門がおすすめ。有効数字の求め方のラフな解説は有効数字の決め方にもやもやとしたものを感じる人のための説明 - あらきけいすけの雑記帳に書いた。
以下、教育用の覚書。現在、走り始めている中学、高校の学習指導要領で測定関連の用語の出方を調べてみた:
中学数学 1年生
データの扱い方は「数学」の守備範囲で、「理科」ではその指導が項目に上がっていない。現在では測定値を表すときに「誤差」は用いない。「不確かさ」を用いるのが標準的。文部科学省の役人に「測定」についてきちんと調べた人がいないようだ。
第2章 各教科 第3節 数学
第1 目標
[略]
第2 各学年の目標及び内容
〔第1学年〕
1 目標
(1)[略]
(2)[略]
(3)[略]
(4) 目的に応じて資料を収集して整理し,その資料の傾向を読み取る能力を培う。
2 内容
A 数と式
[略]
B 図形
[略]
C 関数
[略]
D 資料の活用
(1) 目的に応じて資料を収集し,コンピュータを用いたりするなどして表やグラフに整理し,代表値や資料の散らばりに着目してその資料の傾向を読み取ることができるようにする。
イ ヒストグラムや代表値を用いて資料の傾向をとらえ説明すること。
〔用語・記号〕
〔数学的活動〕
(1) 「A数と式」,「B図形」,「C関数」及び「D資料の活用」の学習やそれらを相互に関連付けた学習において,次のような数学的活動に取り組む機会を設けるものとする。
ア 既習の数学を基にして,数や図形の性質などを見いだす活動
イ 日常生活で数学を利用する活動
3 内容の取扱い
[中略]
(6) 内容の「D資料の活用」の(1)に関連して,誤差や近似値,a×10nの形の表現を取り扱うものとする。
高等学校学習指導要領
「有効数字」は1箇所。第2節 工業、第2款 各科目、第5 工業数理基礎にのみ現れる。普通科の教程には「有効数字」の扱いはどこにも出ない。
第5 工業数理基礎
1目標
[略]
2内容
(1) 工業の事象と数式
ア 工業の事象の計算
イ 面積・体積・質量の積算
ウ 単位と単位換算
(2) 基礎的な数理処理
ア 力とエネルギー
イ 力と釣合い
ウ 流れの基礎
エ 計測と誤差
オ 工業の事象とグラフ
(3) 応用的な数理処理
(4) コンピュータによる数理処理
3 内容の取扱い
(1) [略]
(2) 内容の範囲や程度については,次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)のア及びイについては,中学校までに学んだ数学を基礎として数理処理できる工業の事象を扱うこと。ウについては,国際単位系を扱い,具体的な単位換算については内容の(2)及び(3)の中で扱うこと。
イ 内容の(2)のアについては,[略]。イについては,[略]。ウについては,[略]。エについては,測定した値の精度及び位取りを扱うとともに,有効数字の取扱い方を扱うこと。オについては,工業の事象に関する実験の測定値をグラフに表す方法を扱うこと。
ウ [略]
エ [略]
高等学校学習指導要領解説 理科編
基礎物理の中に1箇所だけ出てくる。理科全体で必要とする知識という扱いではないようだ。文面は「学習することが考えられる」とあるが、ここに書けば事実上は強制とみてもいいのではないか。
(ア) 物理量の測定と扱い方について
ここでは,物理量の測定と表し方,分析の手法を,身近な物理現象の解析を通して理解させることがねらいである。
例えば,人の歩行運動や斜面を降下する物体の運動などについて時間や位置を測定する実験を通して,測定誤差や実験の精度,有効数字などを考慮したデータの扱いや近似の考え方の初歩,及びグラフによるデータ整理の方法を学習することが考えられる。
なお,ここで扱う学習内容は,「物理基礎」の学習全体に通じる手法であり,各項目の中でそれぞれの内容に合わせて取り扱うことも考えられ,学習の進展に応じて理解を深めさせていくことが大切である。
高等学校学習指導要領解説 数学編
記述がない。